2019/12/11 ニュース

完成度は高い。だがライバルたちとの実力差は縮まった……ゴルフ8を本音で評価

2019年11月、ポルトガルで開催された8代目となる新型ゴルフ国際試乗会。海外では12月から発売を開始するが、日本上陸は2020年末となりそう。SUV人気に押され気味のCセグメントではあるが、昨今はマツダ3を筆頭にカローラ スポーツなど実力派が次々に新世代に移行している。満を持してのフルモデルチェンジとなったゴルフの実力とは。島下泰久氏が徹底レポート!

ゴルフのフルモデルチェンジとなれば、ふだんならば文句なしに盛り上がるところなのだが、今回はちょっと事情が違っていた。フォルクスワーゲンはその発表の1カ月前に電動化シフトに向けた第一弾として、新型BEV(電気自動車)のID.3を、将来的にはゴルフに代わる次代の乗用車だとして披露していたからだ。さて一体、通算8世代目となる新型ゴルフには、どれだけの力が込められたのか。そして、どの程度の出来栄えなのか。いつになく不安を抱きながら、試乗に臨んだのだった。
基本骨格にMQB(横置きモジュラープラットフォーム)を使うのは先代と共通。サイズも全長が26mm伸びて全高が36mm低くなり、全幅も1mmだけ狭められ、つまりほぼ変わらない(全長4284mm×全幅1789mm×全高1456mm、ホイールベース2636mm)。
しかし、クルマに乗り込むと雰囲気、激変である。その室内はまさにフルデジタル化されているのだ。アナログメーターに代わるデジタルインストゥルメントパネルは、表示内容を自在にカスタマイズ可能。地図表示やADAS(先進運転支援システム)など、昨今山程ある表示したい項目をヘッドアップディスプレイと合わせて、自在に選ぶことができる。その脇には同サイズのタッチパネル。インフォテインメント系だけでなく各種車両設定へのアクセスも、ほぼここに集約されている。タッチパネルのすぐ下には温度設定とボリューム調整のスライダーが。さらにその下には、ADAS、空調、パーキングサポート、ドライブモードセレクトの各機能へのジャンプボタンも並ぶ。
この手のシステムとしては決して煩雑ではないものの、階層構造のメニューは慣れるのに相当時間がかかりそう。「ハイ、フォルクスワーゲン」と呼びかけるAI音声入力機能も備わるが、日本仕様がどこまで対応してくるかは現時点では未知数だ。


走りっぷりも確かに進化を感じさせた。試したのは2モデル。1.5Lターボエンジンと7速DSGの組み合わせはeTSIを名乗るようにマイルドハイブリッド化され、減速エネルギー回生や加速アシストなどを行う。効果は絶大とは言えないが、燃費向上に繋がっているのなら価格次第ではアリとすべきだろうか。好印象だったのは2.0TSI。設計がほぼ一新され、デュアルAdBlue噴射によりNOx排出量を大幅に低減するこのエンジンは、トルクに厚みがありパワーの伸びも心地よく、走りを大いに楽しませてくれた。
 新設計のアルミ製サブフレームを採用したシャシーは、ジオメトリーやステアリング系の再チューニングも行われ、より高いリヤの安定感と、切れ味いい操舵感を獲得している。転がり抵抗を軽減させた新設計タイヤのせいか乗り心地にやや硬さがあったのは気になるが、骨太な走行感覚はさすがゴルフと唸らせた。ADASも進化も著しい。特にACC(追従クルーズコントロール)と車線維持システムを高度に連携させた新搭載のトラベルアシストを使うと、高速道路では210km/hまでステアリングに手を触れているだけでギクシャクした修正操舵のないスムーズな車線内維持を行いながら走行してくれる。これならストレスなく使えるだろう。

結論としてはゴルフはやはりゴルフ以外の何者でもなかった。ライバルたちとの実力差が縮まってきているのは間違いないが、それでも変わらず乗用車の範となる完成度を誇っていたのは間違いない。しかも、この大胆なデジタル化である。トンガッたプレミアムカーではなく、ゴルフでここまでやってくるのはスゴい。さながら「デジタライゼーションの民主化」。ただし、日本導入は2020年末以降と、まだ先になりそうだ。
〈文=島下泰久〉

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