一般の人が1日にクルマを運転する時間は平均1.5時間。つまり、ほとんどのクルマはほぼ1日中駐車状態にある。そこに着目し、ドライブレコーダーに本格的なセキュリティ機能を組み込んだのが、カーセキュリティメーカーの雄、加藤電機だ。
事故の瞬間を捉え、あおり運転や幅寄せなどの危険運転を記録するのがドライブレコーダーの役割。SDカードなどのメディアに記録された映像は、トラブルが起きた際に動かぬ証拠になるため、「もしもの備え」として装着率は高まるばかりだ。
ドライブレコーダーを走行中だけでなく、駐車中の「見守り」にも活用するという逆転の発想から生まれたのが、カーセキュリティと連動できるドライブレコーダー、SDR300Hだ。
ホーネットやバイパーなどのカーセキュリティブランドを展開する加藤電機では、すでに10年前に業務用のセキュリティレコーダー(セキュレコ)を市販化。「とても高価なうえに、プロセッサーの処理能力が低く、電源投入から起動するまでに30秒ぐらいかかったので、一般のユーザー向けに販売するのは難しかったのです」と、当時を振り返る加藤 学代表。
ちなみに、かつて加藤電機ではセキュレコの原型ともいえる「THEカメラマン」なる製品を富士フィルムと共同開発。「フィルムカメラのレリーズとカーセキュリティのホーネットを連動させて、ホーネットが警告作動すると撮影する仕組みでした」。
「イタズラや車上荒らしをする犯人の顔を見てみたい」という被害者心理から生まれたアイテムだったが、犯人に「撮られている」というプレッシャーを与えるのには十分だった。
活況を呈するドラレコ市場で他社との差別化を図るために、加藤電機が得意とするカーセキュリティ機能との連動が不可欠だった。
ベースモデルのSDR300Hは200万画素・フルHD画質の前方用カメラと、100万画素・HD画質の車内用カメラを搭載。前方/車内カメラはともに首振りタイプで自由に角度調整でき、液晶モニターは3インチの大画面。使用頻度の高いボタンを本体下部に集約し、使い勝手を高めた。
「セキュリティ屋」らしい性能が、寒冷地を想定した動作温度範囲。他社製品の下限がマイナス10℃もしくは0℃のところ、SDR300Hはマイナス30℃まで対応。
その理由について加藤氏は「道路運送車両の保安基準で定められた盗難発生警報装置の技術基準がマイナス℃~プラス85℃(車室内または荷室内に取り付ける部品)なので、この基準を参考にしました」と力を込める。
一見オーバースペックにも思われるが、厳冬の北海道から灼熱の車内まで、あらゆる温度域でも確実に作動する信頼性と、振動や衝撃をものともしない高耐久性を担保することが、セキュレコには欠かせなかった。
さらに、映像を記録する付属のマイクロSDHCカードは大容量の32GB。最大128GBまで対応し車両周囲や犯行の瞬間を逃さず捉える。
価格:オープン
●200万画素・フルHDの前方カメラと、100万画素・HDの車内カメラをコンパクトな筐体に収めた。どちらのカメラも首振りするので、本体を動かさずに角度調整できる。モニターは大画面で見やすい3インチのIPS液晶、電源やメニューなど使用頻度の高いボタンを本体下部にまとめ、使い勝手を高めている。寒冷地での使用を想定して、動作温度範囲の下限をマイナス30℃にした
●フロントカメラ最大記録解像度:フルHD(1920×1080) ●フロントカメラ最大フレームレート:30コマ/秒 ●フロントカメラ最大記録画角:水平111°/対角136° ●リヤカメラ最大記録解像度:HD(1280×720) ●リヤカメラ最大フレームレート:25コマ/秒 ●リヤカメラ最大記録画角:水平110°/対角130° ●付属メディア:マイクロSDHC(32GB)
ドライブレコーダーとしての基本性能を押えつつ、SDR300Hを監視カメラとして、カーセキュリティシステムとセットで鉄壁にガードするのがHSDR300-701だ。
セキュリティレコーダー機能の作動中は、動作確認LEDが点滅して警戒監視していることを周囲にアピール。さらに、イグニッションオン、ドア、ショックの各センサーが異常を検知すると、128dBの大音量サイレンとライトフラッシュで威嚇しながら、映像をすばやく記録する。
バッテリーの消耗を防ぐために常時録画ではなく、センサーが検知してから録画を開始。センシングの精度や技術には、長年日本の環境に適したカーセキュリティを追求してきた加藤電機のノウハウが生きている。
そして、カーセキュリティならではの機能がパニックモード。犯人と対峙することなく、専用リモコンで遠隔操作しながら映像を記録できる。
動画記録に長けたドライブレコーダーを活用し、走行中に加えて駐車中の愛車を見守る。カーセキュリティのパイオニアにより、ドライブレコーダーはさらなる進化を遂げた。
価格:オープン
ほとんどのユーザーは運転している時間よりも駐車時間のほうが長い……という実情を踏まえて具現化したのが、カーセキュリティシステム、ホーネットとの連動だ。
レコーダー作動中はLEDが点滅し警戒監視していることをアピール、異常を感知Cすると音と光で威嚇して映像で記録。さらに、専用リモコンでドラレコを遠隔操作できる。
1965(昭和40)年創業。FA(ファクトリーオートメーション)の技術をカーセキュリティに応用したのが90年代。誤作動防止装置を搭載することで一気に普及が進んだ。現在は独自のIoT技術を生かして、クルマを含めた社会や生活の安心を見守るセキュリティシステムを提案。
〈文=湯目由明 写真=澤田和久〉
〈問い合わせ〉
加藤電機
TEL:0569-21-6182
http://www.kato-denki.com/
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