2019/12/24 ニュース

ゲヒルン、三菱自動車、スカパーJSATが共同製作 「特務機関NERV災害対策車両」整備計画、始動!

「予想されうるサードインパクトを未然に防ぐ、そのためのNERV〈ネルフ〉と、エヴァンゲリオンなのよ。」(『新世紀エヴァンゲリオン』第七話より)。アニメ作品のなかのセリフが現実世界と融合するプロジェクトが始動した。


●ブラックの車体にNERV(ネルフ)のロゴも入る

2019年12月23日(月)、三菱自動車の新ブランド発信拠点「MI-Garden GINZA」(東京・銀座)で、「特務機関 NERV制式 電源供給・衛星通信車両 5LA-GG3W(改)」の共同製作発表および整備計画に関する説明会が開かれた。


●手前が“初号機”、奥が“弐号機”

同車は、災害による長期停電や通信網の途絶に備え、防災情報配信サービスの継続と近隣自治体への支援を目的とした災害対策車。ゲヒルン株式会社(GEHIRN:以下「ゲヒルン」)、三菱自動車工業株式会社(以下「三菱自動車」)、スカパーJSAT株式会社(以下「スカパーJSAT」)の相互協力により製作された。5LA-GG3Wは、ベースとなるアウトランダーPHEVの型式名称だ。

東日本大震災による計画停電や昨今の大型台風による長期間の停電といった過去の教訓をもとに、長期化する停電へのBCP(事業継続計画)に取り組むゲヒルン。現在、防災情報発信アプリ「特務機関NERV防災」などを通じて、防災・気象情報の解析および情報配信をしているが、停電や通信障害によって情報発信側(オペレーション拠点)が機能を停止してしまう可能性もある。そのリスクをできるだけ減らすため、災害時においても電力と通信を独自に確保し、防災情報配信サービスを継続すべく「特務機関NERV災害対策車両」整備計画を立ち上げた。


●ゲヒルンの石森大貴 代表取締役。自身、東日本大震災で甚大な被害を受けた宮城・石巻市の出身。当時は沖合の津波観測に関する情報がなく実際の観測情報を届けられなかったことから、情報整備の必要性を痛感したという

これに賛同した三菱自動車が2台のアウトランダーPHEVを、呼びかけに応じたスカパーJSATがアンテナ端末と通信サービスを提供。さらに内閣府宇宙開発戦略推進事業局準天頂衛星システム推進室が衛星安否確認サービスの端末を貸与することで計画が実現した。


●「ひとりでも多くの人に迅速に防災情報が行き届くように」と、ゲヒルンでは天気予報から地震情報、Jアラートやダム放流通知までさまざまな生活情報を配信し続けている

同車はアウトランダーPHEVをベースに、KYMETA(カイメタ)社の平面型アンテナ端末を搭載。スカパーJSATの通信衛星を経由してインターネットの接続が可能なほか、準天頂衛星「みちびき」を利用した衛星安否確認サービス「Q-ANPI」の端末も搭載。災害時に衛星経由で避難所の位置や開設情報、避難者数や避難所の状況といった災害用通信も確保する。


●平面アンテナは物理的ではなく電気的に衛星を自動補足する。そのため走行中も衛星を捉え、自動追尾も可能。簡単に双方向衛星通信を使えるのがメリット

なお、停電や通信障害によりオペレーション拠点に影響がない場合には、被災地に出動して災害対策本部や避難所などに、給電・充電サービス、通話サービス、Wi-Fiインターネット接続サービス、インターネットおよび みちびきの災害・危機管理通報サービスを利用した防災情報を提供。そのほか、災害派遣医療チーム(DMAT)による訓練や全国各地の防災イベントなどへの参加を通じて、災害対策車をモデルケースに自治体や企業が独自に電力や通信を確保する重要性を提示し、災害対策をさらに強化できるよう協力するという。


●左:JCSAT-2B(スカパーJSAT提供)、右:衛星安否確認サービス「Q-ANPI」端末(内閣府準天頂衛星システム戦略式貸与)

●オートサロンにも“出撃”する

2台の特務機関NERV制式 電源供給・衛星通信車両は “初号機” と “弐号機” と命名され、前車は東京エリア、後車は札幌エリアで2020年2月1日からの運用開始を予定。それに先立ち1月6日までMI-Garden GINZAで展示されるほか、初号機は1月10~12日に千葉・幕張メッセで開催される東京オートサロン2020への登場が予告されている。

〈文と写真=編集部〉

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