年末年始の帰省に役立つ!?　AIが渋滞を予知！関越道の渋滞を予測する実証実験が開始。【NEXCO東日本、NTTドコモ】

渋滞予測をチェックして回避したつもりだったのに、やっぱり渋滞にハマってしまった……。という経験をしたこともあるのでは？　でも、それも技術の進歩とともに過去のものとなるかもしれない。

これから関越自動車道（以下、関越道）を利用したドライブを計画している人に、特に注目してもらいたいのが、東日本高速道路（以下、NEXCO東日本）のドライブ情報サイト「ドラぷら」で新たに始まる、「AI渋滞予知」を活用した渋滞予測情報だ。

これは現在、NEXCO東日本とNTTドコモ（以下、ドコモ）が東京湾アクアラインで実証実験中の「AI渋滞予測」を、2019年12月20日（金）より関越道でも実証実験を開始。同日14時から「ドラぷら」にて30分ごとの予測所要時間と混雑の程度を示す予測交通需要を配信するというのだ。

「ドラぷら」のAI渋滞予知（実証実験）のサイト
https://www.driveplaza.com/area/kanto/traffic/ai_traffic_prediction.html

関越道は、NEXCO東日本管内でも渋滞が多く発生する高速道路である。その大部分は沼田IC（インターチェンジ）から練馬ICの区間で発生している。

関越道上りの沼田IC→練馬IC間に「AI渋滞予知」を導入

そこで、関越道上り線の沼田IC〜練馬IC間に「AI渋滞予知」を導入。利用者が選択した始点と終点に応じた予測所要時間と予測交通需要を案内する。関越道を利用する際に、この「AI渋滞予知」による予測情報を基に、出発時間の調整や立ち寄り場所の追加、乗降ICの変更など、渋滞を回避したドライブの計画立てに活用してもらう。

14時以降の「渋滞度合い」を予知

そもそも「AI渋滞予知」とはどういったものか。NEXCO東日本とドコモによる実証実験では、携帯電話ネットワークの仕組みを利用して生成されるモバイル空間統計のリアルタイム版により収集された人の動き「＝人口統計」と、NEXCO東日本が蓄積した過去の交通量や渋滞、規制などの実績を基に、ドコモが開発した「AI渋滞予知」技術と、NEXCO東日本が持つ車両の通過速度実績や交通工学的知見を掛け合わせることで、当日の人出から14時以降の所要時間と交通需要を予測するというものだ。

季節や天候による人出や他路線の利用状況も考慮

関越道をはじめとした都市間高速道路の多くは、ほかの高速道路との接続の影響も大きく、また、季節による目的地の変化などさまざまな要因で交通量や渋滞の発生状況が変化する。そこで、アクアラインで実験中の「AI渋滞予知」技術を拡張。“季節や天候により変化する実際の人出に基づいて各地点での交通需要を予測する技術”と、“各地点の交通需要の違いを考慮して所用時間を予測する技術”の2つを新たに取り入れることで、都市間高速道路でもAI渋滞予知の活用が可能になったという。

NEXCO東日本が、「AI渋滞予知」と従来の渋滞予報カレンダー（渋滞予測）の所要時間予測結果を比較した結果（下のグラフ）。1日の最大誤差が30分以上となる日が1/5（11%から1.9%）になるなど、大幅な改善が確認できたという。

・沼田IC〜練馬IC間を法定速度で走行した場合の所要時間：約79分
・評価対象：2015年4月15日（水）〜2019年5月31日（金）〈事故や規制の発生日を除く785日〉
・改善率：（従来予測の誤差の日数 − AI渋滞予知の誤差の日数）／従来予測の誤差日数

アクアラインでは高い満足度

アクアラインで実施中の「AI渋滞予知」実証実験についてのアンケート結果では、90%以上の利用者から継続利用の意思や高い満足度が確認できたという。また、「AI渋滞予知」を利用した人の半数以上が、利用時間を遅らせるなどの渋滞回避行動を実施。「AI渋滞予知」による行動変化も確認できたという。アンケードでの今後の展開先の希望の多い高速道路として、今回の関越道が選ばれた。

なお、関越道での実証実験は2020年3月末まで実施し、導入による効果の検証などを踏まえて、他路線への展開を含めて2020年度の本格導入に向けた検討を進めていくとのこと。

まずは、2019年末と2020年始の帰省ラッシュによる渋滞で、「AI渋滞予知」の効果が試されるというわけだ。関越道の沼田IC→練馬ICを利用予定の人はぜひ「ドラぷら」の「AI渋滞予知」を活用して、ストレスのないドライブに向けた計画を立ててほしい。

NEXCO東日本の高速道路情報サイト
https://www.driveplaza.com

〈文＝編集部〉