2023/03/21 コラム

【愛犬家が激白】ホンダN-VANからスズキ スペーシアベースへの乗り替えは正解だった!? オーナーが語る理由

●スズキ スペーシアベース。ホンダのN-VANと、どちらを購入するか迷う人も多いだろう

スズキのスペーシアシリーズに加わったバン仕様のスペーシア ベース(以下ベース)。登場初月には8000台以上のオーダーを受注し、現在も納期がだいぶかかってしまっている大人気の軽バンだ。しかし、なぜここまで4ナンバーの商用車仕様が人気なのだろう? 登場直後にホンダN-VANから乗り替えたオーナーに話を聞いてみた。ベースとN-VANで迷っている人がいたら、ぜひ参考にしてほしい。

■意外に重い? ベースとN-VANの違い

そのオーナーはHさん。大人気車であるN-VANからの乗り替えで、どうやら大満足らしいのだ。ちなみにHさんは自動車整備を生業にしている、クルマのプロ。まず乗り替えて違いを感じたのが、ベースの軽さだとHさんは語ってくれた。

【画像】アイディア商品「スペーシア ベース」のシートアレンジほか

「もう、何もかもがN-VANのほうが重いんです。動き出しの加速感だったり、走っているときの軽快さ、ステアリング操作のレスポンス、どれをとってもベースのほうが軽い。走り以外だと、スライドドアの操作感とかは一番軽さを感じやすいですね。ちょっと傾いたところに駐車すると、N-VANのときは子供がスライドドアを開けられなかった。ベースは電動スライドドアが要らないくらい軽いです」。ちなみに、Hさんのお子さんは小学生。センターピラーを内蔵したN-VANのドアは、それだけ重いということだ。

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車重を比較すると、同じFFのNAエンジンCVT仕様でN-VANが940~960kgに対し、ベースは860~870kg。車重の10%以上にあたる100kg近い差があるのだから、その違いは感じやすいはずだ。これは、現在スズキの四輪車の大半に使用されている、新世代プラットフォーム「HEATECT(ハーテクト)」の恩恵が大きい。ハーテクト採用車は軒並みライバルより軽く仕上がっている。Hさんも運転していて楽しいと語っていたが、ハーテクトの高剛性という面も走りのよさにつながっているはずである。

■大型犬を飼うオーナーならではの視点

Hさんは、ユーティリティの面でもベースのほうが使いやすいと話す。

「ウチには大きな犬がいます。N-VANに乗せることもあったけど、リードをしっかりとつないでいても、助手席までフラットにして乗せるとフロアの隙間に足が挟まっちゃって抜けなくなっちゃうことも。近くのドッグランへ行くまでの短い時間だけど、ちょっとかわいそうでね。でもベースだとリヤシートのフロア収納に加えてマルチボードがある。ラゲッジとの境に立てることができるから、加減速するたびに滑ったりしないし、ラゲッジに荷物も載せられる。今ではリヤシートスペースがレトリバー2匹の特等席ですよ」

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●こちらはベースのカタログからの引用。このようにワンちゃんスペースとして使っている人は実際に多いのかもしれない

本当にカタログ通りの使い方をしているのだと感心してしまったが、確かに理にかなっている。ワンちゃんはリードはつなげられても、シートに座ってベルトをしているわけではない。クルマの加減速の度に前後に振られて、ツーっと滑ってしまうのはちょっとかわいそうだ。しかしベースならば、マルチボードによってラゲッジルームとリヤシートスペースが完全に分断できる。本来ならば荷物が前後に動いてしまうことを防ぐ目的なのだが、前後方向を制限したワンちゃん専用のエリアを車内に作ることもできてしまうのだ。この点をメリットに感じるのは、大型犬を飼うオーナーならではの視点と言えるだろう。

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●マルチボードを利用した前後分割モード

そもそもの話なのだが、HさんはなぜN-VANからベースへ乗り替えたのだろう? それはズバリ、N-VANのリセールだ。細かい金額の話はここでは控えるが、その買取額には筆者も驚いた。ベースを購入する際の支払いが数十万円で済んでしまったという。N-VANの人気ぶりはリセールの面でも有利なのである。もちろん、Hさんはスペーシアの素性のよさも知っていて、また、フロントマスクをはじめとしたベース専用のデザインも気に入ったからとも話してくれた。しかし、最後の決定打はN-VANの買取金額だったのである。

■CVTは燃費に有利なはずなのに

一方で、ベースの燃費性能は期待ほどではなかったようだ。

「ウチの周りが坂と信号が多い土地柄ということもあり、燃費は思ったより伸びないです。あんまり燃費走行に気を使うほうでもありませんので、16~17km/Lというのが平均ですね。一度がんばって燃費を狙ったのですが、最高でも19km/Lに届かなかったです。20km/Lオーバーは厳しいですね」

HさんのベースはFFなので、カタログ数値の燃費は21.2km/L(市街地モードは19.4km/L)。N-VANは4WDだったが、トランスミッションが5速MTだった。毎日片道20km以上の道のりを通勤で往復して、前のN-VANと同等の燃費。N-VANのほうが重いのに、だ。この点は少し意外だった。

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●Hさんのベース。ブラックのBASEエンブレムをフロントドアに貼っているのは、Hさんのオリジナルカスタムだ

細かい不満点はあるものの、概ね満足していると語ってくれたHさん。話を聞く限り、ベースのほうがHさんのライフスタイルには合っていると感じた。最後にADASについての比較。

「霧とか大雨のときとか、フロントガラスが曇ったときなんかに前方のカメラが使えませんって表示が出るじゃないですか。あの時に、復帰が早いのはベースです。ホンダのカメラは1時間経っても使えなかったときもあって、復帰するまでが長い。ディーラーに聞いたら1時間くらいデフォッガーをかけていれば直るって言われて。そんな時間があったら会社に着いちゃいますよ。この辺はスズキのほうがちゃんとしたものを作っているようです」

ADASに関してはさまざまな条件があるため、ご参考までに。

いずれにせよ、大きなワンちゃんを飼っている人にとって、ベースは「ピッタリ!」な選択肢になりそうだ。

<文=青山朋弘>

ドライバーWeb編集部

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