2018/07/26 ニュース

ここまですごいのか! 日本一の超高級車「センチュリー」の後席で、VIPでエグゼクティブな気分を味わう!!


21年ぶりにフルモデルチェンジしたトヨタの超高級車「CENTURY(センチュリー)」。1967年に国産車初の本格的ショーファーカーとして、当時の最新技術を惜しみなく投入された初代。30年の長きにわたり生産され、1997年に2代目にスイッチ。
●初代(1967年〜1997年)

●2代目(1997年〜2017年)
国産唯一となるV型12気筒エンジンを搭載するなど、匠の技と先進装備によりその座を確固たるものとした。そして21年後の今年、半世紀のわたって唯一無二の存在を堅持しつづけるショーファードリブンは、3代目として新たな歴史を刻むべく走り出した……。 

「継承と進化」がキーワード

新型センチュリーは「継承と進化」をキーワードに開発された。”継承”は初代からのショーファードリブン”CENTURY”たる存在感はもとより、匠の技の伝承や、超高級品質と手作り、そして、おもてなしの心といった”ものづくり文化”を伝え継承。これにデザイン面での新しさや、環境性能の向上や先進安全装備の搭載など、時流に沿ったアップデートを織り込んだ。そして静粛性や乗り心地の向上など、20年分の”進化”を加えた。といっても、1960万円というプライスタグは、世のおとーさんのショッピングリストにフツーに挙がるクルマではない。永田町やら企業の車寄せからエグゼクティブな人たちが後席に乗り込み、お抱え運転手が厳かに走らせる。そう、スーパープレミアムな社用車として認識されているクルマが、センチュリーなのではないだろうか?何だかスゴいらしいセンチュリーの、超ひさびさのフルモデルチェンジに際して、エグゼクティブな人が座る後席でエクスクルーシブな生体験ができる機会をトヨタがメディア向けに用意。そこで、ここぞとばかりに(!?)後席シートに乗り込み、前のめりで実感レポートする。  

センチュリーとご対面(!?)外観を細かくチェックする

外観は、見るからにセンチュリー。一見プレーンな面構成ながら、じつはスゴい。というのが超高級車の奥ゆかしさか。フロントフェイスは大きな縦桟タイプのグリルに、職人が1カ月半をかけて彫り込んだ金型を使い作り上げた「鳳凰」エンブレムが光る。思いっきり近づくと、羽毛が精密に表現される彫りの細やかさや、立体的かつ躍動感あふれる造形を堪能できる。そのままグリル部をのぞき込むと、円を重ねた”七宝模様”が奥に見える2重構造となっているのがよくわかる。この日本伝統様式の”和柄”である七宝模様は、新型センチュリーの独特の世界観を表すデザイン面での重要なエレメントとなっている。

 エクステリアにはほかにもヘッドライトやテールランプにも配されている。インテリアには、ガーニッシュやスピーカーグリル、スカッフプレート、オプションのカーテンなどなど、あちこちにこの七宝模様があしらわれている。でもそれはイヤミなくさりげないもの。 
サイドビューは、これぞセダン!的な端正なたたずまい。水平基調のキャラクターラインは、間隔の狭い2本のプレスラインで構成される”几帳面(きちょうめん)”と呼ばれる特徴的な断面を採用。これは平安時代の屏障具(へいしょうぐ=目隠しなどの仕切りとして使われる調度品)の柱にあしらわれた面処理の技法で、エッジの効いた2本の線の角を研ぎ落としてラインが1本に見えるようにデザインしているのだ。傾斜を立てた太いクオーターピラーは後席の存在感を強調し、ショーファーカーらしいデザインに仕上げられている。 
ステンレスの窓枠は、継ぎ目の位置にもこだわる隙のない精巧なつくりだ。開発者は後席の窓枠を”額縁”と表現。後席のエグゼクティブがここから顔をのぞかせたときの情景が、まさに1つの絵になる。ということらしい。特に後席のウインドー開口部の幅にもこだわっていて、エグゼクティブが深く腰掛けているときは、ひと目を気にせずくつろげる空間となる。街なかを走るセンチュリーを見れば、後席に乗っている人の顔がわからないはず。”公私”の境がここにあるのだ。うまくできてますなぁ。 

漆黒の新規開発色”神威”

今回取材した車両のボディカラーは、新規に開発したエターナルブラック。センチュリー独自の色名で言えば「神威(かむい)」だ。英・和どちらも先代からある名称ながら、こだわり抜いた塗装により、ほかとは違う”黒さ”を実現。漆黒感を高める黒染料入りカラークリア層を含め、7層の塗装に研ぎと磨きを加えて深いツヤと輝きを追求している。さらに日本の伝統工芸である漆塗りを参考に、流水のなかで微細な凹凸を修正する”水研ぎ”を3回行い、最後に”鏡面仕上げ”を施すという手の込みようだ。 
見どころはCピラーにあり。傾斜を立てた平板な形状のそれは、エグゼクティブが乗り込むときの”姿見”の役割も果たすという。実際、鏡のように映り込み、”ちょっとおぐしを整えておこう……”的な使い方にも対応。ナルシストでなくても思わず見とれてしまいそうになる。もちろんつややかな塗装面を、ですよ……。 

お待ちかね(?)の後席インプレッション

後席に乗り込む。が、自分でドアを開けて……なんて不粋はなし。運転手がサッと近づき、スッとドアを開けてくれる。M○タクシーとも違う、おもてなし感だ。慣れない作法に、車内に踏み入れる足の位置をすっかり見誤ったが、サイドシルからほぼフラットにつながる、毛足の長いカーペットのおかげでバランスを崩すことなく車内に乗り込めた。 
シートに腰を落とすと、別次元な座り心地にふたたびアメージング! ふっかふかなソファに体が包み込まれる。クッション部にはS字ばねだけでなく、コイルばねを用い、体の重みを受け止める。だから”ソファのような座り心地”ではなく、ソファそのものなわけです。”スポーティな走りでワインディングを気持ちよく走り抜け、それをしっかりと受け止める……”とはまったくもって正反対だ。適度にコシのあるクッションとサイドサポートがうんぬん言うのはやぼというもの。 
後席は、助手席の後ろに位置する左側が最上の乗り心地を提供するスペシャルシートだ。リクライニング機構(電動)はもとより、助手席がグッと前進して足を伸ばしてもあまりある足元空間が出現する。ヘッドレストを前倒しにして後席からの見晴らしにも考慮。さらに助手席シートバック背面にはオットマン(もちろん電動)が備わる。極めつきはマッサージ機能。分刻みの予定をこなして移動の合間に疲れた体をほぐし、リラックスする。そんなエグゼクティブのための癒やしの装備。できれば、長く居座りたい。だって気持ちいいんだもん。 
これらの装備の設定などは、後席中央のアームレストの大画面モニター上でエアコンやオーディオ設定も含めて操作できる。慣れないと手間取りそうだが、そんなときは運転手にちょっとお願いすれば、運転席から設定・操作してくれるので心配いらない。 
後席右側には特別な機能は備わっていないが、足元空間の広大さは左側とさほど変わらない。もちろん電動リクライニング機構も備わるので、エグゼクティブ仲間が座っても不満は出ない(ハズ)。 

後席がこんなにくつろげるなんて……。

クルマは静かに走り出す。心臓部は、先代レクサスで使われていたのと同じV型8気筒5Lハイブリッドエンジンを搭載する。環境性能に優れるのはもちろん、職人の手作業で張り込んだ防音材によって静粛性を極めた室内に、よけいな雑音を入れないという配慮に十分役立っている。走行中にエンジンがかかっていても、音質はまったくもってイヤミがない。
 


特筆すべきは、スカイフックな乗り心地だ。荒れた路面や凸凹な場所を通過しても、そのショックはほとんど感じられない。フワッと優しく突き上げをいなしフラット感を維持する。サスペンションだけでなく、タイヤやソファのようなシートなど、すべてが後席のくつろぎ空間のために仕事をしている、のだろう。 
でも、じつは、そんな超高級車が持つ、最上のおもてなし空間を台なしにしない、運転技術を持ち合わせた運転手が一番すごいのでないか? とも思ってしまうほどの滑らかなステアリングさばきにも感心させられた。今回の後席試乗のステアリングを握っていたのは、トヨタ東京本社で役員が乗る車両をドライブする”ホンモノ”のショーファーだったからだ。かくして、後席試乗は終了した。これほどまでに”後席中心”なクルマづくりは、国産車では唯一無二というのも納得できた。


でも、ひとつ心残りがある。クルマ好きたるもの、やっぱりステアリングを握ってクルマの素性を感じてみたい。というわけで、”ドライバーズカーとしても使える!? センチュリーのステアリングを握る編”も計画中! 乞うご期待!? 写真=澤田和久、岡 拓、編集部
 センチュリーの詳細情報をもっと知りたい!という人はこちらへ 
トヨタhttps://toyota.jp/  https://driver-web.jp/articles/detail/7939/

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