2021/07/15 カー用品

ブリヂストン、新型スタッドレスタイヤ「ブリザックVRX3」を発表。その進化度を体感

●7月15日発表、ブリヂストンの新スタッドレス

トレッドデザインがシンプルになった



ブリヂストンから新型スタッドレスタイヤ、ブリザックVRX3が発表された。『ダントツの「氷上性能」追求』とうたうほどの氷上グリップ性能の進化が特徴になっている。

トレッドデザインも大きく変化。縦溝主体のリブデザインになっているのが特徴だ。開発エンジニアによれば、「技術を詰め込んだらシンプルになった」とのこと。これだけ大きくトレッドデザインが変わるとVRXではなくほかのネーミングになりそうに思えるが、これについても正常進化なのだという。



先代VRX2では、コンパウンドグリップが上がったのでそれを生かすためにブロックを大きくし、サイプ間隔を広くとることでブロックの変形を少なくして実接地面積を大きくしたと説明していたブリヂストン。新型となるVRX3では、その顔つきを大きく変え、左右非対称の4本の縦溝を基調にしたデザインになっている。アウト側から2列目、3列目のブロックは横溝も細く、接地部はタイヤの潰れ(変形)によって溝がなくなり大きなブロックを形成している。



ブロックの微妙な倒れ込みさえなくして実接地面積を大きくとろうとしたら、こんな形になった、ということなのだろう。そう考えると、アプローチの仕方は違うが、ブロック剛性を高くし、接地面積を広くするという結論は同じベクトルに向いているともいえる。



さらに吸水力を高めたコンパウンド



コンパウンドは、発泡ゴムの進化版で基本技術に変わりはない。新型コンパウンドの進化点は、太く長い気泡=水路を高さ方向にも広げ楕円形状にすることで吸水性能をさらに高めているところ。



VRX3は氷上性能だけを求めたわけではない。コンパウンドに練り込むオイルを、オイルに代わる分子の大きな新材料に置き換えることで、経年劣化を抑えゴムの柔らかさがより長時間持続可能になった。



また実車性能試験において、さまざまなクルマのABSを解析することでどの部分が制動距離に効いているかを確認。その結果スリップ率の小さな領域のグリップ性能を高めることが制動距離を短縮することにつながる、という部分に着目。VRX2比でなんと20%以上というアイスブレーキ性能の短縮を実現した。

スケートリンクで氷上性能を試してみたら



今回の試乗会は新横浜アイススケートセンターの氷上のみというイレギュラーな内容。そのためタイヤの性能のすべてを把握することはできなかった。しかし少なくとも氷上グリップ、ブレーキ性能に関しては、VRX2と比べて明瞭かつ大幅といえる性能差があったことを報告する。



何しろ走り出した瞬間から明らかにトラクション性能に差があるのだ。VRX2で普通の氷の路面だなと感じるところを、VRX3はタイヤと氷の間にあるはずの水が少なく、ビタッ! とタイヤが氷の路面をとらえ、かつ蹴り出してクルマがスルスルと加速していくのだ。

かなり無造作に発進してもスリップ感が少なく、グリップ感が消えない。意図的にアクセルを深く踏み込んでホイールスピンをさせるとさすがにタイヤが空転を始めるが、アクセルを戻すとスーッとグリップが戻ってくる。

スリップ率の少ない領域のグリップを上げた効果なのだろう。氷の路面でイージーに走り出せるのが頼もしい。

トラクション≒加速時のグリップのよさは、コーナーリングでも発揮された。ステアリングを切り出した瞬間からはっきりとグリップしている手応えがあり、ステアリング操作とクルマの動きがリンクしているのだ。



例えば10㎞/hでハンドルを切り出したとき、VRX2だと手応えがあいまいで、切り出した後もしばらく滑り感が残るのだが、VRX3は切り出した瞬間からすでに手応えがある。さらにステアリングを切り足していくとそれに伴ってクルマの向きが変わっていくのだ。もちろん手応えに滑り感がまったくないわけではないのだが、手元に伝わってくる滑り成分が少なく、しかもグリップ感を伴っているので走りやすい。

もちろん限界はあるから過信は禁物だが、VRX2と同程度のスピードで走った時の性能差は歴然。リアルワールドでも懐の深さ、安心感の高さは容易に想像できる。

〈文=斎藤 聡 写真=澤田和久〉

ドライバーWeb編集部