ロールス・ロイス初のEV「スペクター」は4800万円から…なぜ2ドアクーペだったのか？

ロールス・ロイスは2023年6月30日、ブランド初の完全電気自動車（EV）である2ドアクーペ「スペクター（SPECTRE）」を日本で発表した。価格は4800万円〜で、2023年第4四半期から順次、納車を開始する。

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ロールス・ロイスでは2030年までに全車種を電動化させる方針であるとのことだが、そのトップバッターであるEVが2ドアクーペとなったのは、エモーショナルな部分が電動化とフィットすること、カリナン、ファントムなどを含めて最近デビューしたモデルのローンチのタイミングを考えても2ドアクーペが最適であったことの2つの理由を挙げている。



新型車のスリーサイズは全長5475㎜×全幅2144㎜×全高1573㎜で、ホイールベースは3210㎜。スペクターのデザインは、オートクチュール、船舶デザイン、テーラードウェア、現代アートなどさまざまなジャンルからインスピレーションを得ているという。フロントまわりはブランド史上もっともワイドなグリルを採用し、そのパンテオングリル（ローマのパンテオン神殿をモチーフにしたグリル）は空気の流れをよくするため、緩やかな角度に設計。延べ830時間かけてデザインされ、風洞実験の成果であるスピリット・オブ・エクスタシーなどにより、ロールス・ロイス史上もっとも低いCd値0.25をマークしている。


●スピリット・オブ・エクスタシー

外観のハイライトであるファストバックのボディは、ルーフからリヤまでシームレスに流れる美しい曲線により、エレガントなサイドシルエットを生み出している。なお、2ドアクーペの市場投入向け製品としては初めて23インチホイールを採用した。



室内はコーチドアの内側に4796個の星が刻まれたスターライトドアと、5584個の星の集合体から成るイルミネーテッドファシアがスペクターのネームプレートとともに輝き、神秘的な夜空を思わせる幻想的な雰囲気を醸し出す。




メカニズムは、前後にモーターを搭載する四輪駆動タイプで、そのスペックは584馬力／900Nm。バッテリー容量は102kWhで、航続距離は準拠値で530㎞となっている。ボディにはオールアルミニウム製スペースフレーム「アーキテクチャー・オブ・ラグジュアリー」を採用。洗練されたアルミニウムの押出材セクションとバッテリーの車両構造への一体化により、ロールス・ロイスの従来モデルより30％高い剛性を達成した。ちなみに、耐久テストは400年以上の使用を想定した250万㎞に及ぶテストを実施。もちろんブランド史上もっとも過酷なものになったという。

車名のスペクターとは英語で「幽霊、亡霊」の意味で、その他のモデルとのつながりを表現。ロールス・ロイスの伝統的なネーミングはスピリチュアルな（霊的な、超自然的な）な雰囲気のある名前であり、ファントム（亡霊）、ゴースト（幽霊）、レイス（生霊、幽霊）、ドーン（夜明け）などがある。唯一の例外は世界最大のダイヤモンドからネーミングを取ったカリナンだけである。というわけでスペクターも伝統的なロールス・ロイスの命名法に従って名付けられている。

〈文＝ドライバーWeb編集部〉