2021/10/22 コラム

【いすゞ117クーペ秘話】見た目は星3つなのに後期グレード名は星2つ!? 苦肉の策で生まれた「スターシリーズ」とは

●写真は117クーペ初期のハンドメイド仕様


■「1949cc」だと「2リッター」と呼べなかった



この「1949」という数字がネーミングや宣伝広告にも大きく影響した。米国のルールでは、1949㏄では「2リッター」と呼べなかったのである。もちろん、117クーペは国内市場専用車であったが、国際感覚豊かな開発主査の塚崎文雄氏は海外流の呼び方を尊重し、「2リッター」の代わりの表現を何にすべきか考えあぐねていた。なお、米国情報のソースは、おそらくいすゞ社内の研究センターで懇意にしていた米国事情に詳しい方だったとのことである。

結局、ネーミングについては、関係者十数人に会議が招集され、その場で当時の岡本利雄社長が「☆☆シリーズ」はどうかと提案。その後、具体的な形やバッジを工業デザイン部で検討して結論を出したようである。2つの☆は2リッターであることを暗示しているものの、2リッターであることを直接うたわないという配慮でもあった。

発売3カ月前に発行された社外秘のセールスマニュアルには『スター誕生!!』と表紙に大きく書かれ、裏表紙も『117Coupe☆☆』で統一されているが、中のページでは『2リッターではトップレベルの135PS、17.0kgm……』などと、2リッターという表記も見られる。競合車にはセリカXX 2000G、フェアレディZ Z-T 2by2 (1998㏄)、スカイラインハードトップ2000GT-ESなどの2リッター車を挙げている。販売の現場では「2リッター車」であることを表に出したいという気持ちは当然あったと推察される。

ドライバーWeb編集部