2022/05/31 コラム

【新型軽EV】日産と戦略が違いすぎる! 三菱はなぜガソリン車と見た目を変えなかったのか

内外装にあらわれる互いの戦略

2022年5月20日に発表された三菱自動車の新型軽EV「eKクロスEV」。兄弟車である日産サクラは、日産インテリジェントモビリティの要として、ガソリン車のデイズに対して、外板を大きく変え、車名まで一新してアピール。これに対して、eKクロスEVはeKクロスとあまり変わらない。そのあたりの事情について、三菱自動車 国内営業本部 国内商品販促部の露木 茂氏は次のように話す。

【画像】どっちが好き?日産サクラと三菱eKクロスEVを見比べる

「eKクロスEVの購入者層は軽自動車をセカンドカーとして乗られている方をまず考えました。私どもはこのクルマをEVであることを前面に押し出すよりも、全体の軽のなかの1バリエーションとして、身近な軽を目指したいと考えています。EVは特別なものはないというのが根幹かなと。これから先、EVが普及してくるとガソリン車かEVかというパワートレーンの違いは、単純にガソリン車かディーゼル車かの違いといったイメージになってくるのではないでしょうか。お客様はガソリン車の試乗に来られて、EVにするケースもあるでしょうし、ガソリン車でもEVでも、どちらでもどうぞというのが私たちの理想と考えています。私たちもエクリプス クロスには、ガソリン車とPHEVがあり、1つのモデルのなかに異なるパワートレーンという位置づけで戦略を組んでいます」。

従って、“EVは特別なものではない”という考え方から、パワートレーンを除いて、eKクロスEVとeKクロスとの違いは比較的少ない。eKクロスEVはフロントグリルがダーククロームメッキとなり、バンパー下部のシルバー塗装をボディ同色に変更。LEDとなったフロントフォグランプは丸型から四角に。EVエンブレムをボディ側面と後部に装着。内装はメーターと電子制御セレクター、ライトグレーの内装色(プレミアムインテリアパッケージ)などが変更点である。

ちなみに、標準的な外観を持つeKワゴンではなく、三菱ならではのフロントデザイン「ダイナミックシールド」を持ったSUVテイストのeKクロスをベース車両に選んだ理由について、商品戦略本部 CPSチームの今本裕一氏は、「三菱として電動化と、一方でタフネスをもったSUVがメーカーの骨子としてあります。アウトランダー、デリカもSUVを表出させています。eKクロスは軽のなかでSUVテイストをもったクルマ、つまり三菱を体現しているスタイルです。ただ単にEVだけを出したいわけではなくて、三菱らしい軽EVを出すということで、選択肢として(ベース車両が)eKクロスにしました」と語っている。

日産と三菱、中身は同じとはいえ戦略は大きく違うのだ。

〈文=ドライバーWeb編集部 写真=山本佳吾〉

ドライバーWeb編集部

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