2022/01/14 コラム

シリーズ・軽自動車ってホントに安全? クルマ初心者と藤トモが体感…イマドキ軽の最新安全装備①[衝突事故を未然に防ぐ機能編]

●藤トモことモータージャーナリスト藤島知子とクルマ選びに悩む平野志磨子が軽自動車の安全装備を実体験

日本でもっとも身近なクルマといえば軽自動車。その維持費の安さやコンパクトな車体ならではの運転のしやすさ、使いやすさで人気だが、いまだ「安全性が気になる」という声が聞かれるのも確か。
 
そこで今回は、クルマを選ぶ基準として注目を集めている先進安全装備にフォーカス。最新の軽自動車に搭載されたさまざまな安全機能を実際に試し、その安心感、便利さなどをあらためて確認したいと思う。
 
そもそも先進安全装備とは、運転中の「ヒヤリ・ハット」に起因する事故などを防いだり、被害を軽減してくれる機能のこと。クルマに取り付けられたカメラやセンサーが周囲の状況を検知し、様々な制御でドライバーをサポートすることで事故を未然に防いでくれるのだ。全国の交通事故件数が年々減少傾向にあるのも、先進安全装備の普及と関係があるのは間違いないだろう。
 
今回、軽自動車の先進安全装備を体験するのは、軽自動車購入を検討中の平野志磨子さん。「軽自動車が欲しいけど、運転に不慣れなだけに安全装備は大丈夫だろうか?」とリアルにお悩み中だ。そのナビゲーター役は、モータージャーナリストとして活躍中の藤トモこと藤島知子さん。クルマ初心者と藤トモが体感するイマドキ軽の先進安全装備…その実力とは!?

※安全装備の体験は、テストコースで行っています

シリーズ・軽自動車ってホントに安全? クルマ初心者と藤トモが体感…イマドキ軽の最新安全装備②[最新の運転支援機能編]





悩める女子を藤トモが救う!?


●右が今回の指南役、藤トモことモータージャーナリスト藤島知子。左はクルマ選びに悩む平野志磨子

平野:クルマ欲しいんだけど、かわいいモデルも最近は多いし、軽自動車から選ぶ感じかな…。価格や維持費が安いのもありがたいし。でも購入するとなったら最先端とか安全性も大事だよな…。

藤トモ:そこのアナタ、軽自動車選びに困ってるのね?

平野:あ、藤トモさん!

藤トモ:軽自動車にはどんなイメージを持ってるの?

平野:安くて、かわいいといった印象です。

藤トモ:確かにそれも魅力だけれど、イマドキの軽自動車はそれだけじゃないの。なんといっても安全装備が充実しているのよ。

平野:そうなんですか!?

藤トモ:楽しそうな最新軽自動車をたくさん用意したから、一緒に乗って安全装備を体験してみましょう。

平野:お願いします!


①事故を未然に防ぐ!「衝突被害軽減ブレーキ」

走行中、前方の車両や歩行者などにぶつかりそうになったとき、「ピピピピ」といった警報でドライバーに危険を知らせる。それでもブレーキが踏まれなかった場合、クルマが自動でブレーキをかけて衝突回避もしくは衝突被害軽減を図る機能…それが「衝突被害軽減ブレーキ」だ。

藤トモ:ふだん運転するとき、クルマや歩行者などにぶつからないよう気をつけていると思うけど、やっぱり完璧じゃない。だから事故が起こるんだけど、その可能性を下げてくれる機能なんだよね。

平野:そんな機能が軽自動車にも!?

藤トモ:そうなの! 早速試してみましょう。


●停止車両に見立てたターゲットに向かって軽自動車を走らせる

藤トモ:それでは、前方に見えるターゲットに向かって走らせてみるわね。

平野:え、ブレーキを踏まずに、ということですか!?

藤トモ:そう、私はブレーキを踏まないから。

平野:えええええ!

藤トモ:では行きます!


※衝突被害軽減ブレーキは、ドライバーの安全運転を支援する機能です。
ご自身で作動テストを行うことは大変危険ですので、絶対に行わないで下さい。



●「ブレーキ踏まないよ?」という藤トモに不安そうな平野


●ノーブレーキで!


●衝突被害軽減ブレーキ、作動!

平野:今の、ホントに藤トモさんはブレーキ踏んでいないんですか?

藤トモ:踏んでないわよ〜。ちゃんと止まったね!

平野:スゴイです!

藤トモ:カメラやセンサーなどによって、クルマや歩行者などを検知、ぶつかりそうになると警告、それでもブレーキが踏まれないとクルマがブレーキをかけるのよね。

平野:これなら確かに事故の可能性を下げてくれそう。

藤トモ:基本はもちろんドライバーが十分に気をつけて運転すること。そのうえでクルマがフォローしてくれると考えればいいかな。

平野:わかりました!

藤トモ:実は人間でも見づらい夜間の歩行者に対応するクルマもあったりするの。しかも今回試した前方だけではなく、後退しているときにもブレーキをかけるクルマもあるのよ!

平野:それはとても安心です!


②ストップ!踏み間違い事故「ペダル踏み間違い急発進抑制機能」

もうひとつの衝突事故を未然に防ぐ機能として採用されているのが、「ペダル踏み間違い急発進抑制機能」。昨今、アクセルペダルとブレーキペダルの踏み間違いによる事故が報道されているが、そういった事故を防ぐ、もしくは被害を軽減できる機能だ。
 
藤トモ:今度は平野さんに試してもらいましょう。前方にターゲットがあって、クルマは輪止めで止まっている状態です。ここからアクセルを踏み込んだとすると、どうなりますか?

平野:輪止めを乗り越えてぶつかっちゃいます。だから急いでブレーキを踏みます。

藤トモ:でも、踏もうとしていたペダルがアクセルペダルだったら?

平野:急にクルマが飛び出しちゃいます!

藤トモ:そんなとき、クルマに「ペダル踏み間違い急発進抑制機能」が付いていたら? というわけでアクセル踏んでみて!


●今度は平野がステアリングを握り、ターゲットに向かってアクセルを踏み抜く!


●アクセルペダルをベタ踏みしても、車止めを乗り越えない

平野:こんなにめいっぱいアクセルを踏み込んでもクルマが前に飛び出さない!

藤トモ:これもセンサーがターゲットを検知して、「これ以上進んではダメ」とクルマのエンジン出力を制御してくれているの。衝突の衝撃を軽減してくれるから、大事故に至らずに済むわけ。

平野:こういった安全装備が普及すれば、確かに事故は減りますね。

藤トモ:前進だけではなくて、バックするときも同じく急発進を抑制してくれるクルマもあるのよ。


③駐車苦手…これで克服!?「360度カメラ」

苦手な運転操作の代表格が駐車だ。平野さんも、じつは相当苦手意識があるそう。例えばバック駐車においては、死角を気にしながら後方を確認しつつ後ろに下がり、そしてステアリングを操作して、さらに車幅も注意して…と実はかなりの複合作業。いったん苦手意識を持ってしまうと練習するのも億劫になってしまい、上達するのも諦めてしまう…という悪循環。克服のために、何かいい手段はないものか?


●苦手な運転操作でトップに上げられることも多い「バック駐車」。平野自身も相当不得手

平野:私、とにかく駐車が苦手なんです。クルマのまわりが見えないし、車幅とかクルマの向きとか気になってしまってなかなかうまくいかない。

藤トモ:運転席に座っていると、死角が多いものね。でも、そんな駐車が苦手な人をフォローしてくれる機能があるんです。このナビ画面を見てみて?


●画面左が360度カメラによる映像。周囲の死角を確認できる

平野:クルマを上から見た映像が!

藤トモ:クルマの周囲に付けられたカメラからの映像を合成して、画面に映し出しているのよ。これ、スゴイよね!

平野:ビックリです!

藤トモ:発進前にクルマの周囲を確認できるし、これなら駐車しているときも確認できる範囲が広いから安心できるわよね。では、実際にバック駐車で体感。まずは360度カメラなしでやってみて?


●モニター類を使わずに駐車…かかった時間は2分以上

平野:まったくうまくいきません…混乱してきました(汗)

藤トモ:そうね、もっと練習が必要ね! でも苦手意識があったままだと練習するのも億劫じゃない?

平野:そうなんです。

藤トモ:では次に360度カメラと、目視を両方使ってやってみましょう。


●映像にはガイドラインが表示されるので、自分の操作によってクルマがどちらに向かうのかわかりやすい

平野:あ、これはなんだかスゴく安心感があります! 余裕が出るというか。これなら何度も練習できそうな気がしますね。

藤トモ:そうなの。不安ばかりが募っちゃうと苦手を克服できないけれど、こういったクルマ側のフォローを頼りにすると練習に励めるよね。

平野:なんと、駐車する時間が1分ちょっとまで短くなりました。急いだつもりはないのに。

藤トモ:そう、焦らず気持ちに余裕を持てれば操作もスムーズになるわよね。でも、頼り過ぎもダメなの。360度カメラも実際には死角が存在するし、遠くからくるクルマなどは映像に映し出せないから。

平野:わかりました。もっと練習頑張ります!


④先進ライトで夜間を安全に!

事故が起きる確率も高くなる夜間のドライブ。もちろん、暗くて視界が狭まるのが原因だ。だから、夜間走行ではハイビームの点灯が法律で定められている…とはいえ、対向車や先行車も直接照らして眩惑するのはご法度。だから、ハイビームとロービームを手動で切り換えながら走らせるわけだが…これがなかなか煩わしい。先行車も対向車もいないのに、ついロービームで走行して歩行者などの発見が遅れてしまうと、事故の危険性が高まってしまう。そこで最新の軽自動車にも採用が進んでいる機能が、先進ライトだ。



平野:自動車教習所で「夜間はハイビームが基本」と習いましたが、なかなか使うタイミングが難しいです。

藤トモ:先進ライトなら、ハイビームを使いながらも、クルマのカメラで対向車や先行車を検知して、そのクルマが眩しくないように照射範囲をコントロールしてくれるの。

平野:いちいち切り換えなくて済むんですね?

藤トモ:ロービームとハイビームを単純に切り換えるだけじゃないの。クルマの部分だけロービームにして、そのほかはハイビームで照らしてくれるから、夜間でも歩行者などを見つけやすいの。



平野:それはスゴイ!

藤トモ:夜間の運転はとても緊張するよね。でも先進ライトなら遠くまで見通せるから、安全に直結するのよ!


⑤あおり運転にも対処!「事故自動緊急通報装置」

「事故自動緊急通報装置」は、昨今登録車を中心に採用が広まっている安全装備のひとつだ。今回試した「SOSコール」は、ヘルプネットというサービスと連携しており、事故や急病のときにスイッチを押すだけでオペレーターに通報できるもの。昨今問題になっている、あおり運転への対処にも有用な機能だ。
 
藤トモ:では今「事故自動緊急通報装置」を試してみましょう。今日体験するのは「SOSコール」というもので、ヘルプネットというサービスと連携して、事故や急病のときにスイッチを押すだけでオペレーターに通報できるの。



平野:なんと先進的な!

藤トモ:また、事故や急病以外にも、最近社会問題となっているあおり運転に遭遇してしまった際にも、簡単な操作で外部と連絡が取れるので心強い機能なんです。では使ってみるね?


●「SOSコール」のボタンを押してみると…

オペレーター:「プルルル、はいヘルプネットセンターです。事故ですか?急病ですか?」

平野:今、あおり運転で怖い思いをしていて…

オペレーター:「では、警察に連携いたします。通報してよろしいですか?」

平野:お願いします…ってスゴイですねコレ!

藤トモ:事故の際には、自力でスイッチ押せなくてもエアバッグ展開に連動して、GPSの位置情報だけでなく事故の方向や衝撃、シートベルト着用の有無などから乗っている人の障害レベルを推計して自動通報まで行うのよ。

平野:こんな機能が軽自動車に付いているなんて!

藤トモ:万が一のときのための装備だし、使わずに済めばそれに越したことはない。でもこういった機能が付いているって知るだけでも安心よね。




日進月歩で進化する先進安全装備。ドライバーのうっかりやまさかの瞬間をサポートするために搭載された機能を知って、平野も少し安心したよう。しかし軽自動車の先進安全技術は事故を未然に防ぐよう支援するだけではない。
次回は、さらに快適になった軽自動車の運転事情を紹介する。


●今回のシリーズに登場する車種。
左から、三菱 eKクロス スペース、日産 ルークス ハイウェイスター、ダイハツ タントカスタム、スズキ ハスラー、ホンダ N-WGN

 

各予防安全機能・運転支援機能は、ドライバーの運転支援を目的としているため、機能には限界があり、対象物・路面・天候等の状況によって正常に作動しない場合があります。機能を過信せず、常に安全運転を心がけてください。詳しくは店頭又は各自動車メーカーのホームページをご確認下さい。

ドライバーWeb編集部

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