2021/12/20 新車

ダイハツ、ハイゼット/アトレーを17年ぶりに一新。アトレーは5ナンバーから4ナンバー車に変更

●アトレーにデッキバンを追加したのもニュース

ダイハツは2021年12月20日、軽商用バンの「ハイゼットカーゴ」、「アトレー」を17年ぶりにフルモデルチェンジ。2014年に現行型が登場した軽トラック「ハイゼットトラック」はマイナーチェンジを実施した。価格はハイゼットカーゴが104万5000〜160万6000円(デッキバン132万〜170万5000円)、アトレーは156万2000〜182万6000円(デッキバン191万4000〜206万8000円)。ハイゼットトラックは90万2000〜145万2000円。

【すべての写真を見る】

■荷室はエブリイを上まわる


今回で11代目となるハイゼットカーゴ、アトレーはプラットフォームを一新。ダイハツの商用車として初めてダイハツの新たな開発手法「DNGA(ダイハツ ニュー グローバル アーキテクチャー)」を導入した。マイナーチェンジのハイゼットトラック(現行型で10代目)はプラットフォームの変更はない。

バンボディは商用車らしいシンプルで力強いデザインへと進化。フロントバンパーを上下2分割構造とすることで、ロアバンパーのみの交換が可能となり、修理時の費用節減に貢献。従来はリヤのDマークは中央にあったが、右側にオフセットさせて、中央部を広告スペースとして利用できるようにした。

室内空間では、車体側面やバックドアの傾きを限界まで立たせて、ボディをスクエア化。その結果、クラス最大の積載スペースを実現した。荷室長1915㎜×荷室幅1410㎜(4人乗車時)×荷室高1250㎜は、ライバル車のスズキ エブリイと比べると5㎜長く、25㎜幅広く、10㎜高い。いずれの数値もエブリイを上まわっている。バーやラックを取り付けたり、荷物の固定に便利な荷室ナット(ユースフルナット)は先代比で約2倍に増設。全車標準で17個を装備し、上級のクルーズ系グレード以外は31個を設置している(エブリイは最大で12個)。また、フロントピラーを立たせたことで、前席の頭上スペースも拡大した。

■FR用CVTを新開発


メカニズムは、ハイゼットトラックも含めて、新開発のFR(フロントエンジン・リヤドライブ)用CVTを搭載し、燃費や走り、静粛性を向上させた。ハイゼットカーゴの燃費は、2WDモデルでエブリイと比較すると、CVT車がWLTCモードで15.6㎞/Lで、エブリイ4速AT車の13.8㎞/Lをリード。5速MT同士の比較ではエブリイが17.0㎞/Lで勝る(ハイゼットカーゴ14.9㎞/L)。エブリイだけに設定がある5速AGS車(5速MTをベースにクラッチ&シフト操作を自動で行う)は15.8㎞/Lをマークしている。

CVT車にはクラス初となる電子制御式4WDを採用。用途に応じてスイッチ操作によって「2WD」/「4WD AUTO」/「4WD LOCK」の3モードが選択できる。「4WD AUTO」モードでは、路面に合わせて最適な前後駆動力配分を行い、乾燥した路面ではタイトコーナーブレーキング現象(乾燥した舗装路を4WD状態で走行中にステアリングをいっぱいに切って旋回するとブレーキをかけたような状態になる)を抑制している。なお、ハイゼットトラックには、従来MT車のみだったスーパーデフロックを軽キャブトラックで初めてCVT車にも設定し、ぬかるみでの悪路走行をサポートする。

先進安全装備については、ステレオカメラを搭載した最新のスマートアシストを全車に標準装備。夜間の歩行者、二輪車、自転車も検知するタイプになり、ブレーキ制御付き誤発進抑制機能(前方・後方)をMT車にも搭載した。ハイゼットトラックについてもカーゴ同様の機能を展開、一部グレードに非装着車を設定している。

■アトレーは5ナンバーから4ナンバー車に



ラインアップでは、バンの後部を荷台としたダイハツ独自の商品「デッキバン」をハイゼットカーゴに加えて、アトレーにも展開した点がニュース。ハイゼットトラックは、販売の約20%を占めるロングキャビンの「ジャンボ」にエントリーグレードのスタンダードを追加してラインアップを2グレードに拡大した。

さらに、アトレーについては、従来の乗用車5ナンバー登録のワゴンタイプ「アトレーワゴン」から、商用車4ナンバー登録の「アトレー」に変更された点もポイント。これについて、開発責任者を務めるダイハツ工業 製品企画部 エグゼクティブチーフエンジニアの松本隆之氏は次のように話している。

「5ナンバー車のアトレーワゴンを設定した当時(1999年に登場、2005年にモデルチェンジ)はやはりファミリー層で、ご家族で4名乗車をして使えるクルマのご要望が多かったのですが、昨今でいきますとファミリー層のほうは弊社でいうとタントといったスペース系のほうに移行されていまして、アトレーの役割というのが変わってきたのではないかと。そう考えまして、お客様の声を伺いますと「たくさん積みたい。やはり350㎏積める(4人乗車時の場合は最大積載量250㎏)というところがアトレーの役割ではないか」という声を私たちも理解しまして、アトレーはここで方向転換、舵切りが必要ではないかということになりました。(商用モデルとして)少し後席の乗車スペースで我慢していただくところはありますが、皆様が広い荷室にたくさん荷物を積み、ご自由にお使いいただけるような形を少しでもお手伝いしたいということで4ナンバー化に踏み切っております」

なお、アトレーについては、ターボエンジンを搭載(ハイゼットカーゴは最上級のクルーズターボのみターボ車)。乗用を意識した上級仕様ということで、専用の内外装を採用している。全グレードにLEDヘッドライトを標準装備し、メッキフロントグリルを装着。内装では視認性のよい2眼メーター&TFTカラーマルチインフォメーションディスプレイを採用し、各所にメッキやシルバー加飾を施している。全車速追従機能付きアダプティブクルーズコントロールもアトレー専用の装備(RSグレード、アトレーデッキバンに標準装備)で、レジャーなど長時間の高速走行時での快適性がアップした。

〈文=ドライバーWeb編集部〉

ドライバーWeb編集部

RELATED

RANKING