2024/03/21 コラム

どの標識にどう従えばいい? ややこしすぎる電動キックボード

電動キックボードの種類によって、従うべき標識に違いがある

2023年7月1日、一定の条件を満たした電動キックボードは、運転免許なしで乗れるようになった。ヘルメットの着用は努力義務だ。ペナルティはない。そのへんは自転車と変わらない。

だが、クルマ&バイクと同じく、自賠責保険に加入しなければならない。また、免許が必要な電動キックボードもある。ややこしい。こういうときは、基本となる法令を見ておくのが大事だ。

道路交通法は、第2条にいろんな定義がある。原動機付自転車の定義はその第1項第10号。2023年7月1日からこうなった。

原動機付自転車  原動機を用い、かつ、レール又は架線によらないで運転する車であつて次に掲げるもののうち、軽車両、移動用小型車、身体障害者用の車、遠隔操作型小型車及び歩行補助車等以外のものをいう。
 イ 内閣府令で定める大きさ以下の総排気量又は定格出力を有する原動機を用いる車(ロに該当するものを除く。)
 ロ 車体の大きさ及び構造が自転車道における他の車両の通行を妨げるおそれのないものであり、かつ、その運転に関し高い技能を要しないものである車として内閣府令で定める基準に該当するもの

自転車は「軽車両」に当たる。「移動用小型車」とは、電動で最高速度6キロの、まあ主に高齢者向けの小さな乗り物だ。日本は世界に冠たる超高齢社会。こういう乗り物で世界をリードできたらいいね。

そういうのとは別に、「次に掲げるもの」として「イ」と「ロ」が並んでいる。これは以前はなかった。2023年7月1日に登場した。

「イ」には、原付バイク(50ccのいわゆる原チャリ)が入る。免許が必要な電動キックボードも「イ」に入る。免許が不要な電動キックボードは「ロ」に入るんだね。

法律上の呼び方は、あとの条項に出てくる。「通行区分」について定めた第17条の、第3項にこんな部分がある。

特定小型原動機付自転車(原動機付自転車のうち第二条第一項第十号ロに該当するものをいう。以下同じ。)

免許が不要な電動キックボードは「特定小型原動機付自転車」というのである。警察庁によれば、略称は「特定原付」だ。ちなみに第17条第3項は、特定原付は自転車道を通行できると定めている。

続いて、「左側寄り通行等」について定めた第18条の、第1項にこんな部分がある。

一般原動機付自転車(原動機付自転車のうち第二条第一項第十号イに該当するものをいう。以下同じ。)

原付バイクと、免許が必要な電動キックボードは「一般原動機付自転車」というのである。警察庁の文書に「一般原付」との略称が出てくる。ちなみに第18条第1項は、一般原付は基本的に車道の「左側」を、特定原付は「左側端(さそくたん)」を走るよう定めている。

以上、まとめるとこうだ。

・免許が必要な電動キックボード = 一般原付
・免許が不要な電動キックボード = 特定原付

ところで、「自転車を除く」という補助標識をよく見かけるでしょ。あの「自転車」に、一般原付はともかく、特定原付は含まれるのか、含まれないのか。そこも、じつは法令ではっきり定められている。見てみよう。

ドライバーWeb編集部

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