2021/10/15 コラム

「つきまとい男から逃げたくて」…首都高を176キロで走行した女性に判決。情状酌量の余地はある?

●事故が起きなくてよかったが


■追従してくるクルマを引き離すことしか頭になかった



ルームミラーにそのクルマを見たとき、驚き恐怖を覚えたという。

弁護人「オービスがあることは」
被告人「わかってました」
弁護人「速度超過、マズイとは思わなかったんですか」
被告人「そのときは(△△のクルマを)引き離すことしか頭になくて…」

とにかく怖くて逃げたくて思いっきりアクセルを踏んだ。そしたらオービスの赤いフラッシュが光ったのだという。東京航空計器の固定式、オービスⅢLkかと思われる。

首都高速の普通車のオービス裁判を、私は400件ほど傍聴してきた。明らかな相場が見てとれる。

・超過速度が60キロ台=罰金9万円
・超過速度が70キロ台=罰金10万円
・超過速度が80キロ台=懲役3月
・超過速度が90キロ台=懲役4月

これは法令で定められたものではない。東京地裁、簡裁で裁判傍聴を重ねてきてわかった、首都高速限定の相場だ。地方の一般道はまったく異なる。そこんとこ注意してくださいね。

本件で検察官は、懲役4月を求刑した。相場どおりだ。弁護人は、緊急避難や正当防衛を主張しなかった。主張しても無駄に裁判を長引かせるだけ。「高速度を出す以外にいくらでも回避の方法はあった」と蹴られるに決まっている。弁護人の最終弁論はこうだった。

弁護人「以前からつきまとい行為を受け、精神的に追い詰められていた。このような経緯には酌量の余地があります。なにとぞ寛大な刑を…」

ドライバーWeb編集部

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