2017/11/01 イベント

ざん新な未来の走行システムの提案 -Pickup TMS2017-

NSK(日本精工)

「フレックス コーナー モジュール コンセプト」

東京モーターショー2017の会場では、自動車メーカーのさまざまな未来のモビリティの提案や夢のあるコンセプトカー展示で来場者を楽しませてくれる。と同時に、自動車部品メーカーも各社、技術力の高さをアピールする場としてクルマ好きの興味を引く展示を行ってる。そんななか、メカメカしく奇妙に動く足まわりを展示しているブースがあった。東3ホールのNSK(日本精工)だ。ブース内の一番目立つエリアに置かれたそれは、「フレックス コーナー モジュール コンセプト」というコンセプトモデル。このコンセプトはNSKの3つの最新技術が盛り込まれている。 

2モーター式のインホイールモーター

まずは、ホイール内にモーターを設置する次世代ドライブシステムである「ホイールハブモーターフィット」。これはいわゆるインホイールモーターと呼ばれるもので、今回独自に2つのモーターを連携して制御するシステムを開発。内蔵された小型トランスミッションが変速することで、走り出しの駆動力を確保しつつ、高速走行を可能とする。さらに2モーター化の最大のメリットは、従来の1モーター式に比べてそれぞれのモーターを小型化でき、ほぼタイヤの幅に収めることができることだ。カットモデル(写真)のタイヤサイズは195/45R18だが、ユニットのはみ出しはわずか。もっと幅のあるタイヤを装着すればはみ出さないだろう。そのことを説明員に尋ねると、「確かにそうですね。しかし普及する際にはこれよりも狭い幅のタイヤもありますので、現実的なサイズで見ていただきたいとおもい、あえてこのサイズで展示しています」と答えてくれた。さらに「ホイールも既存のものが使えますので導入によるハードルは低くなっています」とも。

 


5つのアクチュエーターが自在に動くサス

2つめの技術は「バリオリンク サスペンション」。個別に動く5つのアクチュエーターによって、最適なジオメトリーを作り出せるというものだ。トー角やキャンバー角、車高、トレッドが自由に設定できる。操舵もこのアクチュエーターにより行えるのだ。コンセプトモデルでは一見、節度感なく動いているように見えた。が、実際に搭載するとなれば、最適な位置を基準として設定すればよいわけで、そこから任意にジオメトリーを変更して使用できる。これは、例えばカーシェアリングなど不特定のユーザーが使うクルマの場合に有用で、その使用用途に合わせて設定を変えられる。シティユースなら小回りが利くようにトレッドを狭く、ロングドライブの高速走行時には直進安定性重視のセッティングにできる。さらには乗り心地のチューニングもできるなど、1台のクルマでまったく性格の違う走りの味付けが可能だという。

 

滑らかにかつレスポンシブなブレーキシステム

3つめはブレーキの電動化に欠かせない「電動ブレーキブースター」である。電気自動車や自動運転技術の普及により、ブレーキの電動化が進んでいる。回生ブレーキ協調や緊急自動ブレーキを高レベルで実現するためには、ブレーキアシストを電動化する「電動ブレーキブースター」が欠かせないという。これにはさまざまなタイプが存在するが、ベアリングを生業とするNSKがもっとも有力だと考えるのがボールねじ式であるという。回転運動と直線運動を高効率で変換可能なボールねじはモーターの力を素早くブレーキの力に変換できる。そこで、より抵抗の少ないボールねじの循環構造を開発。ここでのポイントは、ギヤの回転により動くボールを始点に導く際の経路をギヤに内蔵したこと。これにより循環のためにバイパスさせるパイプが必要なくなり、ボールのスムーズな移動と、ギヤのコンパクト化を果たしているのだ。ちなみにバリオリンク サスペンションのアクチュエーターも、このボールねじを内蔵しており、スムーズで素早いレスポンスを実現。
 「走る」、「曲がる」、「止まる」という3つの技術1つにまとめたのが「フレックス コーナー モジュール コンセプト」。これらの技術の融合により、クルマの走行安定性や乗り心地など、さまざまな進化を期待できる。電気自動車がさらに普及するとき、どんなカタチで採用されているのか。非常に楽しみな技術提案である。
東京モーターショー2017 NSK(日本精工)出展ブース:東3ホール E3302
 

RANKING