2021/10/15 コラム

「つきまとい男から逃げたくて」…首都高を176キロで走行した女性に判決。情状酌量の余地はある?

●事故が起きなくてよかったが


■女性は「懲役前科持ち」に



翌週、判決。私は目を丸くした。前回とはまったく異なるお洒落衣装だった。お金持ちなのかな。そんな被告人を証言台のところに起立させ、裁判官が判決を言い渡した。

裁判官「主文。被告人を懲役4月に処する。この裁判が確定した日から3年間、その刑の執行を猶予する」

訴訟費用は不負担。国選弁護人の費用は国が出すってことだ。犯行の動機についてこう延べた。

裁判官「(△△から)追尾されるのをおそれ…仮にそのとおりであっても…高速度…極めて危険である」

14日を経過すると判決が確定する。それから3年間のうちに新たに犯罪をやって新たに懲役刑が確定すると、今回の執行猶予は取り消される。新たな懲役刑に今回の懲役4月をあわせて刑務所へ行くことになる。そういうことがなければ、今回の懲役4月は効力を失う。

執行猶予つきでも懲役刑は懲役刑。お嬢様は「懲役前科持ち」の身になったのである。でもそんなことより、恐怖に我を忘れて(オービスの存在も忘れて)アクセルをベタ踏みするって相当ヤバイですよ。事故らなくて本当によかったね。

〈文=今井亮一〉
肩書きは交通ジャーナリスト。1980年代から交通違反・取り締まりを取材研究し続け、著書多数。2000年以降、情報公開条例・法を利用し大量の警察文書を入手し続けてきた。2003年から裁判傍聴にも熱中。2009年12月からメルマガ「今井亮一の裁判傍聴バカ一代(いちだい)」を好評発行中。

ドライバーWeb編集部

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