1992年、マンセル選手の圧倒的な速さがずっと話題になっていたシーズンでした。
そんな中でしたが、僕の興味の中心はマクラーレンホンダに乗るアイルトン・セナ選手。
普通にドライコンディションでレースすれば、マンセル選手についていくこともままならいほどの差がありました。
マクラーレンのホンダV12とウイリアムズのルノーV10の差というよりも、車体の差が大きかったと思います。
マクラーレンと言えば、ロン・デニスさん。
ガレージの床にはチリ一つないほど美しく、チームクルーの頭髪や身なりにを徹底し、メカニックの作業着にはオイルのシミのついたものを着用は厳禁するなどして、現代の綺麗なF1のイメージ作りの最先端の考えを持っていたのはこの人だと思います。
マクラーレンMP4/7AがイタリアGPのレズモコーナーを行きます。
ローダウンフォースのリヤウイングがいいです。
このイタリアグランプリでホンダの第2期参戦中止を発表しました。
ホンダの撤退発表はセナ選手にとっても大きなインパクトがあったに違いありません。
道具を使って争うスポーツであるわけですから、よりよいマシンを得ることがレースに勝ち、チャンピオンを取ることへの条件になるわけです。
予選で渾身のアタックをしてもウイリアムズのマシンに2秒以上離されてしまっている状況。セナ選手にとってフラストレーションの溜まるシーズンだったんでしょう。
開幕戦から5連勝をしていたマンセル選手を激闘の末に抑え、勝利を収めたモナコGPのセナ選手。
モナコGPの最多優勝者は、今でもセナ選手の6勝です。
この時は5勝目。
1992年にセナ選手は3勝しかできず、ドライバーズランキングはシューマッハ選手にも敗れてしまい4位でした。
現在に至るまでも、セナ選手とホンダという、この2枚看板が我々日本人にとってのF1そのものというイメージになっているというほど絶大なものでした。
そこにマクラーレンというチームの存在も加味されると、意味もなく「間違いなく速くて強くて安心」という刷り込み的イメージができあがっていたことが、2015年からの第4期のホンダF1参戦時の混迷を生む一つの理由だったように思います。
2019年のオーストリアでの優勝までの苦労は外から見ていても大変そうでした。
そして2020年はコロナ禍。間違いなくモータースポーツの業界に大きく影響を及ぼしています。
撤退と参戦を繰り返すと、空白の時間の経験を取り戻す作業がどうしても必要になり、その時必要な人材と投資額はさらに莫大なものになります。
ホンダという大企業にも影響は大きくあるし、F1活動の継続にもまた不穏な空気も流れるんでしょう。
継続は力なり!
祈るしかないんですが、もう振り出しに戻るのはやめましょうよという僕個人的な気持ちです。
次回は、1992年シーズンの日本人ドライバーなどを書いていきたいと思います。
〈文&写真=熱田 護〉
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