2024/08/21 モータースポーツ

トライトン、リベンジならず…アジアクロスカントリーラリー 2024、総合優勝はハイラックスレボ

新型トライトンがベースのT1仕様ラリーカー

8月11〜17日で開催されたアジアクロスカントリーラリー2024(以下、AXCR)。三菱自動車が技術支援する「チーム三菱ラリーアート」は、昨年果たせなかった新型トライトンでの総合優勝を目指して今年も参戦したが、リベンジならず。田口勝彦選手の総合5位が最上位という結果だった。



■AXCR2024 四輪部門 総合成績

1位 マーナ・ポーンシリチョード(トヨタ・ハイラックスレボ) 14時間22分00秒
2位 スワット・リムジラピンヤ(いすゞ・D-MAX) 14時間25分47秒
3位 トンチャイ・クリンケート(いすゞ・D-MAX) 14時間36分24秒
4位 塙 郁夫(トヨタ・フォーチュナー) 14時間56分48秒
5位 田口 勝彦(三菱・トライトン) 15時間34分52秒
6位 オーラーン・ソーンシリラット(いすゞ・D-MAX) 15時間35分34秒
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24位 小出 一登(三菱・トライトン) 23時間08分37秒
27位 サクチャイ・ハーントラクーン(三菱・トライトン) 24時間51分52秒
42位 チャヤポン・ヨーター(三菱・トライトン) リタイヤ

昨年の総合3位で、チーム三菱ラリーアートのなかでも最も前方からのスタートであったチャヤポン・ヨーター選手は、持ち前の丁寧なドライビングで連日上位に入るタイムを重ねた。

最も過酷なレグ4終了時点では2位に20分以上の差をつけて総合首位に立つも、レグ5で事件が。エンジントラブルにより走行不可となり、そのまま無念のリタイヤとなったのだ。

2年目の挑戦となった田口勝彦選手は、7番手スタート。ナビゲーションの難易度が高いコース設定に手こずりながらも、丁寧な走りで堅実に毎日のSSを走りきり、昨年の総合8位から順位を上げて5位入賞となった。

その田口選手は、下記のように語っている。

「24年型の『トライトン』ラリーカーは、高いレベルでパッケージがまとまっていて、とにかく乗りやすかったです。私自身としては、昨年より順位が上がった点は良かったと思いますが、もっと上を狙える手応えがあっただけに悔しいです。今年の参戦経験をフィードバックし、来年は『トライトン』の走行性能もさらに高められると思うので、トップにずっと食らいついていけるようにしたいと思います。」

今回のチーム三菱ラリーアートは4台体制で参戦。サクチャイ・ハーントラクーン選手は30番手スタートからレグ1で一気に5位まで順位を上げるも、ミスコースやマシントラブルに悩まされ、27位という結果に終わっている。

また、社員ドライバーとして参戦する小出一登選手は、最初こそAXCRの難コースに苦戦するも、持ち前の適応能力の高さを発揮して安定したドライブを継続。スタックやマシントラブルで走行不能となったチームメイトもサポートしつつ、最終的には24位で初めてのAXCRを終えた。

小出選手は、「私がドライブした『トライトン』ラリーカーは量産車をベースとした23年型で、「4LLc」という岩場のためのドライブモードがあります。今回、そのモードを使用してチームメイトのクルマを牽引しながら、40度近い傾斜を難なく登れた時には『トライトン』量産車の悪路走破性能の高さをあらためて感じました。“ドライバー”としてラリーを通じて得たものをしっかりフィードバックし、悪路に強く、頼もしい三菱車の開発に繋げていきたいです。」とコメント。

チームの総監督を務める増岡 浩氏は、

「今年の『トライトン』は、本当にいいクルマに仕上がりました。ライバルとの排気量差を埋める力強い動力性能を見せて、一時は総合首位にも立ちましたが、結果的に優勝できなかったことは残念です。しかし、長年にわたって培ってきた三菱自動車ならではの悪路走破性も十分発揮できたので、そこは評価に値すると思います。日本に戻ってからは初参戦した社員ドライバーの小出選手を中心に、今回の参戦で得た貴重なデータ、知見を市販車開発に反映してもらい、『過酷なモータースポーツの現場での経験に導かれたクルマづくり』の新たな1ページを作っていってほしいと思います。また来年に向けて、しっかりテストで走り込んで、完全復活したいと思います。協賛各社様からの多大なるご支援、世界各地のファンのみなさまからの熱いご声援、本当にありがとうございました。」

と悔しさと感謝を述べている。

また、今回チームのサポートカーとしてデリカミニがデビュー。帯同した自動車ジャーナリストの竹岡 圭氏のコメントは下記のとおり。



「今年のAXCRはロックセクションあり、川渡りあり、想像以上に過酷なラリーでした。しかもコースが難しい。生命力の強いタイの草花たちは、ラリー車が走るルートを表すコマ図を作ってからラリー本番までの期間で伸び放題になってしまうため、日本人の感覚ではとても道に見えないような場所にも入っていく必要があるので、コドライバーのナビゲーションはさぞかし大変だったと思います。私はサポートカーの『デリカミニ』のドライバーを担当しましたが、行く先々で『デリカミニ』とデリ丸。は大人気! 街中でちょっと停めると撮影会が始まり、走行中もビデオを撮られたりすることが多々ありました。『デリカミニ』はバンコク周辺では、大人気モデルになるかもしれませんね。もちろん走破性もバッチリで、タイの赤土オフロードも、ひび割れて穴だらけの舗装路も、頼もしく駆け抜けてくれました。」

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市販車でもライバルとなるハイラックスやD-MAXに敗れたトライトン。現地で何があったのか? その詳細は追ってお伝えしたいと思う。

〈文=ドライバーWeb編集部〉

ドライバーWeb編集部

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