スズキは2018年7月5日、本格的な軽四輪駆動車の「JIMNY（ジムニー）」と小型四輪駆動車「JIMNY SIERRA（ジムニーシエラ）」をフルモデルチェンジし、全国のスズキ販売店で発売した。価格はジムニーが145万8000〜184万1400円、ジムニーシエラが176万400〜201万9600円。
1998年に３代目モデルが登場してから、じつに20年ぶりの全面刷新となった新型ジムニーとジムニーシエラ。1970年登場の初代からは、半世紀の歴史を刻むジムニーならではのこだわりと技術を継承しつつ、ジムニーに求められる本格的な四輪駆動車としての性能をさらに進化させている。
伝統を継承し進化する骨格構造
もちろん新開発のラダーフレームやFRレイアウト、副変速機付きパートタイム4WD、3リンクリジッドアクスル式サスペンションなど、車体構成はジムニーの伝統を継承している。これにブレーキLSDトラクションコントロールを新たに搭載し、さらなる走破性能を実現。
●ハシゴ形状のラダーフレームにＸメンバーと前後にクロスメンバーを追加した
●新設計のボディマウントゴム
具体的には、新設計となるラダーフレームは、ハシゴ状に組んだ上で、Ｘ型のメンバーと、前後にクロスメンバーを追加したことで、ねじり剛性は先代比で約1.5倍に向上。さらに車体とラダーフレームをつなぐボディマウントゴムを新設計。がっしりとしたラダーフレームにより、よく動く足と優れた操縦安定性を実現しつつ、乗り心地も改善している。
タフな走りに応えるパワートレーン
パワートレーンは伝統の縦置きエンジンによるFRレイアウトを採用。エンジンをフロントタイヤよりも後方に配置することで、悪路走行でも走破できる対障害角度を確保している。
3アングルは、アプローチアングル：41度、ランプブレークオーバーアングル：28度、デパーチャーアングル：51度で、最低地上高は205mmを確保する。
四駆機構は悪路走破性に優れる機械式副変速機付きパートタイム4WDを採用。路面状況に合わせて2WDと4WDを任意に切り替えられる。先代はモード切り替えはボタンによる操作だったが、セレクトレバー式とすることで、確実な操作感が得られるようになった。4WDは4H（高速）、4L（低速）のモード切り替えができる。4Lは通常の約2倍の駆動力を発揮し、急な登坂路や悪路の走破性を高める。ちなみに2WDと4WDの4Hモードの切り替えは走行中（100km/h以下）でも可能で、4Hと4Lは停止状態での切り替えとなる点は、先代と変わらない。
サスペンション方式は、前後3リンクリジッドアクスル式を先代に続き採用。一般的な乗用車の独立懸架式に比べて、凹凸路で優れた接地性と対地クリアランスを確保できるためだ。さらに過酷な使用環境にも耐える堅ろうさと信頼性もこのサス方式のメリットだ。
今回新たに電子制御のブレーキLSDトラクションコントロールを全車に標準装備。「4L（低速）」モードで走行中では、エンジントルクを落とすことなく、空転した車輪にだけブレーキをかけて、もう一方の車輪の駆動力を確保。荒れた路面でも高い脱出性能を実現する。また、坂道発進時の車両のずり下がりを防ぐヒルホールドコントロールと、下り坂でブレーキを自動制御するヒルディセントコントロールも標準化した。
さらに、悪路走行時にステアリングのキックバックを低減、高速道路走行時の振動を減少させるステアリングダンパーも新たに採用する。
ジムニーは専用チューン、シエラは排気量アップ
●ジムニーの5速MT
ジムニーは、先代の「K6A型」に代わり、「R06A型」660cc直3ターボエンジンを専用チューニングして搭載。最高出力は47kW（64ps）／6000rpm、最大トルクは96Nm（9.8kgm）／3500rpmを発揮。先代に対して、圧縮比アップやロングストローク化が図られている。最高出力は500回転少なく発揮されるが、トルクは0.7kgm低くなったが、低回転で太いトルクを発揮する出力特性となっていて、おもにオフロードでの走行性能が向上しているという。変速機は５速MTもしくは4速ATが組み合わされる。燃費性能は、WLTCモードで5速MTが16.2km／L、4速ATが13.2km／Lだ。
ジムニーシエラは、先代の1.3L「M13A型」から、軽量、コンパクト、燃費に優れた新開発の「K15B型」1.5L直4エンジンに改められた。最高出力は75kW（102ps）／6000rpm、最大トルクは130Nm（13.3kgm）／4000rpmを発揮。こちらは先代に比べ14馬力／1.3kgm高められている。オフロードはもちろんオンロードでも力強さとゆとりの走りを実現する。5速MTもしくは4速ATの組み合わせで、燃費性能は、WLTCモードで5速MTが15.0km／L、4速ATが13.6km／Lとなっている。
NEXT：使い勝手や機能美を追求した内外装
使い勝手を極めたスクエアなボディと伝統を受け継ぐデザイン
本格四駆としての走りの性能を高めただけでなく、見た目にもタフさを増したデザインは機能をそのまま体現したような潔さが魅力だ。
●ジムニー XC（ピュアホワイトパール）
デザインコンセプトは専門家が愛用する「プロの道具」として、機能を優先。車両の姿勢や状況を把握しやすいスクエアなボディ構成とし、面の剛性を高める造形を取り入れている。また、降雪時に雪がたまりにくい凹凸の少ないボディ形状を採用。機能に徹し、プロユースに応えるこだわりの造形としている。
●ジムニー XL（ブリスクブルーメタリック）
対してフロントフェイスには丸型ヘッドライトや5スリット入りのグリル、クラムシェルボンネットフードなど、ジムニーらしさを形作るデザインアイコンを取り入れている。
●ジムニーシエラ JC（シフォンアイボリーメタリック）
●ジムニーシエラ JL（キネティックイエロー）
ジムニーシエラは、ジムニーをベースにオーバーフェンダーとサイドガーニッシュを装着。先代よりも45mm拡幅したことで、力強さが増した。同時にトレッドも広がり、タイヤ幅も太くなったことで、高速走行時の安定性も高まるなど走行性能も高められているから、こちらもけっして見かけ倒しではない機能美が備わっているのだ。
●ジムニー カラーバリエーション
●ジムニーシエラ カラーバリエーション
スクエアボディは使い勝手と車内のゆとりを生む
●ジムニー XC（4速AT）
インテリアは運転のしやすさや操作性にこだわり、エクステリア同様に機能に徹したデザインとなっている。車両の姿勢や状況を把握しやすくするため水平基調のインパネとした。このほか、ドアミラー付近のグラスエリアを拡大して、視界を確保する形状のベルトライン構成としている。スイッチ類などの操作部には、光の反射を抑え小傷が目立ちにくいシボを採用。
フロントシートはフレームを高剛性・高強度化。同時に幅を先代に比べ70mm拡大するとともに、クッション性能の向上と耐圧分布を最適化して乗り心地を向上させている。
●ジムニー XC（4速AT）
居住性は、前席のヒップポイントを30mm後方に下げながら、前後の乗員間隔を40mm拡大している。また、スクエアなボディ形状のおかげで頭上や肩まわりの空間が広くなり、ゆとりを持たせた。
ムダなく使い倒せるラゲッジスペース
幅広いニーズに対応するため、ラゲッジスペースは機能性を追求した。リヤコンビランプをバンパー部に移設したことで、バックドア開口部はスクエアで大きくなった。先代ではリヤタイヤハウス部に小物収納の仕切りを設けていたが、これを廃してフラットな床面を拡大。さらに後席シートベルトを着脱式としたことで、後席シートバックを倒したときの床面がすっきりとし、スペースをムダなく有効活用できるようになった。
荷室の使い勝手をより高めるユーティリティナットと荷室フック用ナットが取り付けられる。リヤシートバック背面と荷室を樹脂化した「防汚タイプラゲッジフロア」を採用（ジムニーXG除く）。汚れに強く、荷物の出し入れがスムーズに行える。このほか、ラゲッジボックス（ジムニーXG除く）、ツールボックスを装備する。
安全装備も充実
スズキの予防安全技術「スズキ セーフティサポート」を採用。単眼カメラと赤外線レーザーレーダーを組み合わせた衝突被害軽減ブレーキ「デュアルセンサーブレーキサポート」をはじめ、誤発進抑制機能、車線逸脱警報機能、ふらつき警報機能、ハイビームアシスト、先行車発進お知らせ機能を搭載。さらに”車両進入禁止”や”はみ出し通行禁止”、”最高速度”の各標識をメーター内に表示しドライバーに知らせる「標識認識機能」を採用する。
衝突安全に関しては、軽量衝撃吸収ボディ「TECT」や歩行者障害軽減ボディを採用。運転席と助手席SRSエアバッグ、フロントシートSRSサイドエアバッグに加え、SRSカーテンエアバッグを全車に標準装備する。
［ジムニー バリエーション＆価格］
〈4WD・660cc直3ターボ〉XC……4速AT：184万1400円／5速MT：174万4200円XL……4速AT：167万9400円／5速MT：158万2200円XG……4速AT：155万5200円／5速MT：145万8000円※WLTCモード燃費は4速AT：13.2km/L、5速MT：16.2km/L
［ジムニーシエラ バリエーション＆価格］
〈4WD・1.5直4〉JC……4速AT：201万9600円／5速MT：192万2400円JL……4速AT：185万7600円／5速MT：176万0400円※WLTCモード燃費は4速AT：13.6km/L、5速MT：15.0km/L
ジムニーの詳しい情報は
こちらジムニーシエラの詳しい情報は
こちら
スズキ
http://www.suzuki.co.jp 
