2018/02/15 ニュース

フォルクスワーゲン 待望のディーゼル車を発表!

ベストセラーモデル「パサート」に

ディーゼルターボエンジン搭載車を導入。

 
●来日したDr.エッケハルト・ポット氏。新しいTDIエンジンについて語った
2015年に発覚したVWのディーゼル不正問題……。あれから約2年後の2018年2月14日、ついに日本に新しいVWディーゼル車、「パサート/パサート ヴァリアント」が上陸した。このモデルに搭載されるデ2Lディーゼルエンジンは、日本のポスト新長期排ガス規制をクリアした新しい「TDI」エンジン。ちなみにVWが日本でディーゼル車を販売するのは20年ぶりとのことだ。この発表に際し、新型パサート TDIシリーズに搭載されたディーゼルエンジンの説明会を実施。この会には、VWグループジャパンの取締役社長のティル・シェアとVW本国の先進ディーゼルエンジン開発部長のDr.エッケハルト・ポットが登壇。パネルデイスカッションではモータージャーナリストの清水和夫氏、石井晶道氏も参加した。
 

新しい「TDI」はどんなエンジン?


ディーゼル車は、中距離走行の場合、ガソリン車と比較すると平均で20%燃費に優れているという。そんな燃費性能のほか、力強い加速などの魅力により、日本でも昨今輸入ディーゼル車の販売が好調になっている。もちろんこれらのクルマは、世界的にも厳しい日本の排ガス規制クリアしたモデルたちである。ディーゼルエンジンには、燃料を自己着火させるという独自の燃焼方法ため、排気ガスをクリーンにするには課題があった。例えば、燃焼温度が高くなると発生するNOx、一方で低燃焼時に生成されるPMの2種類だ。最新型のパサートは、独自の排ガス浄化システムを開発。具体的には……・コモンレール式燃料噴射システム→[NOx減][PM減]約2000barもの超高圧で燃料の軽油を燃焼室内に直接噴射する電子制御式コモンレールシステムを採用。噴射時期の自由度を高め、燃料消費を抑えつつ燃焼室内の急激な温度と圧力上昇を防ぐ。これによりNOxの発生を抑え、PM発生も抑止する理想的な完全燃焼を実現する。・DPF(ディーゼルパティキュレートフィルター)→[PM減]排ガス中のPMを吸着するDPF付き触媒を排気管のなかに設置。DPFに堆積した炭素微粒子が一定量になると、エンジン制御などによりフィルターの温度を上げるなど、堆積したPMを化学反応により燃焼・除去してDPFのフィルタリング機能を維持するとともにPMの排出を抑制する。・SCR(選択触媒還元)システム→[NOx減]SCRシステムとは、酸化触媒を通過した排ガスに尿素水溶液「AdBlue(アドブルー)」を噴射することで、NOxを化学反応。無害な窒素(N2)と水(H2O)に還元する排ガス浄化システムだ。アドブルーは専用タンク(13L)に蓄えられ、一定の走行距離ごとに補充が必要となる。消費の目安は、1000km走るごとにアドブルーは1.5L程度で、残量が少なくなると走行可能な距離にあわせて4段階にわけて警告音・警告表示でドライバーに残りの走行可能距離を知らせる。・EGR(排気再循環)システム→[NOx減]燃焼室内の燃焼温度が高くなるとNOxの発生量が増えるため、一旦排出した排ガスを再びエンジンに還流させることで燃焼温度を下げ、NOxの発生を低減させるのがEGRだ。燃焼室内に吸入する空気に酸素量の少ない排ガスを混ぜることで、酸素より温まりづらい二酸化炭素の濃度を高め、燃焼温度の上昇を抑えてNOxの生成を防ぐ。今回導入する新しいTDIエンジンは、還流させる排ガスをターボチャージャーの下流から取り出す「低圧タイプ」のEGRを採用。このタイプはターボチャージャーに作用する排ガスの流量(排気エネルギー)がEGRに損なわれにくいことに加え、ターボチャージャーの過給圧も落ちづらいため優れたエンジンレスポンスも実現可能。また、EGRクーラーも装備し、さらに排ガス温度を下げられるため、より密度の高い排ガスを燃焼室内に送りこみ、燃焼温度を抑えることが可能なのだ。以上のシステムにより、市街地や高速道路まで、高効率でゆとりのある走りを満喫することができ、Fun To Driveを実現した。新型パサート「TDI」シリーズは、2LのTDI+6速DSGのみをラインアップ。価格は、パサート(セダン)が422万9000〜489万9000円。パサート ヴァリアント(ワゴン)が442万9000〜509万9000円。電動化の流れは世界中に波及しているが、すべてのクルマが電気自動車になるわけではない。適材適所、地域ごとの環境問題に即したカタチでパワートレーンは進化していくはずだ。そんななかでのディーゼルエンジン。「今後も重要な存在として開発し続けていく」と語られた。 パサート/パサート ヴァリアントの詳しい情報はこちら 

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