2021/06/26 コラム

警官「携帯で通話、見たぞ違反だ!」運転者「耳かいてました」で処分取り消し。レアな”逆転裁判”はなぜ起きた

●さいたま地裁でおきた逆転裁判!?


運転者「通話履歴を見てくれ」…でも調べなかった警察官



この日は警察官の証人尋問から始まった。携帯電話使用の待ち伏せ取り締まりの、現認係だったY巡査だ。制服ではなく濃いグレーのスーツを着ている。まずは被告側のU弁護士が尋問した。「グラビアアイドルですか!?」という感じの若い女性だ。Y巡査は要旨こんなことを述べた。

「交通取り締まりを約5年間、週に3、4回、月に15回ぐらいやってきました。本件当時、原告がワンボックス車を運転しながら左の耳に携帯電話を当てているのを、まずフロントガラス越しに、続いて助手席側の窓ガラス越しに、はっきり現認しました。そのとき原告は、口は動かしていませんでした」

2人目の証人はN警部補、当時の現場責任者だ。要旨こんなことを述べた。

「原告は最初から携帯電話使用を否認していました。しかし通話履歴は調べず、事後の捜査もまったくしていません」

そんなことを、軍隊調できっぱり言い切るのだった。原告は通話履歴を見てくれと何度も言ったのに、相手にしなかったんだそうだ。警察官が「見た!」と言いさえすれば違反は成立する、そう固く思い込んでいることが明らかだった。

ドライバーWeb編集部

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