2020/07/15 ニュース

新型アリアは一番高くて700万円!? 日産のフルスイングEVが世界初公開

7月15日にワールドプレミアとなった日産の新しい電気自動車、ARIYA(アリア)。その前日の14日、日産は報道陣向けにアリアの取材会を実施した。実質の価格は約500万円から。航続距離は最大610km。最新の4WDシステムを引っさげて、日産は新しいフェーズに突入できるのか!?

見た目はコンセプトカーそのまま!?

まず、明らかになった発売時期に触れておこう。日本での発売は2021年中ごろを予定。つまり、あと1年ほど先になる。


●公開された新型アリアのスペック


やはりEV(電気自動車)市場が巨大な中国、CAFE(企業別平均燃費基準)対応で電動化が急がれる欧州が先か…というのは早合点。世界で初めにローンチされるのは日本なのだ。リーフの発売も日本が最初だったが、今年からの新車攻勢で国内市場にしっかり向き合うという日産のアピールもあるかもしれない。

生産はリーフやノートeパワーと同じ追浜工場ではなく、GT-Rや海外向けインフィニティなど高級車を担当する栃木工場。そう、アリアはプレミアムEVと言ってもいい、ウワサ以上の商品力を秘めていた。


外形デザインは、東京モーターショー2019に出展されたアリア コンセプトとほぼ同じ。美しいルーフラインとたくましい腰下の対比が特徴的なクロスオーバーボディは、先進的というより未来的という表現が似合うかもしれない。


●写真のボディカラーは、「暁(あかつき)」と呼ばれるカッパー(銅)とブラックの2トーン。2トーンカラーは全9色、モノトーンは5種類を用意(仕向地により異なる)

ただしボディサイズには、“コンセプト”で公表された全長4600㎜・全幅1920㎜・全高1630㎜から変更が見られる。全長は4595㎜で同じだが、全幅は国内でも市民権を得ている1850㎜に縮小。1655㎜に若干高くなった全高はシャークフィンアンテナのためかもしれない。


グローバルCセグメントに属する点は変わりなく、国内の感覚ではミッドサイズに近い大きさだ。具体的な数値はまだ明かされなかったが、空力性能はクラストップレベルとのこと。また21インチだったタイヤ&ホイールも、19&20インチに改められている。


●左が19インチ、右が20インチ。いずれも空力に優れたデザインだ

ディスプレイは2連装で先進性をアピール

内装デザインもほぼ“コンセプト”のままだ。



●ディスプレイはS字になっていて、運転席前は内側に向けて、逆にセンターは外側に向かって湾曲している。運転手とそれ以外の乗員それぞれに見やすい角度を求めた結果だ

●地図画面や音楽など表示は、画面上を2本指でスワイプすれば運転席前のディスプレイにサッと移動させて表示可能だ

メーターには12.3インチのディスプレイを2連装。さらにユニークなのが物理スイッチを廃したインパネ中央部で、電源を入れると何もなかった木目調パネルにエアコンなどの操作スイッチが広く浮かび上がる。しかも、振動で操作感がわかるハプティクススイッチを採用。シフトノブやドリンクホルダーなどが配置された幅広のセンターコンソールは、ドライビングポジションに合わせて電動スライドが可能だ。


●エアコンなどのスイッチは、操作すると振動ともに点灯する

●大型のセンターコンソールは、位置を電動で調整可能

今回、残念ながら乗り込むことはできなかったが、室内の広さは一目瞭然。まさにミッドサイズのDセグメントに匹敵する空間が広がる。室内長の拡大には、空調ユニットのモータールーム配置も貢献。リチウムイオンバッテリーはもちろん床下一面に内蔵され、後席の足元は完全にフラットだ。



●車内は広々。電動サンルーフも設定があるようだ

●荷室容量はFFで466L、4WDはリヤにモーターを搭載するため、容量は目減りして408Lとなる。ちなみにフロアボード下にも収納スペースがあった

航続距離はロングでハイスペック!

大注目のパワーユニットは、まずバッテリーが65kWhと90kWhの2種類。小さいサイズでもリーフe+(62kWh)を上まわり、大きいサイズはジャガーIペイスに肩を並べる。サプライヤーは最大手の中国CATLと一部報道で伝えられるが、今回はそれについても伏せられたままだ。


●ボンネット下のメカ類は思ったよりもコンパクトな印象だった

駆動方式も2種類ラインアップされる。まず、日産がすでに技術発表しているツインモーター4WDの「e-4ORCE(イーフォース)」。GT-RのアテーサE-TSで培った4WD技術をベースに、1万分の1秒という極めて緻密な前後モーター制御と4輪のブレーキ制御を融合させ、快適な乗り心地を含めた革新の運動性能を実現する。

その実力は昨年10月に公開されたテスト車両(ベースはリーフe+だが中身は別モノ)で確認済みだが、今回新たな事実が判明! アリアe-4ORCEの動力性能はテスト車両の227kW(約309馬力)・680Nmと同等と見る向きもあったが、そのスペックはリーフe+と同じ62kWhバッテリーとの組み合わせだった。

https://driver-web.jp/articles/detail/23071/

今回明らかになったアリアe-4ORCEの動力性能は、90kWh仕様で290kW(約395馬力)・600Nmと、パワーでメルセデス・ベンツEQCやIペイスに肉薄! 65kWh仕様でも250kW(約340馬力)とフェアレディZ並みの高出力を誇るのだ。0→100㎞/h加速は、90kWh仕様で5.1秒、65kWh仕様は5.4秒で、一流のスポーツカーに匹敵する速さ。最高速はともに200㎞/hをマークする。

FFモデルも存在した!

そして、実用派ユーザーに最適なFFモデルの存在も明らかになった。WLTCモードを前提とした最大航続距離は、65kWh仕様でもリーフe+に迫る450㎞。90kWh仕様では、なんと610㎞を達成している。現時点でテスラ モデルSに肩を並べる世界トップレベルのロングレンジだ。e-4ORCEでもそれぞれ430㎞、580㎞の長距離を実現する。


モーターはもちろん新開発。リーフと異なり永久磁石を使わない誘導モーターだ。誘導モーターはテスラが採用して以降、EV界で注目されており、アリアでも高回転・高出力化や高速巡行時の消費電力低減を実現したキー技術の一つと言える。

充電時間が気になるが?

充電性能も抜かりない。バッテリーを最大130kWの急速充電に対応するとともに、バッテリー温度を一定に保つ水冷式の温度調整システムを搭載。30分の急速充電で最大375㎞分の充電を可能にしている。なお、日産は最大出力150kWのCHAdeMO急速充電器を2021年度内に国内の公共性の高い場所に設置できるよう、パートナーとの調整を進めている。


●急速充電口は、右フロントフェンダーの位置に。左側は普通充電口

日産は大幅な軽量化を実現する新しい遮音材「音響メタマテリアル」をCES2020に出展しており、この採用についても関心を集めた。が、アリアでは採用が見送られている。従来の遮音材をふんだんに使用することで、従来にない高い静粛性を実現しているとのこと。

サスペンションは、フロントがストラット。リヤにはマルチリンクを採用する。e-4ORCEを生かしきるシャシーの基本性能と、優れたパッケージングを両立する選択だ。タイヤサイズは全車に設定の19インチが235/55。グレード別設定の20インチは255/45とかなりワイドだ。

プロパイロット2.0がさらに進化!


先進運転支援装備はプロパイロットを全車に標準装備。最高峰のe-4ORCE 90kWhバッテリー搭載車は、ハンズオフ可能なプロパイロット2.0が標準となる。しかも、2.0はスカイラインから進化。準天頂衛生システムなどからの高精度測位情報を受信し、車線内における自車位置のより高精度な把握を可能にしている。


●シャークフィンアンテナが2本立つのがプロパイロット2.0搭載車の証。従来のアンテナに加えて、高精度測位情報を受信するためだ

北米にも導入予定で、現地フリーウェイの片側8車線といった複雑な状況でもハンズオフできる性能を持つのだ。ソフトウェアは無線を使った日産初のリモート・ソフトウェア・アップデートによって、つねに最新の状態に保たれる。日本市場にはリモートパーキングも搭載。


●プロパイロットパーキング。スマホではなく、従来のキーに追加されたボタンで操作するようだ

会話でつながる機能は「アマゾン アレクサ」

オーナーとアリアをシームレスにつなぐコネクテッド技術もトピックだ。空調やナビゲーションなどは、「ハローニッサン」で起動する音声認識機能で操作可能。音声認識はインターネットとつなげることでより自然な言語に対応するハイブリッドだ。


●充電インフラの場所はもちろん、ナビのルート検索と連携して、充電場所の提案もしてくれる。そのほか、アマゾン アレクサのサービスに加入していれば、クルマのなかから自宅のエアコンを付けたり、テレビを付けたりできる。まあスマホでやればいいのだが…

さらに、アマゾンの音声サービス「アマゾン アレクサ」も搭載する。音楽の再生、天気予報の確認、通話、さらにネットショッピングやスマートホームデバイスのコントロールなど、家庭と同じ音声操作が車内で行える。

アリアは現時点において、あらゆる面で世界最先端EVと言うにふさわしい機能・性能を備えているのだ。

価格はどうなる…リーフより買い得?


気になる価格については、「お客様の実質購入価格は約500万円からとなる見込み」(日産)。e-4ORCE を200万円高としても、1000万円クラスのEQCやIペイスに対するコストパフォーマンスの高さは圧倒的だ。テスラのモデル3やモデルYにも、性能・価格の両面で真っ向勝負を挑む。スタート価格と思われる65kWh仕様・FFは、車両価格が約500万円のリーフe+より買い得と言っていいかもしれない。また、トヨタRAV4 PHVも同じく500万円前後で、この対決も見ものである。

EV世界トップメーカーの座をかけ、日産が全身全霊を込めた一台。アリアの発売開始がとにかく待ち遠しい!

〈文=戸田治宏 写真=山内潤也〉

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