2022/04/18 コラム

可搬式オービスによるスピード違反取り締まり…「青切符」と「赤切符」の内訳は?   

大阪での取り締まりデータを入手!

「可搬式速度違反自動取締装置による超過速度別取締件数」という珍しい文書(大阪府警作成)を、申し訳ない、パソコンの奥の奥のほうに眠らせていた。2020年7月の保存となっている。当時、マニア氏から何か情報を得て「じゃあそれ開示請求してみましょう」となりゲットしたような、遠い記憶あり。だいぶ遅れたけども、お披露目しましょう。

その前に、前提となることを少し。

・「速度違反自動取締装置」はだいぶ昔から「オービス」と総称される。だからつまり可搬式オービスについての文書だ。
・文書には「令和元年12月~令和2年5月末現在」とある。通訳すれば、2019年12月1日~2020年5月31日まで半年間の件数ってことだ。
・「自動車専用道路における取締件数を含む」とある。阪神高速も含むわけだね。
・たとえば「40未満」とあるのは、超過速度が30キロ以上40キロ未満という意味だ。

そんなこと踏まえて、大阪の可搬式オービスの、半年間の超過速度別取り締まり件数は…!

 30未満 127件
 40未満 35件
 50未満 10件
 50以上 7件
 合計  179件

「可搬式は青切符の速度違反(※)も取り締まると聞いてたが、30キロ未満だけで、合計179件中127件、約71%かあ、けっこうやってるなあ」でしょ。阪神高速は、40キロ未満が青切符の対象だ。35件中何件が阪神高速か不明だが、そっちも含めての青切符は、もう少し多いことになる。

警察庁から開示を受けた別のデータによると、2019年度末(2020年3月末)時点で大阪府警は可搬式を1台保有していた。その後、可搬式2台(2式)を税込み2274万8000円で購入したが、納入期限は2021年3月31日。だからつまり、2019年12月1日~2020年5月31日は1台で取り締まったわけだ。

高価な装置なんだもの、週に3回程度は使用しておかしくない。半年間、週3回使用として割り算すると、1台につき1回の取り締まりで約2.5件だ。うーん。何が「うーん」なのか、その理由は「可搬式オービス、24時間で25台を撮影…現場警察官のSOSが聞こえる?」のほうをちらっとお読みいただければ。

大阪府警の、可搬式オービスの超過速度別取り締まり件数、これをパソコン内に発見したのが2022年4月だ。私はすぐ警察庁へ電話した。全国のデータを警察庁は持っているはず。開示請求したい。だが「ない」とのことだった。そういえば、と思い出した。2020年7月頃にも警察庁と同じやりとりをした記憶がある。

けれども、大阪府警だけがあの半年間についてだけ集計したとも考えにくい。そのへん、これから調べていきたい。

※超過速度が30キロ(高速道路と自動車専用道路では40キロ)未満は、いわゆる青切符で処理される。行政罰である「反則金」を払えば処罰の手続きは終わる。違反点数は1~3点だ。

一方、超過速度が30キロ(同40キロ)以上だと、いわゆる赤切符が切られる。かなり悪質だと切符(迅速処理のための共用書式)ではなく通常書式で処理される。反則金ですますことはできず、刑事罰(罰金または懲役刑)の対象とされる。違反点数は6点または12点だ。

固定式のオービスは長年にわたり赤切符の速度違反のみを取り締まってきた。現在も固定式は赤切符のみかと思われる。

文=今井亮一
肩書きは交通ジャーナリスト。1980年代から交通違反・取り締まりを取材研究し続け、著書多数。2000年以降、情報公開条例・法を利用し大量の警察文書を入手し続けてきた。2003年から裁判傍聴にも熱中。2009年12月からメルマガ「今井亮一の裁判傍聴バカ一代(いちだい)」を好評発行中。

ドライバーWeb編集部

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