2020/03/11 新車

SUVテイストにイギナシ! 改良版イグニスに乗ってみた

やっつけ感のなさに拍手喝采

スズキのコンパクトクラスのなかでもっともスタイリングにインパクトがあるのはイグニスだと思う。特にフェンダーの張り出しが大きなリヤスタイルは印象的で、背高かつ細長い(?)キャビンと合わせ、どこか国産車離れした雰囲気がある。


●ハイブリッドMF(FF・7速CVT)[ ]内は4WD主要諸元 【寸法㎜・重量kg】全長×全幅×全高:3700×1690×1605 ホイールベース:2435 最低地上高:180 車両重量:880[920] 【エンジン・性能】型式:K12C 種類:直4DOHC 総排気量:1242cc ボア×ストローク:73.0 ㎜×74.2 ㎜ 最高出力:67kW(91ps)/6000rpm 最大トルク:118Nm(12.0 kgm)/4400rpm 【モーター・性能】型式:WA05A 種類:直流同期電動機 最高出力:2.3kW(3.1ps)/1000rpm 最大トルク:50Nm(5.1kgm)/100rpm 使用燃料・タンク容量:レギュラー・32[30]L WLTCモード燃費:19.8[19.0]㎞/L 最小回転半径:4.7m 乗車定員:5人 【諸装置】サスペンション:前ストラット/後トーションビーム[3リンク] ブレーキ:前Vディスク/後L&Tドラム タイヤ:175/60R16 【価格】183万9200円[197万5600円]

今回の仕様変更では既存のモデルも内外装のリニューアルが実施されて新鮮味を増しているが、もっともわかりやすいカッコよさを演出したのが新設のハイブリッドMFだ。


ハイブリッドMF



●メーター盤面のデザインを一新。インパネは、ほかのグレードと異なり落ち着いたまとまり。新設のハイブリッドMFには、ハイブリッドMZ同様のパドルシフトが備わり、スポーティな走りも楽しめる

元来イグニスは、クロスオーバーデザインが特徴。だから、ガードバー風デザインのバンパーやルーフレールがうまくなじんでいる。4WDにはヒルディセントコントロールや発進時のスリップを抑制するグリップコントロールが備わり、180㎜のロードクリアランスも確保。悪路や積雪路では並みの生活四駆よりもずっと安心感がある。

とはいえ試乗車はFF。なので悪路を試すことはなかったものの、小さなボディがもたらす機動力の高さ、扱いやすさは軽自動車に近い感覚がある。4.7mの最小回転半径もほぼ軽並みで、運転のしやすさにおいては新しいフィットやヤリスに勝るところだ。

燃費も都心部の一般道で16.4㎞/L、一部渋滞区間のあった高速道路で19.6㎞/Lとまずまずのレベルにある。マイルドハイブリッドだからエンジンの再始動もスムーズで、日常の足にはお手ごろなのだ。


●レザー調シートはハイブリッドMFの専用アイテム。左右別々でスライド可能なリヤシートはかさばる荷物を積み込む際に重宝する。キャビンはタイトだが、後席も含めて窮屈というほどではない

ワインディングに持ち込んでも軽快な走りが楽しめ、ワイドトレッドならではの安定感は、軽とは大きく異なる。ちなみに足まわりは仕様変更前と変化なし。切り始めがややスローなパワーステアリングのセッティングもそのままだけど、慣れればそれもさほど気にならなくなる。

オートライトシステムや助手席シートヒーターの全車標準化もうれしい装備といえるが、先進安全装備についてはこれといった変更はない。クルーズコントロールはあっても追従タイプではないし、車線逸脱抑制機能やハイビームアシスト機能も付かない。4年ぶりの改良だったのだから、このあたりにも手を入れてほしいが、次回の改良でということか。

それにしてもこのハイブリッドMF(ちなみに最上級グレード)で180万円台、4WDを選んでも200万円でおつりがくるのだから、値段もお手ごろだ。カジュアルで印象的なスタイリングもイグニスの美点である。



●多彩なシートアレンジを活用すればかさばる荷物も積み込める。ラゲッジルームには深さのあるアンダーボックスが備わる

●ハイブリッドMF以外の既存グレードも新意匠のフロントグリルを採用。こちらの全幅は1660㎜(写真はハイブリッドMZ)

〈文=一条 孝 写真=岡 拓〉

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