2023/01/21 ニュース

トヨタ車体が企画!ウワサのランドクルーザー専門店「ランクルBASE」に行ってみた

●1月21日にプレオープンしたランドクルーザーの専門店「ランクルBASE」

1月21日、トヨタ車体は新たな試みとしてランドクルーザーの専門店「ランクルBASE」の営業を愛知県刈谷市で開始した。この「ランクルBASE」はランドクルーザーをより長く安心に乗り続けてもらうためのメンテナンスや、ユーザーのニーズに合わせたカスタマイズを行い、さらにオフロードの楽しさを味わうイベントまでを総合的に扱う、ランクルファンのためのスペシャルショップとして企画されたものだ。


●店舗は事務所とショールームの2台のトレーラーハウス

ランドクルーザーといえば、その堅牢性で長年世界中のユーザーから高い評価を得ているモデルだ。それだけに「ランクルにもっともっと長く楽しく乗り続けたい」という声は多いそうで、そういうニーズへのアプローチの一例として提案されたのが先頃開催された東京オートサロン2023にトヨタ車体が出展した「LAND CRUISER40 × LAND CRUISER70」というわけだ。


●手前の黄色いボディがランクルの製造を行うトヨタ車体自らが手がけた”ヨンマル”と”ナナマル”のニコイチ「LAND CRUISER40 × LAND CRUISER70」

1960年に登場し、今なお高い人気を誇るランクル40のスタイリングとランクル70の信頼性の高い足回りを組み合わせた、いわば中古車のリノベーションモデルで、この1台にはランドクルーザーの開発から生産までを手がけるトヨタ車体ならではのノウハウがつぎ込まれている。2002年製HZJ71Vのベアシャシーと1978年製BJ40Vのアッパーボディを組み合わせたこの出展車両は「ランクルBASE」で今後ナンバー取得に向けた様々なアプローチがなされるという。例えば、全長の違いにより収まらなかったラジエターはBJ40Vのボンネットをストレッチすることにより解決する方針で、3Dスキャンによる計測データをVRを活用しながら検証し違和感のないフォルムを実現するという。


●70のベアシャシーに対して明らかに短い40のボディ。これでは70のラジエターは収まらない


●ラジエターを収めるためこの辺をこのくらいストレッチする予定だという。これまで様々な特装、架装を手がけてきたメーカーならではの品質が期待できそうだ

また、土台となる2002年製ベアシャシーより四半世紀も古いアッパーボディの各部に手を入れ2002年時の法規に合致させるという。このようなプロセスを積み重ねることによりユーザーの様々な「○○したい!」という希望に対応するノウハウを積み重ね、ここで得た知見は全国のトヨタディーラーへ公開していく事も視野に入れているそうだ。ランドクルーザーの開発を担っているトヨタ車体の取り組みだけにその期待は大きい。


●シートベルトの取り付け方法や強化ガラスから合わせガラスへの換装など現代のクルマとして生き延びるための法的な変更は多岐に渡る

一方でトヨタ車体はラリーチーム「TEAM AND CRUISER(TLC)」でモータースポーツ活動にも積極的に参加している会社だ。中でもダカールラリーでは市販車改造部門で10連勝中という強豪で2023年大会では300GR-Sのデビューウインも達成している。


●トヨタ車体のラリーチーム「TEAM AND CRUISER(TLC)」のランドクルーザー300GR-S。ダカールラリーから帰国したばかりのドライバー三浦昂選手もメディア向け内覧会に駆けつけてくれた

過酷なダカールラリーを戦い抜くマシンというのは様々なアフターパーツメーカーと手を組みながら実現する究極のカスタマイズ車両ともいえるもので「ランクルBASE」を訪れるユーザーの望むカスタマイズも様々なアフターパーツを活用しながら、モータースポーツで積み重ねた知見も生かしながら実現していきたいとのことだ。


●取材時にはショールーム内にダカールラリーで使用された貴重なアイテムが多数展示されていた

また、トヨタ車体グループは、本格的なオフロードコースからキャンプ場まで揃ったアウトドア施設「さなげアドベンチャーフィールド」を擁しておりオフロードライフを楽しむイベントの用意も十分すぎる規模で対応する。

じつは、今回は今年の半ばに予定されている正式オープンに向けたプレオープンという扱いで、現時点では具体的なサービスメニューの体系が提示されていないのだが、この点について店長を務めるトヨタ車体の三浦正人氏はこれから「ランクルBASE」訪れてくれるユーザーの様々な声を聞きながらランドクルーザーのの持つ可能性を最大限に引き出せるようなお店として正式オープンの日を迎える予定だと語った。もちろんプレオープン期間中でもカスタマイズ、用品販売、整備、車検は行っている。


●プレオープン期間にとことんランクルファンの生の声を聞きながらお店を作っていきたいと語る「ランクルBASE」の三浦正人店長

トヨタ車体はランドクルーザーの開発から生産まで手がけるメーカーだ。それゆえ、これまではユーザーと直接交流する機会はあまり多くなかったとのことだが、今回プレオープンした「ランクルBASE」はユーザーとコミュニケーションをとる場としての期待も大きいという。この新しい取り組みで得たユーザーの声は未来のランドクルーザーに活かされる可能性ももちろんある。ユーザーの声がメーカーに直接届く拠点ができることは長い目で見ればユーザーにとっても朗報だろう。また、多くの要望がこのお店に集まればヘリテージパーツの販売にもつながる事もあるだろう。

なお店舗の運営はトヨタ車体のグループ会社でありランクルの特装車を生産し車検・整備事業を運営する株式会社 東海特装車が担当する。


●東海特装車内に設けられた「ランクルBASE」の整備ブース

大切に乗り続けてきた古いランドクルーザーと長く付き合っていきたいユーザーにとっても、これからのランドクルーザーに夢を抱く人にとっても、「ランクルBASE」の登場には大きな期待が持てそうだ。

■「ランクルBASE」
所在地:愛知県刈谷市一里山町(株)東海特装車 富士松工場
営業時間:火~土 9:30~19:00 日/祝 9:30~18:00
定休日:月曜日、ゴールデンウィーク、お盆、年末年始

〈文と写真=高橋 学〉

ドライバーWeb編集部

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