2023/05/24 モータースポーツ

ホンダ、F1復帰を決断した理由…「電動化パワーユニットでも頂点を示す絶好の機会」。アストンマーティンと2026年からタッグを組む

ホンダの社長、三部氏(左)と、アストンマーティンのローレンス・ストロール氏(右)

■未来のホンダを示す絶好の機会

ホンダは5月24日、2026年からパワートレーンサプライヤーとしてF1に復帰すると発表。再参戦からの母体は、ホンダ・レーシング(HRC)が担うこともあわせて発表された。

ホンダF1はこれまで、参戦、終了、そして復帰を繰り返してきた。「2020年、参戦終了発表時はファンから厳しい声をいただいた」と会見で語ったホンダの三部敏宏社長。その参戦終了の決断は、カーボンニュートラルに向かうべく技術力を集中させるためだったのはご存知のとおり。

では、なぜまた参戦するのか。大きな理由として三部社長は「電動化のパワーユニットでも頂点を示す、絶好の機会」と語った。かつて「エンジンのホンダ」と言われたが、「電動化の点でも頂点」を目指す技術開発、その実力を世界に知らしめるにうってつけのステージだと考えたためだ。

「エンジンとモーターの出力割合は、現在のレギュレーションだとモーターが約20%。1000馬力だとしたら、モーターが担うのは200馬力程度です。それが2026年からの新レギュレーションでは50%ずつになる。電動化開発が勝利へのキモとなる。(電動化を進めるホンダにとっては)量産車へのフィードバックとしても大切になる」(三部社長)

カーボンニュートラル燃料の使用なども、ホンダの方向性と合致したという。

■若いエンジニア「チャンレンジしたい」

一方で、技術的なメリットだけが復帰に至らせた理由ではない。若いエンジニアたちから「チャレンジしたい」という声が多くあがったのだ。新しいレギュレーションに、自分たちの技術をぶつけたい、そんな熱い思いだ。世界最高峰のレースへの挑戦はホンダ創業時からのDNA。人材育成につながることは、言うまでもない。

「またやめてしまうのでは?」と不安にもなる。その点に関しては三部社長は、「HRCを母体に、継続的に参戦していく。コストキャップも導入」と長期的な参戦意思を示した。

2026年からの新たなパートナーは、アストンマーティン。オーナーであるローレンス・ストロール氏も会見にかけつけ、「ジグソーパズルのラストピース、それがホンダだった」、「「アストンマーティンはホンダとHRCを歓迎します。我々はレースでの勝利に向けた熱意と決心、そして飽くなき野心を互いに共有している」 と語った。

継続的な参戦はもちろん、クルマファンとしてはF1で培った技術を量産車にどうつなげていくのか。今後に注目したい。

〈文=ドライバーWeb編集部〉

ドライバーWeb編集部

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