2021/10/29 旧車

【日産マキシマ vs ホンダ レジェンド】新感覚のFF・V6サルーン対決[driver 1989年1-5号より]

●左がマキシマ、右がレジェンド



■マキシマは実用域で実力発揮

まずは、走りの性能チェックから始めよう。マキシマはパワーこそ160馬力と控えめだが、低中回転域では実情に見合った力強さを得ている。クセルをグィッと踏み込んでやると、それこそタイヤをきしませる勢いでダッシュ。その後も、景気よく速度を稼いでくれる。


●レジェンド

もちろん、滑らかなスタートは思いのままだ。アクセルに足を軽く乗せるだけで、スルスルと加速していく。出足の加減は、アクセル操作ひとつでどうにでもなるのだ。

190馬力を発揮する2Lのレジェンドは、ホンダ車の常で出足が小気味よい。ただし、この傾向はスロットル開度とあまりかかわりがないため、逆にソロソロ走り出そうとしてもうまくいかないことがある。


●レジェンド

しかも、たとえフル加速しても、スイッとスタートした後にそのままの勢いで加速が続くわけではない。F1で得たテクノロジーをフィードバックしたというウイングターボを持ってしても、低回転域の力強さは自然吸気式(NA)大排気量エンジンを搭載するマキシマが勝る。

2.7Lのレジェンドは、2Lとは異なるエンジン特性を備える。一気に加速しようとする場合の出足の力強さは、180馬力ながら2Lモデルをしのぎマキシマに迫る。通常のスタートはDレンジでも2速から加速するため、さすがは高級車と納得できる滑らかな身のこなしを示す。

再びアクセルを踏み込むと、レジェンドはフィーンと軽快に加速。2.7Lエンジンにしてはそのフィーリングがやや薄味で、いい意味の重厚感に欠けるが、速度の稼ぎっぷりは見事。エンジンを回すほどに勢いがつき、6000回転台まで難なく引っ張れる。

低回転域で元気がなかった2Lモデルも、中回転域以上で活気づく。ターボの過給効果はごく低回転域から少しずつ表れるが、それが力強さとなって体に伝わるのは3000回転あたりからだ。

4000回転にかけて力強さはさらに盛り上がる。しかも、5000回転台でもう一度グイーっと伸びるような加速を見せる。このあたりの高回転域になると、エンジン回転でパワーを稼いでいるという実感も味わえる。そして、そのまま引っ張ると、タコメーターの針は一気に6000回転台に突き刺さるのだ。


●ホンダF1ターボのテクノロジーを生かしたといわれるウイングターボをV6・2Lと組み合わせたレジェンドTiエクスクルーシブ。中高回転域に入って滑らかな加速を見せる。一方、V6・3Lのマキシマは、低中回転域でNAらしい好フィーリングの加速を見せるが、高回転域の加速感では、レジェンドの滑らかさに分がある

そのあたりの回転域でマキシマは影が薄い。中回転域でも力強さを保つが、5000回転を超えたあたりから勢いがなくなる。エンジンの吹き上がり自体にストレスを感じないため、レッドゾーンが始まる6000回転まで気兼ねなく使えるが、高回転域が得意なほうではない。

ドライバーWeb編集部・池森

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