2021/06/26 コラム

警官「携帯で通話、見たぞ違反だ!」運転者「耳かいてました」で処分取り消し。レアな”逆転裁判”はなぜ起きた

●さいたま地裁でおきた逆転裁判!?


被告代理人の弁護士がありえない尋問を連発した



最後は原告に対する本人尋問だ。普通、原告代理人弁護士から尋問するのだが、本件は本人訴訟だ。こういう場合、最初に裁判官が尋問する。原告は要旨こんな内容を答えた。

「本件当日、ワンボックス車を運転してクリーニング店へ行きました。それからコンビニへ向かう途中、対向車線で本件取り締まりをやっているのを見ました。コンビニでコーヒーを買い、忘れ物に気づいて戻りました。そのとき、運転席左側のひじ置きにひじをつき、左耳をかきました。携帯電話は2つ折りのとスマートフォンを持っており、ジーンズの左右前ポケットに入れたままでした」

続いて被告代理人のS弁護士(中年男性)が尋問。私はびっくりした。この人、ヤメ検(元検事)かも! というのも、S弁護士はでっかいしゃがれ声で、ぶつけるような早口で、わめきまくるのだった。まさに、取り調べ室で被疑者をいたぶるように。しかもその内容がぶっ飛んでいた。

「耳をかきながら現認係の横をとおったら、ケータイかけてると間違われると、思わなかったんですかっ! 誤解されるとは思わなかったんですかっ!」

はぁ? 耳をかく行為を携帯電話使用と誤解(誤認)するのは当たり前と言いたいわけ? 原告は困ったように答えた。

「きちんと見てれば…」

だよねぇ。私はもうおかしくて。さらに、停止係から命じられて原告が停止したことについて、S弁護士は早口でまくしたてた。

「そこで停まって大丈夫なんですかっ。後続車に迷惑かからないんですか、大丈夫なんですかっ!」

停止係は迷惑な場所で停止を命じ、だから停止しちゃいけなかったと言いたいわけ? あとで私はS弁護士のフルネームを知り、経歴をネット検索してみた。そしたら、あらま、ほんとに元検事だった。取り調べ室でムチャなことをぶつけて被疑者を揺さぶるのはわからないじゃないが、民事の法廷でやりますかね(笑)。

原告は、コンビニでコーヒーを買ったあと、免許証を入れた財布をクルマのドアの収納場所に入れていたという。それは私もよくある。だがS弁護士は大声で食いついた。

「普通、お財布をポケットに入れて、ケータイを出す(収納場所に入れる)と思うんですがっ?」

そんなの、あんたがそうすりゃいいだけの話じゃん(笑)。肝心な携帯電話使用の裏付けはなんらない。被告側はくだらないツッコミしかできない、そういうことらしい。もしかして原告が勝っちゃう? いやいやわからない、なぜならこれは裁判だから。長い説明は省くが、裁判は真実や正義とは別の次元にあるようなので。

ドライバーWeb編集部