2019/07/10 ニュース

【交通規制】2020年夏の交通混雑緩和に向けた「交通マネジメント」を試行。2019年7月24、26日は都心方向への交通規制あり【東京2020オリパラ】

東京オリンピック・パラリンピック開催まであと1年。大会期間中は多くの観客が競技会場に訪れる。そこで懸念されるのが道路の渋滞や鉄道などの公共交通の混雑である。大会期間中に何も対策を行わなかった場合は、道路の渋滞は現況よりも悪化し、鉄道においても混雑することが予想されている。首都高速道路の渋滞は約2倍に悪化、鉄道利用者も約1割増加(東京TDM推進プロジェクト資料より)するというからたいへんだ。そこで、大会期間中の関係者や観客の円滑な輸送と、物流を含めた都市活動の安定の両立を図るため、大会組織委員会は関係機関と協力した「交通マネジメント」を実施する。 

一般道・高速道路でオリパラ本番並みの通行規制を実施

これを踏まえ、事前準備と対策を講じるため2019年7月22日〜9月6日までの期間、交通混雑緩和に向けた大会本番並みの取り組みを試行する。道路交通に関しては、一般道で、大会前の交通量に対して一律10%減、さらに重点取り組み地区を設け、該当地区を出入りする交通量の30%減。首都高速道路に関しては交通量を最大30%減とすることで、休日並みの交通環境を目指すとしている。交通規制による効果の検証と2020年の本番に向けた予行練習を行うというわけだ。具体的には、オリンピック・パラリンピック開催期間に相当する日程で集中取り組み期間を設定し、「交通マネジメント」として交通需要抑制・分散・平準化を行うための取り組み「交通需要マネジメント(TDM=Traffic Demand Management )」と道路状況に応じて交通の需給関係を高度に運用管理する「交通システムマネジメント(TSM=Traffic System Management)」の2つを実施する。「交通需要マネジメント」では、交通混雑緩和に向けて各企業に協力を募り、参加企業は自動車の効率的な利用や公共交通期間への利用転換など、交通行動を変更して道路交通の混雑を減らす取り組みを行う。これには時差通勤やテレワーク(在宅勤務など)の推進なども含まれる。「交通システムマネジメント」は、「交通需要マネジメント」により全体の交通量を減少させたうえで、渋滞や混雑が想定される場合に通行規制などにより円滑な交通を維持する。2019年の試行では、7月22日から9月6日までの平日をスムーズビズ推進期間として設定し、協力企業各社が交通混雑緩和のための取り組みを実施。オリンピック期間に相当する7月22日〜8月2日を集中取り組み期間に設定し、7月22〜26日はチャレンジウイークとして、各社の取り組みのピークを合わせる。7月24日は取り組みのコア日だ。また、パラリンピック開催期間に相当する8月19〜30日も集中取り組み期間としている。「交通マネジメント」で交通状況を著しく変化させるのが「交通システムマネジメント」。これについては、集中取り組み期間の内、オリンピック開会式の1年前にあたる7月24日と、チャレンジウイーク中に交通量が多いと予想される7月26日に都心の一般道や首都高速道路で通行制限や規制を行う。また、予備日として8月23日の実施も予定している。 
●首都高速道路が公表している「交通規制予定マップ(7月24・26日)」
首都高速道路の7月24、26日の交通規制情報(https://www.shutoko.jp/ss/info2020/map/) 

[交通システムマネジメントの試行内容]

一般道:信号調整による環状7号線内側への流入抑制

都心部への流入交通量を減少させるため、環状7号線上の信号機について、5:00〜12:00にかけて都心方向への青信号の時間短縮などを実施

高速道路:本線料金所での流入調整、入り口閉鎖による本線流入調整

■都心部への交通量抑制のため、都心方向への高速道路における11箇所の本線料金所で開放レーン数を終日制限●首都高6号線(上り)・八潮本線料金所●首都高7号小松川線(上り)・錦糸町本線料金所●首都高川口線(上り)・川口本線料金所●首都高湾岸線(東行き)・鳥浜町本線料金所●首都高湾岸線(東行き)・湾岸浮島料金所●首都高3号狩場線(上り)・狩場本線料金所●第三京浜道路(上り)・多摩川料金所●東北自動車道(上り)・浦和本線料金所●常磐自動車道(上り)・三郷本線料金所●東名高速道路(上り)・東京本線料金所●中央自動車道(上り)・八王子本線料金所■選手村周辺等の4つの入り口については、大会期間中、大会関係車両専用となるため終日閉鎖を試行●首都高4号新宿線(上り)・外苑●首都高4号新宿線(下り)・外苑●首都高晴海線(下り)・晴海●首都高埼玉新都心線(上り)・新都心■高速道路の交通状況に応じて段階的に入り口を閉鎖●圏央道内側の302箇所の入り口の内、50箇所が対象・交通混雑が発生しやすい箇所の交通状況をモニタリングし、一定の交通量を超えた時点で渋滞を未然に防ぐために効果的な入り口閉鎖を実施。交通量が増加し続ける場合は、入り口閉鎖箇所を追加していく・閉鎖の解除については、交通状況を鑑み、渋滞などが発生する恐れがなくなった際に実施される 高速道路交通システムマネジメント(TSM)箇所一覧(PDF) 詳しくはこちら(https://tokyo2020.org/jp/games/transportation/management-test/)  

輸送テスト実施日は広域う回の検討を

テスト実施日の7月24日、26日は、都心エリアで本線料金所などでの交通規制を実施するため、その影響が実施箇所周辺にも広がったり、交通集中による渋滞などが予想される。都心を通過する必要のない人は、広域う回の検討が吉だ。このように、2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向け、今後さまざまな対策やテストが実施される。「交通マネジメント」の輸送テスト前の2017年7月21日には、東京オリンピックのテストイベント「READY STEADY TOKYO」の自転車競技(ロード)が開催される。武蔵野の森公園(東京都)をスタートし、フィニッシュの富士スピードウェイを目指し本番同様に行われる。コースや周辺道路は交通規制が実施され混雑も予想される。事前に情報を入手して、プランを練っておくとストレスも少なくドライブできるだろう。「READY STEADY TOKYO-自転車競技(ロード)」の交通規制はhttps://www.cyclesports.jp/depot/detail/116809(cyclesports.jp)を参照のこと (文=編集部) 

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