2021/08/27 コラム

スカイラインGT-Rとして戦った最後の伝説マシン…青いキャリパーが輝く「エンドレス アドバン GT-R」

●長野県岡谷市の「プリンススカイラインミュウジアム」にて展示中

「スカイラインGT-R」の名前に特別な想いを寄せるファンは今でも少なくありません。しかしながら日産の現行ラインナップにスカイラインは名を連ねるもののGT-Rは独立した車種。そのためスカイラインGT-Rが存在しないのはファンの誰もが知るところです。そこで今回は懐かしの1台として、戦うスカイラインGT-Rが有終の美を飾った2003年のスーパー耐久シリーズチャンピオンマシン「エンドレス アドバン GT-R」を紹介します。(ちなみに2003年はスーパーGTの全身、全日本GT選手権でもVQ30DETTを搭載したザナヴィ・ニスモGT-Rがシリーズチャンピオンを獲得しています)


●2003年のS耐でシリーズチャンピオンを獲得したエンドレスアドバンGT-R

R32型スカイラインGT-Rの登場から、つねにツーリングカーレース界をリードしてきたスカイラインはその後もR33型、R34型と勝利を重ねます。なかでもスーパー耐久シリーズ(以下S耐)での強さは我々がディーラーで購入できるGT-Rと近い存在であったこともあり高い人気を誇りました。


●インパネやドアトリムにノーマル車の面影が残るインテリア


●シフトノブ自体はノーマルそのもの

しかしながらR34型GT-Rの生産終了に伴い、2002年までGT-Rで戦ってきたトップチームの多くがポルシェ911GT3にマシンを変更します。この生まれながらのレーシングカーとも言えるGT3マシンに挑んだのが「エンドレス アドバン GT-R」です。グランドツーリングカーとして生まれフロントヘビーだったスカイラインGT-Rは苦戦が予想されました。ですが、安全面の観点でこの年から「特認」という形で認められたエンドレスのレース用キャリパーを装備、大きなキャリパーを標準で備えていたポルシェに対抗します。


●フロントヘビーなスカイラインのリヤはとてもシンプル

ドライバーは木下みつひろ/青木孝行という2002年のチャンピオンコンビ。カーナンバー1をつけてスカイラインGT-Rで挑んだ2003年もST-1(当時のClass1)で強敵ポルシェを破って見事2年連続のシリーズチャンピオンを獲得し、有終の美を飾りました。


●2003年のカーナンバーは「1」

このシーズンについて、エンドレスの創業者にして取締役会長の花里功氏は「もともとウチは長くスカイラインでレースをやってきて、うちのスカイラインにもファンがたくさんいたんです。当時は間違いなくポルシェの方が戦闘力は高かったのですが、みんなが一斉にスカイラインをやめちゃうことに疑問を感じていました。だから2003年シーズンは、どうせやるなら34GT-Rで!という気持ちが強くあり、NISMOから最後の新車を購入してレースにのぞみました」と当時を振り返ります。

エンドレスはスカイラインGT-Rで長年S耐で戦ってきましたが、じつは自社のキャリパーを装着して戦ったのは最後の1年だけだそうです。ホイール越しに見える青いキャリパーは、ファンの想いを乗せてポルシェに挑んだ2003年のマシンの証なのです。


●エンドレスの青いキャリパーを装着した2003年のS耐マシン

ちなみに、この年からキャリパーまで含めたブレーキシステム全体を投入できるようになったことでブレーキメーカーであるエンドレスにとってS耐が開発の場として一層有益なものになったとのこと。今や世界のさまざまなレースやWRC、ダカールラリーなどでトップチームにブレーキを供給するエンドレス。2003年のスカイラインGT-Rこそがターニングポイントの1台だったそうです。

現在このカーナンバー1の「エンドレス アドバン GT-R」はスカイラインファンの聖地とも言える長野県岡谷市の「プリンススカイラインミュウジアム」にて現在展示中です。一部の資料では2002年との表記も見受けられますが、エンドレスによると青い自社製キャリパーを装着したS耐マシンはカーナンバー1をつけた2003年のチャンピオンマシンただ1台だそうです。ミュウジアムに足を運ぶ機会があったらぜひ、ポルシェ911GT3に挑み、シリーズチャンピオンを獲得した紺色のマシンの足元にもぜひ注目して見てください。


●プリンススカイラインミュウジアムに展示中の「エンドレス アドバン GT-R」

〈文と写真=高橋 学〉

ドライバーWeb編集部