2022/10/01 オーナーズボイス

懐かしの珍車「スズキ マイティボーイ」に一目惚れ!22歳女性オーナーが語るクルマ愛とは

通称「マー坊」で親しまれたスズキのマイティボーイ

クルマ選びの基準は、性能や機能性、憧れなど人それぞれ。今回紹介するマイティボーイのオーナーであるデザイナーのrouさんは、その見た目に惚れてこのクルマを選んだとのこと。デザイナーという職業らしい選択理由だが、このクルマが初のマイカーなのも驚きだ。旧車ならではの苦労にもめげずに4年以上所有しているのだから、なかなか力強く頼もしい。そんなマイティガールrouさんとマイティボーイのカーライフに直撃した。



オーナー:rouさん(22歳)
車両:スズキ マイティボーイ
グレード:不明
年式:1983年式
在住:神奈川県
走行距離:3万キロ(取材時、メーターは一周目でない可能性大)

〇:運転席から見える自身お気に入りの風景
×:部品供給の面で心配があること

■見た目に惚れて購入

rouさんがマイティボーイを購入したのは2018年4月のこと、高校を卒業して専門学校に入学するタイミングで購入したそうだ。

「もともとすごくクルマ好きというわけではないのですが、いろんなクルマに乗れる“幅”を広げたいと思って、MTの免許を取得したんです。高校を卒業する前から購入するクルマを色々と検討していました」

そして選んだのがスズキのマイティボーイ。その存在を発見したのは父親だったという。



「もともと父と音楽の趣味などが似ています。また父もそこまでクルマ好きというわけではないのですが、何だかおもしろそうなクルマを一緒にネットでチェックしていたりしたんです。そしたらこのマイティボーイというクルマを見つけてくれて、見た目に一目惚れ。中古車を調べたら埼玉に出物があったので、父と一緒に実家の静岡から現車チェックに行って、購入を決めてしまいました」

こうしてrouさんの初のマイカーは、48万円で購入したマイティボーイに決定した。もっとも気に入っているポイントは、運転席に座って見上げると、外の風景と屋根が一緒に見える景色だと言う。



「伊豆の修善寺にある虹の郷という施設で走っている列車が昔から好きなのですが、マイティボーイの室内から上を見ると、オレンジのボディも相まってその列車からの車窓と似ている雰囲気なんです。自分だけの落ち着く空間でこの景色を見ることができるのが、とても気に入っています」

■我が子のように

rouさんはマイティボーイで遠出したりせず、日々の買い物やちょっとしたドライブに愛用しているという。



「遠くに行ったりはしませんが、このクルマに友達を乗せて遊びに行くことはあります。周りはクルマを知らない友達がほとんどなので、このクルマで迎えに行ったりすると新鮮な反応を見せてくれますね。また、弟や妹も乗せたりするのですが、家には両親のクルマもあるので、古くて乗り心地の悪いマイティボーイにはあまり乗りたがりません…でも私自身はこのクルマが気に入っていて、4年以上ずっと一緒にいたので、なんだか母性が湧いてきている感じです」

そんなrouさんが母性を自覚したエピソード。それは駐車場でマイティボーイが見えなかったときのことだった。



「マイティボーイは(旧規格の軽自動車で)全長が短いので、左右に大きなクルマが駐車すると遠目では車体が見えないことがあるんです。大雨の翌日に駐車場へ行ったら、他のクルマの影に隠れてマイティボーイの姿が見えなくて。じつは『クルマ買い取ります』のチラシが挟まれたこともあり、一瞬盗まれてしまったかと思って本当に焦りました。近くに行って見たらちゃんとあったので安心しましたが、そのとき『わが子が迷子になったら、母親はこんな気持ちなのかな』と思いました」

■マイティボーイとこれからも

rouさんがマイティボーイを愛車にして驚いたこと。それは、このクルマが注目を集める存在だったことだ。

「正直見た目で選んで購入したので、最初はこのクルマのことをしっかりと知らなかったんです。購入してからマニア人気が高いことを知ったので、ここまで注目されるクルマなのには驚きました。たまたま道ですれ違ったほかのマイティボーイのオーナーさんから手を振られることも。これからは、そういったマイティボーイの友人も増やしていきたいなぁと思っています」



そしてrouさんの目標。DIYで整備をできるようにすることだ。

「オイル交換は自分で行っているのですが、それ以外の整備やメンテナンス、修理などはショップにお願いしています。これから徐々にレストアしていきたいと思っているので、クルマやメンテナンスに関する知識をもっと身につけて、マイティボーイをいつまでも元気に走らせていきたいです」

rouさんとマイティボーイ。一目惚れからスタートした出会いだが、エアコンがないキャブレター車、そしてさまざまな故障にもめげずに現在でも乗り続けているのだから、その愛は本物と言える。



〈文と写真=西川昇吾〉

ドライバーWeb編集部

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