2023/09/19 コラム

【盗難ランキング20】アメリカで盗まれやすいクルマの特徴とは? 電気自動車が盗まれにくいのはなぜか

右がダッジ チャージャー、左がダッジ チャレンジャー。ダッジのマッスルカーを所有するにも気を遣う調査内容だった

■マッスルカーは盗難に遭いやすい

8月末日、米国道路安全保健協会(IIHS)のハイウェイ・ロス・データ研究所(HLDI)がアメリカでもっとも盗まれるクルマトップ20を発表した。

IIHSは全米の自動車保険業者の資金によって運営される非営利団体。発表された調査データは2020年~22年型の高年式モデルで、保険に加入する車両が対象。

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盗難被害の保険申請が行われた台数を、乗用車全モデル(ピックアップトラック含む)を対象に割合を算出。盗難被害に遭う平均は1000台当たり0.41台で、モデル別でもっとも盗難率の高いクルマは昨年に続きダッジ チャージャーSRTヘルキャット。なんと1000台につき25台と、平均の60倍というなかなか衝撃的な数字となっている。

2位もダッジ チャージャーHEMI(過給機なし)で、平均値の20倍の盗難率。3位のインフィニティQ50を挟んで4位にも同じHEMIエンジンを搭載する2ドアクーペのダッジ チャレンジャーと、トップ5に3台もダッジのハイパワーセダン/クーペがランクインした。

3台に共通するのはHEMIエンジンを搭載するマッスルカーということ。特に1位のチャージャーSRTヘルキャットは、707馬力を発揮するスーパーチャージャー付きのマッスルカーとあって、単に闇市場への転売だけでなく、エンジンそのものや高価なアルミホイールなどのパーツ目当てで狙われているようだ。



一方で、昨年そのぜい弱なセキュリティがTikTokを介して暴露されたキアの各モデルが12位以内に4台もランクインしているのも、SNS社会のひとつの側面なのかもしれない。

■盗まれやすいクルマトップ20
1.ダッジ チャージャーSRTヘルキャット
2.ダッジ チャージャーHEMI
3.インフィニティQ50
4.ダッジ チャレンジャー
5.ランドローバー レンジローバー
6.キア スポルテージ
7.ランドローバー レンジローバースポーツ
8.キア スポルテージ(AWD)
9.ホンダ CR-V(AWD)
10.BMW X6 (AWD)
11.キア リオ
12.キア フォルテ
13.フォード スーパーデューティ F-350(スーパークルー4WD)
14. BMW X7 (AWD)
15.フォード スーパーデューティ F-250(スーパークルー4WD)
16.ホンダ アコード
17.ラム3500(クルーキャブ ロングホイールベース4WD)
18.インフィニティQ50(AWD)
19.日産マキシマ
20.ホンダCR-V

■テスラは盗まれにくい

逆に盗難被害の割合の低いクルマにはテスラ車が多い。1位モデル3(AWD)、2位モデルYを筆頭に、5位にモデルX、7位にモデル3と10位以内に4台がランクインしている。電気自動車(BEV)は駐車時に充電するので、充電器のあるガレージに停めることが多いことが、盗まれにくさに繋がっているらしい。

全米の新車販売台数の1〜3位を占めるフルサイズピックアップトラックは被害台数の上位ランクには入っていない。一方で、1台当たりの被害額の平均が6万1071ドル。乗用車の3万7085ドルに比べると高額になっているという結果も出ている。

クルマを離れる際にはきちんとロックするという最低限の防御とともに、できるだけ明るい場所に停めるなどの工夫が必要。それはアメリカにだけ限ったことではないと思う。

文=ケニー中嶋
米国カリフォルニア州在住。クルマだけでなく幅広い分野を取材するため世界中を駆け回っている。

ドライバーWeb編集部

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