2021/08/20 新車

【V8サウンド健在!】FR→ミッドシップへと進化した新型コルベットは、なにが変わったのか?【輸入車ニューモデル試乗】



OHVは操縦性能のため?



ただし、ドライビングマナーは乱暴ではない。この手のバイオレンス系としては……という注釈付きだが、乗り心地は悪くなく、日常でも苦にならないほど優しい。着座点は低く、それはまるで攻撃型戦闘ヘリのコックピットを連想させるようなタイトな空間だ。だが、どこかに紳士的な落ち着きがある。

C8コルベット

マグネチックコントロールのダンパーは、ドライビングモード次第で日常からサーキットまで対応する変化幅があるが、けして脳天を突き刺すような荒々しさではない。再び、この手のバイオレンス系としては……という注釈を加えねばならないが、内に秘めた過激なパフォーマンスを思えば乱暴ではないのだ。

エンジンが前から後ろに移ったことで、これまで伝統的にこだわってきた50:50の前後重量配分が40:60に改められた。これにより、コーナリング特性は鋭くシャープになった。だが、これまでのように太いタイヤと硬い足で強引に切れ味を求めたスタイルとは決別。前後左右に身を翻し、整ったウエイトバランスによってにじみ出るような操縦性になったのである。

OHV型エンジンは、エンジンベッドまわりが軽量でありコンパクトだから、けっして広くないエンジンルームの低い位置に搭載が可能だ。過給機がないことも利点であり、動力性能だけではなく操縦性能のためのOHVなのかもしれないと思わされる。車両重量は1670kg。軽量素材を多用せずに、スポーツモデルとしてギリギリのウエイトに抑えている。


こんなに破格でいいの?



ちなみに、日本には右ハンドル仕様が導入されたこともトピックである。駐車場などの取りまわしを考慮して、フロントの車高が瞬時に上がる。3秒で40mmも迫り上がる。フロントにもそれなりに大きな荷室があり、さらにリヤの荷室にはゴルフバッグも収納できるサイズである。日常性も高いのである。

C8コルベット

さらに驚きなのは、「1400万円」という破格のプライスであることだ。カーボンやチタンといった高価なマテリアルを多用しているわけではなく、常識的な素材で開発されていることがその理由だろうが、その存在感と迫力と、そして500馬力オーバーのNAエンジンとしては腰を抜かしかけるほどリーズナブルといえるだろう。

デトロイトショーの会場の片隅で、一度は目をそらせてしまった自分を恥じた。

<文=木下隆之 写真=山本佳吾>



■クーぺ 3LT(MR・8速DCT) 
主要諸元
【寸法・重量】
全長:4630mm
全幅:1940mm
全高:1220mm
ホイールベース:2725mm 
トレッド:前1630mm/後1570mm 
車両重量:1670kg
乗車定員:2人 

【エンジン・性能】
型式:LT2 
種類:V8OHV 
ボア×ストローク:103.2mm×82.0mm 
総排気量:6153cc 
最高出力:369kW(502ps)/6450rpm 
最大トルク:637Nm(65.0㎏m)/5150rpm 
使用燃料・タンク容量:プレミアム・70L 
WLTCモード燃費:ー 

【諸装置】
サスペンション:前後ダブルウイッシュボーン 
ブレーキ:前後Vディスク 
タイヤ:前245/35ZR19/後305/30ZR20

【価格】
1400万円(消費税率10%込み)


ドライバーWeb編集部・青山

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