2021/07/02 ニュース

UDトラックス、大型トラックに自動運転レベル2の技術を投入。日本人に合った快適な電子制御ステアリング搭載車

●日本人の特性に合わせたレベル2の制御を実現

UDトラックスは2021年7月1日、大型トラック「クオン」に一部改良を実施した。改良の目玉は、快適で安定したステアリング感覚を実現する「UDアクティブステアリング」機能を設定した点だ。車両逸脱防止支援システム(LDP)とのセットオプションでオプション価格は46万円。カーゴCG系(4軸)のホイールベース7520㎜車とトラクターGK系(2軸)のホイールベース3200㎜車に設定している。



UDアクティブステアリングは、これまでの油圧式ステアリングギヤの上部に新たに搭載した電気モーターによる支援機能。後退や右左折、旋回などの低速走行時には取り回しが軽く、速度が上がるにつれてステアリングが重くなる。アクティブステアリングなしの車両と比べると、操作に必要な力は低速では2〜3割ほど軽く、高速では2〜3割増しになっているという。デモ走行時の様子を見ると、低速時には指1本でステアリングの操作が可能だ。



また、積み荷や路面状況、横風にも左右されない安定したステアリングを実現した点もポイント。フル積載や空荷など積み荷の状態に関わらず、(同じ速度の場合では)ステアリングの重さが一定になるように制御。路面の凸凹からステアリングが受ける影響を自動補正し、振動や意図しないステアリングの動きを低減している。横風時にはタイヤの微細な動きを感知して、自動補正で直進走行をサポート。後退時や交差点での旋回時には、ステアリングが自動でニュートラルの位置に戻る仕組みになっている。これらによって、ドライバーの疲労軽減と安全に寄与する。

メカニズムのハードウェアはボルボのものと共通で、すでに2013年にボルボはVDS(ボルボ・ダイナミック・ステアリング)として商品化。電気モーターに付随する電子制御ユニット(ECU)が、1秒間に約2000回の頻度でセンサー類からの情報を感知して、走行方向とドライバーの意図を判断。あらゆる走行条件下において、ドライバーの運転操作を“アクティブに”サポートする。今回の日本市場のクオンへの搭載にあたっては、キャビンの高さを変更することなく、油圧パワーステアリングの上に電子制御ユニットを最適に配置することに苦労したという。



ちなみに、今回の技術の肝になっているのが「制御」の部分。制御の“味付け”の部分を国内専用に変えているが、日本のドライバーに好まれるステアリング感覚を追求したという。直線走行を重視するヨーロッパに対して、ステアリングの軽さ/重さの振れ幅を小さくし、軽すぎず、重すぎないように設定。カーブの多い高速道路や交通量の多い市街地走行など、日本特有の運転環境に対応させ、全域を通じて電動アシストの存在を感じさせない自然な操舵感覚を目指したという。テスト走行では、地球1周に相当する約4万㎞を走り込んだ。自動運転レベル2相当の技術を用いており、人に寄り添うトラックをアピールしている。

そのほか、シートベルトをシート本体に組み込んだベルトインシートを運転席に採用。カスタム車に標準で、そのほかはショートキャブ車を除きオプションとなる。



〈文=ドライバーWeb編集部〉

ドライバーWeb編集部

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