2022/06/13 コラム

都会でたくましく生きる猛禽類をひっそり撮! 「三好秀昌のニッポン探訪・取材ウラ話 第28回〜チョウゲンボウ」

ドライバー2020年3月号からスタートした新連載「(じつは)動物カメラマン 三好秀昌の『ニッポン探訪』」。日本全国をSUVで駆けまわり、かわいい動物や最高の絶景を撮影してしまおう!という企画です。第28回は東京で撮影にチャレンジした『チョウゲンボウ』。撮影テクニックやクルマのインプレッション、その地域のグルメやお土産情報など、取材ウラ話をいろいろと紹介します。
 
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猛禽類というと何か恐ろしい生き物にも感じるが、チョウゲンボウは黒目が優しいとてもかわいらしい鳥である。
 
多くの野生動物が生息する東京
 
大都会と言われる東京ではあるが、思いのほか自然が残っている。
それだけに、多くの野生動物が生息している。これは東京都下を指しているだけではなく、23区でも同じように野生生物はしたたかに生き延びているのだ。
 
まるで、森や林が失われていくスピードを野生動物の順応能力が追い越しているかのようにも感じる。かつては自然環境のバロメーターのように言われていたオオタカは23区中、2つ3つの区で春から子育てをしているし、清流にしか住まないといわれていたカワセミもそこかしこの川で見かける。少し郊外なら、夜、耳を澄ませばフクロウやアオバズクの鳴き声も耳にすることができる。
 
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●アオバズク~初夏になるとやってくるフクロウの仲間
 

これこそホントの「タヌキおやじ」!
 
あるとき、オッサンが公園のベンチに座って辺りを見まわし、何かを投げている光景を見かけた。明らかに挙動不審。
 
どうやら野良猫に餌をやってるようだ。あとでそのベンチに行ってみると何もいない。そして、しばらくすると植え込みの中からゴソゴソと何か出てきた。黒っぽい。でも猫ではない。タヌキだ! 野良猫に餌をやる猫オバサンはたまに見かけるが、これこそホントの「タヌキおやじ」だ(笑)。
 
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●タヌキがウロウロ 


ワイルドライフin東京
 
そして、ビルからヒナが落っこちてきて大騒ぎになった東京・調布駅前のチョウゲンボウというハヤブサの仲間。ここではもう何年前から営巣していたけれど、ほとんどの人は興味がないから気が付いていない。だからニュースになって初めて、こんなのがいるんだ~と大騒ぎになるのである。

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●チョウゲンボウのヒナ
 
そう言うオイラもアフリカでラリーをやっていたころは時間があればマサイマラという動物保護区でライオンやチータを探しまわっていた。そのころはまさか日本で、いや東京でワイルドライフが楽しめるなんて想像すらできなかった。まあそれが普通の感覚だ。
 
それがムササビ、タヌキ、キツネ、テン、サル、カモシカ、鹿、イノシシ、テン、フクロウ、オオタカ、ハヤブサなどなど、数えればもっと出てくる動物たちが夜な夜な人間の生息圏内で闊歩しているのだ。アフリカみたいに昼間から堂々と姿を見せないが、そっと人を避けるように生息している動物たちを知恵と予測で見つける楽しみもたまらない。

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●カワセミ
 
また動物たちも「ハッ、見つかっちゃった!」という顔をするのだ(笑)。少なくともオイラにはそう見えて、接近遭遇のアイコンタクトがメチャクチャ楽しくてしようがない。
 
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●ムササビ
 
コロナの時代には人込みを避けたアニマルウオッチング、オススメです!
 

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「今回の機材」
カメラボディ:SONY α9
レンズ:FE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSS
シャッタースピード:1/4000秒
絞り:F7.1
ISO:250

空中戦をする猛禽類にはシャッタースピードをアゲアゲに
 
チョウゲンボウはハヤブサの仲間だけに直滑降したときのスピードがハンパなく速い。それをどうしてもアップで撮りたいと思うと、シャッタースピード(SS)をどんどん上げていくしかない。流し撮りもいいのだが真横に飛んでいるわけではないので、角度を合わせるのが非常に難しいのだ。
 
ドライバー本誌のメインカットでは、目いっぱい近づいたときを想定してSSを上げていったら1/8000秒まで行ってしまった。これはちょっとやりすぎだが、至近距離だとこれが正解のときもある。

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●チョウゲンボウ三つ巴
 
この写真は1/4000秒のSSだが3羽のチョウゲンボウが絡み合ったあと、パッと三方へ弾けるように散ったときのもの。
 
こんなシチュエーションこそハイスピードシャッターじゃないとすべてを止めることができない。こういうシーンがいつ来るかはわからないが、空中戦をする猛禽類はSSを上げて準備していないとブレブレになってしまう。高めのSSは保険でもあるのだ。


深大寺そばと『ゲゲゲの鬼太郎』
 
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●深大寺参道
 
調布といえば深大寺。深大寺と言えば「そば」である。
お寺の周りにはたくさんのそば屋が並んでいる。玉石混交ですばらしくウマいものもあれば、端っこの切れ端を集めたようなクズそばを出す店までいろいろだ。
 
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案内所にはそばマップもあるので、それをもって食べ比べるのもオツである。調布は『ゲゲゲの鬼太郎』の作者の水木しげるさんが住んでいたので、参道の入り口に鬼太郎茶屋があり人気だ。

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●鬼太郎茶屋
 
この辺りでもタヌキやカワセミをたまに見かける。


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「オススメのSUV……フォルクスワーゲン Tロック」
■TDI Rライン 主要諸元
(7速DCT/FF)
全長×全幅×全高:4250mm×1825mm×1590mm
ホイールベース:2590mm
最低地上高:──
最小回転半径:5.0m
エンジン種類:直4DOHCディーゼルターボ
総排気量:1968cc
最高出力:110kW(150ps)/3500~4000 rpm
最大トルク:340Nm(34.7kgm)/1750~3000rpm
燃料/タンク容量:軽油/50L
WLTCモード燃費:18.6km/L
タイヤサイズ:225/40R19
価格:459万9000円
 
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オールラウンドで楽しめる使い勝手のいい1台
 
このクルマのいいところはサイズ感だ。住宅地へのアプローチはすれ違うのにギリギリの道幅も多いが、Tロックの全幅1825mmというのは1800mmオーバーとはいえすれ違いにストレスが少ない。
 
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そして、コンパクトなサイズは車重の軽さにもつながり、軽快なハンドリングを見せてくれる。FF(前輪駆動)なのでリヤタイヤの抵抗も少ない分、タイトコーナーでもシャープな動きを見せる。

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ディーゼルエンジンは静かな夜間はややノイズを感じさせるが、大きなトルクが生み出す出足のよさで市街地をのんびり走るのも楽だし、ワインディングも加速のよさで楽しめる。抑えて走れば高速道路での燃費も軽く20km/Lを超えてくるから、燃料高騰のご時世にもピッタリだ。
 
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アダプティブクルーズコントロールや先進安全装備も充実しているので、長距離移動も快適で安心の1台である。
 
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〈文と写真〉
三好秀昌 Hideaki Miyoshi
●東京都生まれ、日本大学芸術学部写真学科卒業。八重洲出版のカメラマンだったが、ラリーで頭角を現し、そのうち試乗記なども執筆することに。1995年、96年にはサファリラリー グループNで2年連続優勝。そのほか、国内外で数多くのラリーに参戦。写真家としては、ケニアでの豹の撮影など、動物をおもな題材としている
YouTube「Maddogチャンネル」

ドライバーWeb編集部

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