2024/03/22 カー用品 PR

【Jeep ヒストリー】スモールジープの最終進化形 TJ型ラングラーヒストリー

正統派Jeepの歴史を受け継ぐラングラー。その2世代目として1996年にリリースされたのがTJ型である。伝統のコンパクトなボディを持ちながら、コイルの脚を得てブラッシュアップ。その魅力をショップの代表とオーナーが語る!



■若年ユーザーに大ヒット

生粋のミリタリーモデルとして1941年に誕生したウィリスMBから続くジープの系譜。シビリアン・ジープのイニシャルを取ったCJシリーズの後継で87年に登場したYJ型から冠ネームの「ラングラー」を名乗るようになり、96年にデビューしたのがTJ型だ。

このころ日本ではRV(レクリエーショナルビークル)のジャンルが多様化し、フレーム構造のランドクルーザー80/70や90系プラド、サファリ、パジェロといったビッグネームに加えて、乗用車から派生したライトクロカンの初代CR-V、RAV4が人気を集めていた。そんな成熟したRV市場に本場アメリカ生まれのTJラングラーが参戦。価格も国産ライバル車を強く意識した設定だった。

例えば97年モデルの場合、スポーツ・ソフトトップは237万円(MT)、242万円(AT)、スポーツ・ハードトップは256万円(MT)、サハラは281万円(AT)。パワフルな直列6気筒の4Lガソリンエンジンと、走行中に2WDと4WDを切り替えられるコマンドトラック4WDシステムを搭載する本格派クロカンとしてはバーゲンプライスといえる。

プラドの3ドア・ガソリンモデルは約300万円で、アメリカ車というステイタスも加味するとラングラーと大いに迷うところ。しかもスポーツは操作性が大幅に向上したソフトトップを備え、オープンエアモータリングも楽しめる。SRSデュアルエアバックも全車標準装備で、TJを「手軽に乗れる大排気量のオープンカー」と捉えた若年ユーザーに好評を博した。

メカニズム面での大きな変化が、YJまでの前後リーフスプリング(板ばね)から、コイルスプリングに4本のコントロールアームで制御する「クォドラコイルサスペンション」の採用。ジープならではの悪路走破性能を向上させながら、オンロード走行においても乗用車ライクな乗り心地を実現し、幅広いユーザーの獲得に貢献した。

10年のモデルライフのなかで、オートマチックミッションは当初3速だったが、2003年モデルから日本製の4速に変更。06モデルからマニュアルトランスミッションも5→6速に多段化。さらに、04年にはホイールベースを約25cm、全長を約40cmストレッチして足元スペースや収納スペースにゆとりを持たせたアンリミテッドを設定(正規輸入はされていない)。2ドアのみだったのでファミリーには不向きだったが、オンロードのハンドリングや乗り心地が大幅に改善され、これがのちのJK型でラインアップに加わる4ドアのアンリミテッドに昇華した。



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DIALOGUE
TJは飽きない!

専門ショップの代表とオーナー2人が語るTJ型ラングラー。
人を引きつける魅力とは何か?





ヴィンテージ、ヒストリックという表現はまだ早いかも知れないが、96年のデビューから四半世紀が過ぎ円熟味の増したTJラングラー。ちょっと前は中古車価格が底値で、程度も乗りっ放しで年式相応にヤレたものからキッチリ整備とリフレッシュの行き届いたバリモンまで玉石混交だったが、現在ではかなり淘汰が進み、適度にアナログ風味なJeepの雰囲気を残したヤングタイマーとして本来の価値が再評価されつつある。

そこで「今こそTJの魅力を再考する」と題して、TJオーナーの小見真樹さんと森 浩之さん、全国でも数少ないTJ専門店、トランプカースクエア代表の松田修二さんを交え、TJをテーマにクロストークを繰り広げてもらった。


●トランプカースクエアの松田修二代表。入手困難な部品は修理で対応したり、TJと同時代の他車の部品を流用したりして対応する


●初見でTJの瀟洒(しょうしゃ)なたたずまいが気に入って、専門店と出会った小見真樹さん。TJで趣味のキャンプを楽しむ


●前車の不調をきっかけに極上のTJに出会い、充実したカーライフを送る森 浩之さん。整備に費用をかけて末永く乗り続けるつもり

■コンパクトでスポーティ

松田 お二人とも10年ぐらい乗っているのかと思うほどなじんでいますよね。ウチでご納車してから小見さんは5年、森さんは5年半たっていますが、キレイに大切に乗り続けられていますよね。

 ボクが買ったときは中古車のサイトで検索するとTJの物件が数多くヒットする状況で、価格帯も100万を切るものからTJの新車価格と同等かそれ以上のものまでさまざま。「古いアメ車」ということでそれなりのリスクを覚悟していましたが、トランプの前を通るたびにバリッと仕立てられたTJを目にしていたので「ここなら大丈夫そう」と感じて、お店にお邪魔して即決しちゃいました。TJに決めた理由はオープンにできるから。今でも結構な頻度で幌を開けて走っていますよ。冬でも頑張って開けていますが、さすがに夏場は日射しと暑さが厳しいので、まだ薄暗いうちから家を出て、気温が上がる前に帰宅しています。

松田 よくウチのお店の前を森さんが通るのを見かけるんですけど、基本幌は開けていますよね(笑)。

 TJってトルクが太いからワインディングでもストレスなく走れちゃう。ボディサイズも現行のJLや4ドアのJKに比べたらずっとコンパクトで、クロカンとは思えないほどスポーティなんです。

松田 ボクも同意見です。TJは見た目以上にスポーティなんです。

 逆にオフロード走行はそんなにしなくて、たまに河原や砂浜を走る程度。無理はしませんが、少し川のなかに入ってみたりします。

小見 ボクはハードトップでルーフラックを付けているのでオープンにするのが大変。気軽にオープンにできる幌がうらやましいです。

松田 小見さんのボディカラー(ライトブルー)はいい色ですね。

小見 印刷のデザイン過程で色指定するカラーチップがあって、そこから選びました。それをしっかり再現しているのはスゴいと思いました。色も含めて細かいオーダーに親身になって応えてくれるのがトランプさんのいいところです。TJは初めて買ったクルマで、森さんと同様にひと目ぼれでした。ショートボディで外装が今のクルマみたいにゴテゴテしていないのが気に入って。電話とメールのやりとりで松田さんのTJへの熱い想いが伝わってきたので、長く乗り続けるつもりでお任せしました。

松田 小見さんは5年、森さんは5年半TJに乗っていますが、しっかり整備してから納車しているので致命的なトラブルはありません。ただ、個体によってはブレーキの固着や冷却水の減りが早いことはあります。いずれも「TJあるある」で、水まわりは熱害で侵されやすいのでウチでは全部新品に交換して、ブレーキはオーバーホールして固着を未然に防ぎます。

小見さんと森さんは「TJは飽きません」と口をそろえる。〝主治医”の松田さんがいるおかげで、末永くTJライフを楽しめそうだ。










〈文=湯目由明 写真=伊藤吉行〉


■問い合わせ先
トランプカースクエア
静岡県浜松市東区有玉北町766-1
TEL:053-431-3123
http://www.trampcar.com
営業時間:10:00〜19:00
定休日:月曜日、火曜日

ドライバーWeb編集部

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