2018/12/20 ニュース

【自動車アセスメント:JNCAP】2018年度から予防安全性能試験に被害軽減ブレーキ「対歩行者:夜間」などを追加

国土交通省と自動車事故対策機構(NASVA)は2018年11月29日、2018年度(平成30年度)前期の自動車アセスメントの評価結果を公表した。「自動車アセスメント」は、ユーザーがより安全なクルマ選びができるよう、衝突安全性能や予防安全性能など、クルマの安全性能を評価するもの。また、メーカーに対してはより安全な製品の開発を促すことにより、安全なクルマ等の普及促進を図っている。今年度より新たに「対歩行者被害軽減ブレーキ(夜間街灯あり)」と「ペダル踏み間違い時加速抑制装置」等の安全性能評価が加わり、試験を実施している。
●「対歩行者被害軽減ブレーキ(夜間街灯あり)」のデモンストレーション

●「ペダル踏み間違い時加速抑制装置」のデモンストレーション
試験項目追加と併せて、従来から評価の採点も変更になっている。平成30年度前期の自動車アセスメント評価結果の前に変更点について解説する。 

2018年度からの「衝突安全性能評価」

自動車アセスメントの衝突安全性能評価は、乗員および歩行者の新たな交通事故実態を勘案し、得点が従来(平成23年度〜同29年度)の208点満点であったものが、2018年度からは100点満点となった。その内訳は「乗員保護性能評価」(59点満点)、「歩行者保護性能評価」(37点満点)、「シートベルトリマインダー評価」(4点満点)で、その合計を評価結果として公表する。ちなみに従来は「乗員保護性能評価」(100点満点)、「歩行者保護性能評価」(100点満点)、「シートベルトリマインダー評価」(8点満点)の合計により算出。208点満点としていた。
衝突安全性能評価試験配点(従来)
乗員保護性能フルラップ前面衝突21点(30点)59点(100点)
オフセット前面衝突21点(30点)
側面衝突15点(25点)
後面衝突頚部保護2点(15点)
歩行者保護性能頭部保護32点(75点)37点(100点)
脚部保護5点(25点)
シートベルト着用警報4点(8点)4点(8点)
 また、評価結果を5段階評価(☆の数)で表すスターレーティングを採用しているが、これも点数配分を変更。現在市販している自動車として獲得しなければならない最低限を基礎点を53.5点とし、☆の数による得点は以下のとおり。☆☆☆☆☆(82.0点以上)☆☆☆☆(72.5点以上82.0点未満)☆☆☆(63.0点以上72.5点未満)☆☆(53.5点以上63.0点未満)☆(53.5点未満)なお、最高評価の☆☆☆☆☆を獲得するためには追加条件がある。乗員保護性能試験の各試験および歩行者頭部保護性能試験において、最高評価から2段階以上下まわる評価を受けた場合には☆☆☆☆☆を獲得できないことになっている。  

「予防安全性能評価」ASVに+++を新設

2018年度からは被害軽減ブレーキ試験に夜間条件(40点満点)が追加されたほか、高機能前照灯(5点満点)、ペダル踏み間違い時加速抑制(2点満点)試験の得点が加わったことで、総合得点の満点が前年度の79点から126点に変更となった。これを踏まえて、総合得点による評価は12点超が「ASV+」、46点超が「ASV++」となり、新たに86点超には「ASV+++」を表示することになった。
予防安全性能評価試験配点
被害軽減ブレーキ(対車両)32点
被害軽減ブレーキ(対歩行者:昼間)25点
車線逸脱抑制16点
後方視界情報6点
高機能前照灯〈新規〉5点
ペダル踏み間違い時加速抑制装置性能〈新規〉2点
被害軽減ブレーキ(対歩行者:夜間)〈新規〉40点
 
年々進化するクルマの安全性能や、新たに追加される評価試験によって点数配分などが見直されることから、それ以前に実施した車両の試験結果とは単純な比較が難しい。第三者機関による公正な評価という点では、自動車アセスメントはたいへん意義のあるものだと思うが、今回の「衝突安全性能評価」のように、配点の変動などがあると車両の購入検討時の比較検討がしづらくなる。”より安全なクルマ選び”が自動車アセスメントの大義であるなら、ユーザー視点に立った、よりわかりやすい評価方法であるほうが好ましいように思う。  
自動車事故対策機構http://www.nasva.go.jp/ https://driver-web.jp/articles/detail/12639/

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