2023/09/15 新車

マツダが「MX-30ロータリーEV」を発表。ロータリーエンジンを搭載した理由とは?

マツダのロータリーエンジンが約11年ぶりに復活した

マツダは2023年9月14日、MX-30ロータリーEVの予約受注を開始したと発表した。発売は2023年11月を予定している。カタログモデルの価格は423万5000〜478万5000円、特別仕様車「エディションR」は491万7000円。

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EV(電気自動車)としての使い方を拡張したシリーズ式プラグインハイブリッドモデルで、17.8kWhの容量を持つリチウムイオンバッテリーによって107kmのEV走行距離を実現。その走行のすべてをモーターで駆動し、ロータリーエンジンによる発電によってさらなる長距離ドライブにも対応している。車名のロータリーEVは発電用にマツダ独自のロータリーエンジンの搭載や、EVが主体のクルマであるということから命名されている。



発電用に採用したロータリーエンジンは新開発の「8C」型。8は、830ccを示し、水冷1ローターの横置き仕様。ロータリーエンジン初の直噴式だ。最高出力は53kW(72ps)/4500rpm、最大トルクは112Nm(11.4kgm)/4500rpmである。軽量・コンパクト・高出力というロータリーエンジンの特徴を生かして、高出力モーター、ジェネレーターと同軸上に配置してフロントコンパートメントに搭載している。MX-30にこのパワートレーンを横置き搭載するには、コンパクトな8Cの搭載がマストだったという。ちなみに、レシプロエンジンの1.5L直列4気筒のシリンダーを1つ減らすと8Cとだいたい同じ出力になるが、エンジン外形の容積は8Cが50.4Lに対して、3気筒エンジンは61,2Lとなる。つまり18%ほどロータリーエンジンのほうがコンパクトになるとのことである。

充電は普通充電と急速充電(CHAdeMO規格)を採用。給電機能は荷室に1500Wまで対応可能なAC電源とフロントコンソールには走行中でも使用できる150WのAC電源を設置。専用のV2H(Vehicle to Home)機器を接続すればクルマから建物への電力供給も可能。17.8kWhのバッテリーが満充電の状態では一般的な家庭の約1.2日分の電力供給ができ、満充電のバッテリーと燃料タンク満タンでのロータリーエンジンの発電を組み合わせると約9.1日分の電力供給ができる。

なお、日本国内向けは月間300台の販売が目標で、日本と欧州で販売するという。グローバルには年間約2万台の生産能力を持ち、全量が宇品第1工場で生産される。

■Rの称号を持つ特別仕様車が誕生

特別仕様車「エディションR」は、2012年にロータリーエンジンの量産が終了して11年を経て、発電用エンジンとして復活を遂げたことから、「Return」のイニシャルを取って命名。特別装備は、以下の4点。



●マローンルージュメタリックの専用外板色
マツダ初の乗用車であるR360クーペのルーフ色を復刻したもので、ルーフサイドの差し色として使用している。その他は内外装をすべてブラックで統一。


●キーフォブ
ロータリーエンジン内部のローター局面と同じ角度の曲線になるようにデザインした専用アドバンストキー。縦方向の溝はアペックスシールと同じ約2.6mmで、触感でローターの存在を感じられる。


●フロアマット
運転席、助手席、後席のフロアマットに専用のタグを取り付けた。タグや縁のステッチ色のオレンジはロータリーエンジンが生み出すエネルギーをイメージ。タグのなかに1本引かれたラインはローターアペックス(頂点のシール溝)と同じ約2.6mmである。


●ヘッドレスト
運転席と助手席のヘッドレストにMX-30ロータリーEVの専用バッジを模したマークと「EDITION R」ロゴのエンボス加工を施した。


〈文=ドライバーWeb編集部〉

ドライバーWeb編集部

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