2021/07/16 コラム

オービス定期点検のデータを改ざん…裁判で明らかになった「まさか」

●この裁判のオービスかどうか定かではないが、その時期その付近にあったオービスⅢLkだ。2つの車線を狙って2台を並べるとは。撮影はオービスマニアの礼田計氏


測定値に間違いが…? しかも勝手に修正して提出?



S証人「29番の行が間違ってますね。オービス表示が68(キロ)になってますが、精度試験の下限値は78で、オービス表示は78より高くなければいけないので、68はあり得ない数値です」

なにいぃ! さっき「最後に焼き付け値がちょろっと間違ったら」と述べたが、点検器の表示値がぴょろっと間違ったのだ! 検察官は法廷に出す証拠を取捨選択できる。不利な証拠を隠すのはまったく合法なのに、誤った一覧表をなぜ出したのか、いったいどう言いつくろうのか。

S証人「これは作表するときの間違いです。データは点検器に表示されると同時に、3.5インチのフロッピーディスク(FD)に入ります。現場で点検器を確認したときには、異常を示すものは間違いなくありませんでした。FDからエクセル形式で作表するとき、なぜか知らないけど間違ったものが印刷されてしまったということです」

S証人の尋問は終わり、少し休廷してから、S証人の上司、M証人(1973年入社)の尋問がおこなわれた。

M証人「当初は私もつい見過ごしまして(約5カ月後、この裁判のために)データを見直す機会があり、何気なく見たところ『あれ?』というものがあり、調査しました。29番のところに34番のデータを表示しなさいと、そういう命令文が入ってたんです。エクセルに変な計算式が書き込まれてたんです」
検察官「なぜそんなことが?」
M証人「それがですね、いずれ誰かが誤った操作をしたんだと思いますが、誰もそういう意識がない。今ではわかりません」
検察官「誰かが書き換えたと?」
M証人「それしかちょっと考えられないんですけれども」

オービスは何がなんでも絶対ゆえに、誰かが操作を誤ったとしか考えられない、という無茶苦茶な論法に聞こえるんですけど。

検察官「29番の正しいデータは?」
M証人「たしか80だったと思う…」
検察官「警察にも言いましたか?」
M証人「はい、当然、正しい表を作成して、差し替えをお願いしたんですけども(笑)」

弁護人はこう尋ねた。

弁護人「3.5インチの元のデータは存在するんですか?」
M証人「いや、もうそっちじゃなくてハードディスクに…(笑)」
弁護人「元のデータの書式は?」
M証人「たぶんエクセルだと思うんですよ(笑)」

この時点で私は175件のオービス裁判を傍聴していた。その後に何百件を傍聴したか。後にも先にも、こんな展開は初めて。前代未聞、空前絶後の驚天動地だ! たまたまこれを傍聴した若い男性は「人が有罪か無罪か、判断の元になるデータでしょ。M証人はなんでヘラヘラ笑ってるのか、信じられないです!」とマジで怒った。

ドライバーWeb編集部