2022/09/21 コラム

秋の交通安全運動がスタート! 昨今、重点的に取り締まりを行う違反とは

2021年の違反別取り締まりのトップは一時不停止で約159万件。2位のスピード違反(約106万件)を大きく引き離している。

2022年は9月21日(水)から30日(金)までの10日間、秋の全国交通安全運動が行われる。交通取り締まりはどうなるのか。めちゃくちゃ厳しくなるんじゃないか。仕事で日々運転する方々は、やっぱり気になるだろう。

7月5日、警察庁交通局長が「令和4年秋の全国交通安全運動の実施について」という通達を発出している。クルマ、バイクの取り締まりに関する部分を拾ってみよう。まずはこう書かれている。

「歩行者が関係する交通事故の発生時間帯・発生場所を重点に、歩行者の保護に資する交通指導取締りを推進するほか、可搬式速度違反自動取締装置を活用した取締りを実施するなど、通学路等における交通指導取締りを強化すること。」

「歩行者の保護に資する」取り締まりといえば、いちばんは横断歩行者妨害だ。道路交通法第38条が要するにこう定めている。

1、横断歩道に接近したとき、横断しようとする歩行者がいないことが明らかな場合を除き、車両は徐行しなければならない。
2、横断しようとする歩行者がいるときは、車両は横断歩道の手前で停止しなければならない。

歩行者妨害の取り締まりは、2021年は約33万件。全体の中ではそう多くないが、近年の“伸び”が著しい。10年前の2011年は約7万件だった。警察庁は「交差点違反」の取り締まりに重点を置くようになったのだ。歩行者妨害、2022年はもっと増える可能性がある。

あと、一時不停止もやばい。2021年の違反別取り締まりのトップは一時不停止で約159万件。2位のスピード違反(約106万件)を大きく引き離している。

可搬式オービス(ネットでは移動式と呼ばれる)の取り締まりについては、今回は省略しよう。ちらっと言えば、最近ゲットした警察文書によると、東京航空計器の可搬式、LSM-300とLSM-310は、いわゆるネズミ捕りの測定機としても使うのがどうも当たり前になりつつあるようだ。

通達は、飲酒運転についても言及している。

「飲酒運転の実態について、必要な調査・分析を行った上で、飲酒取締りの時間帯、場所、方法等の有効性について検証するとともに、関連情報の組織的な活用を図り、飲酒運転根絶に向けた効果的な取締りを推進すること。」

たとえば歓楽街で飲酒した運転者たちが、そこを通らないと帰宅できない橋とか、調べてがっちり取り締まるってことか。

妨害運転(いわゆるあおり運転)についてはこう書かれている。

「車間距離不保持等の重大な交通事故につながり得る違反に対する交通指導取締りを強化すること」

警察庁交通局長がこう通達したのだから、高速道路交通警察隊の警察官たちは車間距離不保持をそれなりに取り締まらざるを得ないだろう。

ところで、毎年春(4月)と秋(9月)の交通安全運動の期間、取り締まりはめちゃくちゃ厳しくなるのか。手元に、警視庁の「所属別交通違反取締一覧表(動的違反)」というのがある。その毎月のデータを、何年まで私は開示請求したのか。ファイルに綴じられた形で今見つかるのは、申し訳ない、2004年分から2011年分までだ。2010年と2011年の月別の取り締まり件数を拾ってみよう。

     2010年   2011年
1月  7万0769件   6万9364件
2月  7万7180件 7万5159件
3月  8万9870件 6万6446件
4月  8万1309件 9万3025件
5月  7万3495件 9万1778件
6月  7万4774件 9万0677件
7月  7万9754件 8万4567件
8月  8万1769件 8万0279件
9月  8万2314件 8万7979件
10月 8万1083件 7万9354件
11月 7万5823件 6万9441件
12月 7万2805件 7万4356件

どうです、2011年の4月は前月よりどかんと多いが、5月とあんまり変わらない。全体として、4月と9月がめちゃくちゃ多いってことはない。ただ、以上は古いデータだ。今年の9月がどうなるかは分からない。最近のデータを近日中に開示請求しますんで、お許し下さい~。

とにかくね、クルマ、バイクは便利で快適だけども、一瞬の油断で凶器になる。じつは怖ろしい道具だってことを常に忘れないように、交通安全運動の期間かどうかに関係なく。

文=今井亮一
肩書きは交通ジャーナリスト。1980年代から交通違反・取り締まりを取材研究し続け、著書多数。2000年以降、情報公開条例・法を利用し大量の警察文書を入手し続けてきた。2003年から裁判傍聴にも熱中。2009年12月からメルマガ「今井亮一の裁判傍聴バカ一代(いちだい)」を好評発行中。

ドライバーWeb編集部

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