2022/01/05 カー用品

グッドイヤーの最新スタッドレスタイヤ「アイスナビ8」の実力を試す!

写真:山内潤也

グッドイヤーのアイスナビ(ICE NAVI)シリーズは、1997年に初代が発売。以降20年にわたって販売されているプレミアムスタッドレスタイヤだ。シリーズ最新モデルがアイスナビ8で、同シリーズ初の左右非対称パターンを採用した。

また、雪上や氷上の冬性能だけでなく、新たな軟化剤によって柔軟性を持続させ、雪道での性能劣化を抑え込み高次元でバランスをとっているという。今回はアイスナビ8のプロトタイプモデルを装着したプリウスで、東京から長野の志賀高原まで往復してみた。

ドライ路面でどうか?

まず都内から首都高速道路に乗り、関越道から上信越道で志賀高原に向かった。首都高の荒れた路面やジョイントの乗り越えは極めてスムーズで、タイヤの縦バネがうまく機能している。突き上げるようなフィーリングはなく乗り心地がいいのだ。ただ、首都高の荒れた路面でも感じていたが、関越道や上信越道に入っても気になったのがパターンノイズだ。



最近はサマータイヤに匹敵する静粛性を実現しているタイヤもあるが、アイスナビ8は先代の7と大差がないように感じる。特にパターンノイズを含むロードノイズは、路面状態によって大きく左右される。装着車のプリウスは比較的静かなキャビンのクルマなので余計耳につくのかもしれない。また、中速時にはノイズの成分が違うのかあまり気にならないが、70km/hを超える速域ではキーンという高周波ノイズが混じることがある。アイスナビ8は、ピッチ数を21%アップさせ、トータルのエッジ成分(雪や氷をひっかく)を7比で7%アップさせている。つまり氷上性能がアップしているわけだが、このピッチ数の増加が高速域の音と関係しているかもしれない。



ドライ路面でのハンドリングは良好で、ステアリングの切り出しからレスポンスよく曲がり、サマータイヤに近い操舵感を実現している。そこからさらに切り込んで横Gを溜めるようなコーナリングでも腰砕け感がなく、しっかりとブロック剛性が保たれている。サマータイヤに近いハンドリングだ。このグリップ性能は、耐摩耗性をアップするためシー(海=溝)ランド(陸=接地面)比をアップさせた効果かもしれない。

最新のスタッドレスタイヤはシーランド比をアップさせ、接地面を増やして氷上性能を向上させる傾向にある。アイスナビ8もトレッドの摩擦エネルギーを分散して偏摩耗を抑えるデザインになっているため、耐摩耗性が3%向上したという。雪道だけでなくドライ路面でもシーランド比アップは効果があるようだ。

圧雪路では非対称トレッドパターンが効く

グリップレベルは加速時の縦方向、コーナリング時の横方向ともにスタッドレスタイヤのトップレベルにある。通常シーランド比を高めると雪上性能は落ちる傾向だが、新採用の非対称トレッドパターンによって優れたグリップ性能を発揮している。多少ステアリングを左右に振ってもグリップしたままで、意図的にリヤを流そうとしても流れ出しが穏やかで扱いやすい。ステアリングを切り込んでいってもグリップレベルが急に落ちないため、圧雪が続いた長野県志賀高原のワインディングロードでも安心して走りやすかった。走行時が深夜近くということもあって、雪質は乾いた軽い感じでグリップしやすい状況だったことを付け加えておく。



凍った路面で感じた高いグリップ感

氷結路が続くような路面を走る機会はなかったが、凍った路面を選んでスタートすると加速時の縦方向グリップが高く、多少勾配があってもトラクションコントロールが介入することなく、あっさりとスタートできた。さすが氷上性能を大幅にアップさせたというだけのことがある。ブレーキング時も縦方向のグリップが重要で、ブレーキンングではABSの介入が少なく安定していた。これは氷上ブレーキ性能を8%も向上させた効果だ。前述のようにエッジを増加させたというからひっかき性能がアップし、グリップの向上に結び付いているのだろう。ただ横方向のグリップは標準レベルで轍(わだち)から脱出時などでは多少スリップすることもあった。

アイスナビ8はドライ路面、圧雪路、氷結路でも安心してドライブでき、スタッドレスタイヤに求められる雪道でのグリップ性能を高次元でバランスさせているのが印象的だった。



〈文=丸山 誠〉

ドライバーWeb編集部

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