2021/07/26 コラム

東京で固定式オービス取り締まりが急増…大阪は激減…のなぜ【2020年の都道府県別データ】

●阪神高速にだけある画像伝送式の固定式オービス。型式は不明


2020年、固定式オービスによる取り締まりが東京で急増したのはなぜ?



次に、固定式の取り締まり件数である。2020年から、可搬式だけでなく固定式についても、取り締まりの件数ではなく「撮影枚数」に表記が変更された。「×件を取り締まった」ではなく「×枚を撮影した」になったのである。変なのォ(笑)である。今回の記事では、そこは無視して取り締まりの件数でいく。

固定式の取り締まり件数は、ずっと歴年のデータだ。ピークは2000年で18万1758件。同じく5年ごとに見ると、2005年は13万9185件、2010年は8万3575件、2015年は6万3291件、そして2020年、3万8689件にまで落ち込んだ。高齢運転者が増えたとか、軽自動車が大人気だとか、若者たちがなんというかスマホに吸い込まれてしまったとか、また、固定式オービスの場所を報せるカーナビやいわゆるレーダー探知機が高機能になって普及したとか、理由はさまざまあるだろう。

都道府県別の取り締まり件数は、バラつきが非常に大きい。秋田、新潟、奈良、島根、鹿児島は0件。その一方で、トップ5は以下のようになっている。左側のデータが2020年、右側が2019年、カッコ内は台数だ。

1位 警視庁 8207件(51台) 3432件(51台)
2位 愛知  4823件(26台) 2981件(25台)
3位 北海道 4371件(36台) 5157件(47台)
4位 兵庫  4261件(37台) 4562件(37台)
5位 大阪  2930件(44台) 1万3957件(45台)


●都道府県別の取り締まり(2020年から撮影枚数)の数。左が2020年、右が2019年

目を引くのは、まず警視庁である。ちなみに愛知は愛知県警、北海道警なのだが、東京だけは東京都警じゃなく警視庁という。この一覧表では東京だけ警視庁となっている。特別感、エリート感がばりばりある。ついでに言っておくと、警察庁は全国警察の総元締めだ。

警視庁は2020年、前年の2倍以上も取り締まった。なぜっ? 新型コロナで交通量が減り、スピード違反が増えたと2020年に報道された。都心環状線を猛スピードで周回するルーレット族が調子にのってかっ飛ばし、カモになった? いや、彼らの多くは固定式オービスの場所など頭に入っているだろう。レーダー探知機を取りつけているだろう。そうじゃなく、違反慣れしてない運転者がついかっ飛ばしてしまった、というケースがけっこうあったのかも。

あと、多くのオービスの「設定速度」を下げたのかも。いちおう説明しておくと、固定式オービスは基本、いわゆる赤切符の違反、つまり首都高速(自動車専用道路)だと超過40キロ以上を取り締まる。けれど、超過速度が40キロを超えたらぜんぶ取り締まるわけじゃない。「これ以上の速度を取り締まろう」と警察のほうであらかじめ設定する。それを設定速度というのだ。私が知る限り、首都高速では超過50キロ前後に設定されているオービスが多いようだ。その設定速度を、2020年は数キロ下げた可能性がある。

「ぎょっ、オービスが光った! 今までこの程度の速度じゃ光らなかったのにっ!」

そういう飛ばし屋がたくさんいて、警視庁は2020年、ぶっちぎり第1位の座をゲットしたのかもしれない。

ドライバーWeb編集部

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