2021/07/05 コラム

オービスの性能差があらわに? 2020年の都道府県別「取締り件数(もとい撮影枚数)」の資料が手に入った!

(左)スウェーデンの世界的企業、センシスの「MSSS」(右)日本のオービスの老舗、東京航空計器の「LSM-300」※警察庁のWebサイトより


可搬式オービスの性能差が明らかに? 誤測定の冤罪が増えるかも



千葉と岡山、なぜこんなおかしな違いが生じるのか。ずばり、千葉の可搬式は3台ともS社製、岡山の可搬式は3台ともT社製なのだねぇ。両者の性能の違い、それしかなかろうと私は見る。

ちなみに、千葉の1カ月1台当たりの取締り件数(撮影枚数)は、2019年から2020年へ2倍近くに増えている。これはなぜか。扱いに慣れたってこともあるだろう。ほかに、私のほうに大胆な仮説がある。すなわち、警察庁内のT社押しの一派が、T社製のダメぶりを目立たなくするために、S社製の取締り件数を抑えていたが、さすがに警察庁内で問題になり、S社製の取締り(撮影)を解禁し始めた!

どぉです、大胆な仮説でしょ。もし当たりなら、S社製の可搬式による撮影が今後はどっと増える可能性がある。そうなった場合、T社押しの一派も負けていられない。T社製の性能が今までのままなら、誤測定でも強引に検挙、送検というケースが増えるんじゃないか。「ベテラン警部補が速度データ偽造を繰り返して逮捕…レーザーパトカー「LSM-100」の実績を上げるため?」をちらっとご参照いただきたい。

運転者からすれば、たとえば超過30キロぐらいで走行中に超過20キロで捕まったらどうだろう。「ラッキー」と思って素直に反則金を払うでしょ。じゃあ、制限速度ちょうどぐらいで走行中、超過15キロで捕まったらどうか。裁判覚悟で不服を主張し続けられる人がどれほどいるだろう。

もしも裁判(刑事裁判)になれば、無実の証拠でもない限り、無罪は困難だ。T社の固定式オービスの裁判を私はたくさん傍聴してきたが、裁判所にとって「オービスの専門家」はT社の社員(証言専門社員)以外にいない。そもそも、警察がスピード違反検挙のために日々使っているオービスが、まさか誤測定をするかもとは、普通の裁判官は考えてもみないようだ。

なんにしても、可搬式オービスの取締り、もとい撮影は、今後どっと増えることが予想される。交通事故や妨害運転(いわゆるあおり運転)に備えるだけでなく、誤った取締りを受けたときのためにも、ドライブレコーダーは必須だ! 今どきドラレコなしで運転するってあり得ないでしょ。いや私はドラレコのどのメーカーさんからも、芋焼酎の1杯だってゴチになってませんってば(笑)。

※警察文書にある「可搬式速度違反自動取締装置」を私は可搬式オービスと呼んでいる。ネットでは、可搬式オービスも含めいろんなものを「移動式オービス」「移動オービス」と呼ぶようだ。

〈文=今井亮一〉                             
交通ジャーナリスト。1980年代から交通違反・取り締まりを取材研究し続け、著書多数。2000年以降、情報公開条例・法を利用し大量の警察文書を入手し続けてきた。2003年から裁判傍聴にも熱中。2009年12月からメルマガ「今井亮一の裁判傍聴バカ一代(いちだい)」を好評発行中。

ドライバーWeb編集部

RELATED

RANKING