2022/06/14 コラム

駐車取り締まりの民間委託、じつは大赤字の県も! それでも辞められない実情

山梨県警と昭和総合警備保障の契約書の一部。情報公開条例に基づいて開示を受けた

■放置違反金は、地方自治体の財源

駐車取り締まりがらみで、誰も知らない話をしよう。めちゃくちゃ大変な、ある意味かわいそうな話だ。

まずは前提を。2006年6月、駐車取り締まりの民間委託と「放置違反金」の制度が全国一斉にスタートした。要するに、違反者本人が反則金を払ってもいいし、違反車両の持ち主が放置違反金を払ってもいい、という制度だ。違反者=持ち主であっても、放置違反金で決着すれば違反点数が登録されない(いわゆる減点がない)。近年は8割強が放置違反金で決着している。

【参考記事】駐車違反で出頭したら明らかに損!なのに…富山の巡査が家族を身代わりに出頭させた、なぜ?

反則金と罰金は国庫へ入る。放置違反金は、取り締まりを行った都道府県の収入になる。“小泉行政改革”で補助金をごそっと減らされた地方自治体に、新たな財源として与えられた、それが放置違反金だ。天恵、天の恵みだと喜んだ自治体もあった。

放置違反金は、公安委員会の納付命令を経て徴収する形になっている。制度スタート翌年の2007年、納付命令は235万3830件だった。放置違反金は車種などによって金額が異なるが、仮に平均1万5000円として計算すると約353億円だ。

ところがその後、納付命令の件数はぐんぐん減った。駐車監視員諸氏は「運転者の皆さんが知恵をつけたんでしょう。簡単に取れなくなりました」、「不景気なのか、全体に車が減りましたね」などと言う。とにかく納付命令はどんどん減った。2021年は、たった75万6316件。2007年の3分の1以下だ。

それでだ、駐車取り締まりで使われるあの黄色い駐禁ステッカーを「確認標章」という。その取り付け件数の、2021年の都道府県別のデータが私の手元にある。取り付け件数の全国合計は91万203件だ。

【データ】都道府県別、確認標章の取り付け件数(一部)

さっき、納付命令は75万6316件と出てきた。取り付け件数より15万3887件、約17%少ない。理由としては、とりあえず次の4つが考えられる。

1、違反車両が“金融流れ”だとかで持ち主をたどれない。
2、ちゃんと管理していたのに盗まれ、盗んだ奴が駐車違反をして逃げた。
3、確認標章の大事な部分に誤記があった。
4、外国大使館の車両だった。

さて、問題はここからである。確認標章の都道府県別の取り付け件数は、ばらつきが大きい。上位はこうだ。

ドライバーWeb編集部

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