2023/01/24 ニュース

航続距離が伸びる!? BBSが新素材を使った電気自動車(BEV)用ホイールを開発中

第三の素材として開発が進められている「フォルテガ」

昨シーズンからF1とNASCARへの鍛造ホイールのワンメイク供給をスタートしたBBSジャパン。オートサロンの初日に開催されたプレスカンファレンスには代表取締役社長の北 秀孝氏が登壇し、2023年のBBSジャパンの取り組みについてスピーチを行った。



BBSジャパンのブランドメッセージである「最高のお気に入り。」をユーザーに届けるべく、新たな3つの取り組みを紹介。BBS鍛造ホイールに込められた「強さ・軽さ・美しさ」の3つの要素を実現するために、①ホイールの第三の素材を新たに開発 ②F1で培った技術を引き継ぐ「F1コンセプト」のマグネシウムホイール ③今後発売予定のプロトタイプモデルが披露された。

①「第三の素材」

強さを特徴とする新たな素材。BBSジャパンではこれまで鍛造ホイールの素材として開発を続けてきた。BBSジャパンがアルミニウム合金を用いて鍛造ホイールの製造に着手したのは1983年。第二の素材は「超超ジュラルミン」で2011年に初めて鍛造ホイールの素材に採用され、今回第三の素材として新たに開発されたのがアルミニウム合金新素材のFORTEGA(フォルテガ)。BBSジャパンの専用素材として開発されたもので、名前の由来はイタリア語で「強い」を意味するフォルテ(forte)と、「合金」を意味するレガ(lega)を組み合わせた造語で、フォルテガは超超ジュラルミンと並ぶプレミアム鍛造ホイールの素材と位置付けている。

フォルテガを使ったホイールの開発に着手したのは、大容量バッテリーとパワーユニットを搭載するBEV(電気自動車)など、これまで以上にホイールに強さと軽さが求められる重量級のクルマが増えつつあり、カスタムの世界ではホイールの大径化がトレンドになっていることが背景にある。こうした市場のニーズを満たすために今後フォルテガを使った鍛造ホイールをラインアップに加えていくという。

BBSジャパンがフォルテガ製鍛造ホイールの開発時に意識したのがICE(内燃機関搭載車)とBEVの重量差。同サイズのICEに対して約15~20%BEVのほうが重く、航続距離を延ばすためにバッテリー容量も増え、重量増は避けられない。クルマが重くなるとホイールに求められる剛性・強度への要求値が高くなる。ホイールの剛性を高めるためにはホイール自体の重量増も避けられないが、新素材のフォルテガは従来のアルミニウム合金に比べて剛性を保ちながら約10%の重量軽減が可能になり、強度は20%向上する。

同一車両・同一タイヤの条件でBEVを使った社内テストを実施。16㎏/1本の純正ホイールと、フォルテガで作られた9kg/1本のBBS鍛造ホイールでバッテリー消費を比べたところ、BBS鍛造ホイールは約8%改善された。このようにホイールの軽量化はBEVの課題である航続距離や電費の向上に大きく寄与するのだ。

高い強度と剛性、軽さを兼ね備えたフォルテガはデザインの自由度を高める。ブースには立体感や繊細さ、伸びやかなデザインといったBBSらしさを表現したフォルテガのプロトタイプを履くタイカンが飾られた。



同一デザインのアルミ鍛造製ホイール(右)とフォルテガ製鍛造ホイール(左)を見比べると、フォルテガ製ホイールはアルミ鍛造に比べてスポークが細く、リブの繊細さが強調され、より引き締まったフェイスデザインを実現している。



②「F1で培われた技術のフィードバック」

BBSジャパンでは昨シーズンからF1に鍛造ホイールをワンメイク供給していて、全20台のマシンにシーズンを通して5000本近くに納めている。BBS鍛造ホイールの特徴はF1をはじめとするモータースポーツ向けのホイールも、エンドユーザー向けのホイールも分け隔てなく同じ工場・工程で作られていること。モータースポーツ最高峰のF1で得た知見を生かして、最軽量素材のマグネシウムを使った「F1コンセプト」のプロトタイプが発表された。商品化を目指して開発テストを進めていて、プロトタイプを装着したフェラーリF8スパイダーが展示された。





③「発売予定のプロトタイプ」

軽自動車で初めて日本カー・オブ・ザ・イヤーを受賞したサクラに「RP」の新色オフホワイトを装着して展示。「RT-X」は夏ごろ発売予定で、ハイエースなどの1ボックス車向けにJWL-T規格をクリアしている。このほか超超ジュラルミン製鍛造ホイール「FR-D」の新加飾、「LM」の期間限定販売色「セレナイトブラウン×ブラックダイヤカット」が披露された。





〈文と写真=湯目由明〉

ドライバーWeb編集部

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