2021/07/06 ニュース

ハイカットに意味あり!マツダとミズノ共同開発ドライビングシューズ予約受注開始…早速体感してみた

●ベロの部分の伸縮性がキモ


足裏のフィーリングを豊かにするミズノの技術



その後、自分のスニーカーに履き替えて運転。久しぶりに乗ったNAロードスターのペダルフィールにも慣れたころと思いきや、シフトチェンジで多少のもたつき。右足よりも、左足、つまりクラッチペダルの操作が曖昧になっていたのに気がついた。

そこで、またもやドライビングシューズに履き替えて運転。なるほど、足裏の感覚が違うのだ。ソールが厚く見えるのに、じつに豊かな情報が伝わってきて、ペダルとの密な関係を味わえる。じつはこのドライビングシューズのアウトソールは非常に立体的な構造なのだ。つま先からかかとまでの剛性バランスを考慮したアーチ形状を採用、そして極限まで薄くしているという。


●ソールの金型データはマツダがクルマ作りの知見を生かして作

薄くしてしまっては、例えばレーシングシューズのように歩行に向かないシューズになってしまう。そこでミズノが提案したソールが、「MIZUNO COB」だ。十分なクッション性を確保しながらも、足裏の情報伝達性を向上させる代物で、足裏と接するミッドソールの上面に特殊な凹凸構造が配されている。このデコボコにより、日常履きに使える快適さを確保しながら、運転時にはペダルからのフィードバックをより繊細に感じさせるダイレクトなフィーリングを提供する。


●左がすでにミズノが販売しているシューズの「MIZUNO COB」ソール。右が今回のドライビングシューズのソール。かかとまで凹凸がないのは、ドライビング時はかかとはより安定感があったほうがいいため、とのこと

試乗を終え、歩いたり走ってみたりと試してみたが、これまた違和感がない。ジャンプしてみても、足裏に強い衝撃が加わることもない。クッション性と情報伝達、いずれもいい塩梅だ。

「これまでのシューズは、ラダーフレーム構造。今回のドライビングシューズはモノコック構造。クルマに例えれば、そんな違いがあります」とはドライビングシューズの開発に携わったマツダ車両開発本部の梅津大輔氏。氏は、GVCをはじめ、マツダ車の走りの開発に携わるエンジニアだ。

その点についてミズノのグローバル研究開発部 次長の佐藤夏樹氏は、「我々としてもドライビングシューズを手がけるのは初めてでした。普通のスポーツシューズとドライビングシューズでは、足裏にかかる荷重の大きさがまったく違います」


●(左から)ミズノの佐藤夏樹氏、開発を取りまとめた南場友規氏、そしてマツダの梅津大輔氏

つまりこれまでは足裏への荷重ほぼすべてをソールで吸収する構造だったが、ドライビングシューズに求められる機能としては、より小さな荷重に対しての視点が重要。繊細なペダルワークや踏み変えにはソールだけでなくアッパー部も含めて剛性チューニングが大事だったのだ。という意味で、路面からの衝撃をほぼ一手に受けるラダーフレームではなく、ボディ全体での剛性、リニアな動きを実現するモノコック、なのだ。



「アウトソールはタイヤ、ミッドソールはサスペンション…ドライビグシューズはクルマの開発とも似ているんです。ちなみに今回採用しているシューズのヒモも、足首の背屈や底屈時の動きをサポートする太さを選んでいます。細すぎても太すぎても摩擦力が変わってくる。その最適化のために色々なヒモを試しています」(梅津氏)

足裏の素肌感覚、かかとのホールド感、そしてサポート性はあるのにまるで窮屈でない足首の自由な感覚。マツダとミズノが作った新しいドライビングシューズへのこだわりはハンパではない。

ドライバーWeb編集部

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