2021/10/19 コラム

トヨタはなぜワンタッチウインカーを採用してこなかったのか…3秒ルールを守るのはトヨタだけ?

●トヨタのワンタッチウインカーは他社と違う


■ホントに3秒以上点滅してる? 実際に計測してみた


ということで、ヤリス クロスのワンタッチウインカーの点滅継続時間を、ストップウオッチで手動計測してみた。すると・・・。5回の点滅継続でも3秒ちょっと。何度か測ってみたが、タイムはだいたいこれくらい。カップ麺の3分を待つのと同じように、ウインカーの3秒間はけっこう長いのだ。



となると、業界スタンダードになっている3回は?

そこで、ほかの国内メーカーのクルマを無作為に計測してみると、メーカーや車種に関わらず、3秒どころか2秒あるかないか。1点滅=1秒では全然なく、3秒ルールに対してはやはり短いのだ。

■厳密に法令遵守となるとまだ足りない?



しかし、法令を厳格に遵守するとなると、ヤリスの5回点滅でも足りないおそれがある。前述のとおり、ウインカーは進路変更を始める3秒前から出さなければならない。だが、3秒たってステアリング操作を始めるときには、そこで消灯してしまうことになるからだ。しかも、合図は進路変更が終了するまで継続しなければならない。滑らかな操作で法令どおりに車線変更を行うには、さらに倍、つまり10回くらいの点滅維持が必要かもしれない。

かといって、もしワンタッチで本当に10回点滅させるとなると、業界スタンダードの3回と差が大きすぎる。そこで、実際の使われ方とのバランスをとって5回、というところか。機会があれば開発担当者に真相を聞いてみたいが、トヨタらしい落としどころではある。

〈文=戸田治宏〉

ドライバーWeb編集部

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