2018/01/15 コラム

まもなく半世紀 歴代モデル “試乗記” で見る スバル4WD「進化の軌跡」2

driver archive SPECIAL数ある自動車メーカーのなかでも “四駆” に強いこだわりを持っているのがスバル。その歴史は半世紀近くにさかのぼり、いまも水平対向エンジンと並ぶ同社のコア・テクノロジーである。林道から市街地、そしてサーキットまで。その進化の過程を、本誌試乗記で振り返ってみたい。 まとめ:編集部
1975 LEONE 4WD SEDAN第2回は、1975年(昭和50)1月に実施された「レオーネ」のマイナーチェンジで加わった「4WDセダン」。乗用4WDの幕を開けた、スバル第2の市販四輪駆動車である。*:当時の試乗記はすべて本誌の記事を抜粋、一部再構成したものです

「乗り心地まで確保」 1975(昭和50)年3月5日号「国産車はもちろん、世界初の4輪駆動セダン」という鳴り物入りで登場したレオーネ1400 4WDにさっそく試乗してみた。試乗車は、落ち着いたシルバーグレーのカラーリング。前後に大きな4WDのエンブレムが付けられているが、それを見ずとも特殊なクルマであることはすぐわかる。車高が異状に高いのだ。一見ラリー車を思わせるその最低地上高は195mmまでアップされている。タイヤはごくノーマルなBS RD105・155SR13。ホイールハウスとタイヤの間隔は広く、14インチはおろか15インチタイヤもはけそうな感じだ。試乗コースを、東京-首都高速-東名高速-大井松田-箱根裏林道として、3名乗車でスタートした。曲がりくねった首都高速を60km/h程度で走るぶんには、ノーマルのレオーネとほとんど差はない。東名高速を100km/hで走っても、ノーマルカーと同じフィーリング。路面の継ぎ目を拾わないほど乗り心地がいい。操作はとても簡単で、通常はレオーネ本来のFF走行。そして4WDに切り換えたいときにトランスファーをFWDから4WDにシフトすればいい。走りながらシフトできるので、使い勝手はとても楽。4WD走行中はタコメーターの下にインジケーターランプがつくので、どちらで走っていたか? という不安もなくなる。試乗コースの箱根へ通じる黒白林道、女神林道は、前日の大雪で路面は白一色。トランスファーを4WDにシフトして、急坂をグイグイと登る。山の日陰に回り込むと、当然路面はアイスバーンと化し、タイヤのグリップ力は極端に低下する。それでもレオーネ4WDは、ステアリングの切れ角どおり、ラインを外れない。コーナリングスピードをもう少し高めてみたが、フロントが滑り出すようになったのは、そうとうに攻め込んでから。ジープタイプ車などに代表される4WD車の多くは、アイスバーンのように滑りやすい路面で、アンダーステアが非常に強く出てきてしまう。それを感じさせない魅力は大きかった。しかし、いかんせんタイヤはラジアル。これがスノータイヤでも付いていれば、より豪快なツーリングが可能だったろう。そんな雪上走行のすばらしさとともにテストスタッフを驚喜させたのが、ダートでの乗り心地の良さと195mmの最低地上高。深いわだちや落石もまったく気にならず、20km近いダート走破で、一度もサスペンションが底をつくことがなかったし、床が路面をすることもなかった。ロングストロークのサスペンションが、それらのショックをきれいにいなしてくれる。平坦なダートなら舗装路を走っていると感じるほどだ」(いけだ みつを)

●充実が装備した上級グレード「カスタム」をベースに仕立てられた4WDセダン。エステートバン同様、トランスファーはシフトノブの右上に配置

■レオーネ4WDセダン(4速MT) 全長:3995㎜ 全幅:1500㎜ 全高:1430㎜ 車両重量:930㎏ 水平対向4気筒OHV 1361cc 77馬力/10.5kgm(ともにグロス値)
試乗記ではミッションの堅さとクラッチの重さが指摘されたが、「これらの点を除けば、パーソナルな4輪駆動セダンとしては、すばらしいクルマに仕上がっていた」と結ばれている。ちなみに当時の東京地区販売価格は「4WDエステートバン」より17万6000円高い115万円だった。

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