2021/06/21 コラム

幻想的なホタルをキラキラ連写!「三好秀昌のニッポン探訪・取材ウラ話 第17回〜ホタル」

ドライバー2020年3月号(2020年1月20日発売号)からスタートした新連載「(じつは)動物カメラマン 三好秀昌の『ニッポン探訪』」。日本全国をSUVで駆け回まわり、かわいい動物や最高の絶景を撮影してしまおう!という企画です。第17回は、沖縄や東京で撮影した『ホタル』。撮影テクニックやクルマのインプレッション、その地域のグルメやお土産情報など、取材ウラ話をいろいろと紹介します。
 

ニッポン探訪_Vol.17


 
カメラポジション決めは運任せ!
 
初夏には「ホタル」を見たくなる。
そんなふうに年中行事のひとつとなっている人も多いことだろう。
ホタルは自然豊かな環境にいるので、浴衣にうちわなんて風流なスタイルで見に行けば蚊の餌食になってひどい目に遭う。行くなら完全防備をオススメします。
 
ホタルの写真は明るいうちに景色をよく見て、カメラアングルを決めなければならない。しかも、どこで蛍が光るかわからない状態で、だ。
暗くなってからカメラポジションを変更するのはまず無理だし、ホタルが光り始めてから懐中電灯を使うのはマナー違反なので気を付けよう。
まずは運に任せてポジションを決めるしかない。たとえ写真が撮れなくても、自分の目で見るのに勝るものはない。
 
ニッポン探訪_Vol.17
●ゲンジボタル(東京都・五日市)
 
力強く太い光を発して飛んでいくのはゲンジボタル。
東京を含めて関東地方で見られる一般的な種類だ。
まさに蛍光色という色彩で水辺を飛び回る。
 

ニッポン探訪_Vol.17
●ゲンジボタル(東京都・青梅)
 
所変われば品変わるではないが、石垣島などで見られるヤエヤマヒメボタルは陸生で林の中にいて、光り方も点滅なのだ。そして、キイロスジボタルの光り方はゲンジボタルのように軌跡を描く。タイミングと運がよければ両方が乱舞するシーンも見ることができる。
 

ニッポン探訪_Vol.17
●ヤエヤマヒメボタル(沖縄県・石垣島)

綺麗な点滅光を出すヤエヤマヒメボタルは非常に小さく、全長が2〜3mmである。この体のどこにあんなエネルギーがあるのか不思議になるほどだ。
 

ニッポン探訪_Vol.17
●ヤエヤマヒメボタル(沖縄県・石垣島)

撮影した写真を拡大して見るとわずかに光の筋があったので、ヤエヤマヒメボタルのなかに数匹のキイロスジボタルが混じっていたようだ。
ホタル=光だが、数多いホタルのなかには光らない種類も多いそうだ。こうなってくると、素人には何をもってホタルなのか理解の域を超えてしまう。
 
 


「撮影裏話&テクニック」
 
ニッポン探訪_Vol.17
 
比較明合成ソフトで“ホタル乱舞”を作成
 
ホタルの撮影では、しっかりとした三脚にワイドレンズを装着したカメラをセット。
絞りは開放でシャッタースピードは20〜40秒ぐらい。ISO感度は400~800あたりからテスト撮影をするのがいい。
 
大量のホタルが乱舞する合成写真に仕上げるのなら、同じ位置で30〜40枚ほど連続撮影をする。このとき、カメラにインターバル機能があればそれで枚数を設定し、一度シャッターを切れば後は何もすることなくたくさんの写真が連続撮影できる。
 
そして、コンピューターでそれらを比較明合成ソフトで重ね合わせてやると、きらびやかなホタル乱舞の写真になる。
あまりやりすぎると派手すぎてホタルのはかなさがなくなるので、好みに合わせてほどほどに。
 
[撮影データ]
機材:SONY α9
レンズ:FE 24-105mm F4 G OSS
 
 


「今回のSUV……トヨタ RAV4」
野生動物の撮影を快適にしてくれる1台
 
ニッポン探訪_Vol.17
 
ホタルを含めた野生動物の撮影は、まだ明るい夕方から山の中に入り込んでいくことが多い。なので、暖かい夕食を取ることはほぼ不可能。しかし、今回はRAV4にオプション装着されていたAC100Vのコンセントで電気ポットを使ってお湯を沸かすことができ、撮影の合間にカップラーメンとコーヒーを味わえた。
オプション電源は1500Wもあり、余裕で電気ポットを使うことができるのだ。またごはんも炊けるので、車中泊キャンプなど、想像するだけで楽しい。
 
ニッポン探訪_Vol.17
 
RAV4ハイブリッドは、強力なモーターアシストがスポーツカー並みの加速と安定した4WDのトラクションを生み出す。ワインディングから荒れた林道まで分け入ることができて心強い。
 
そんな山道での燃費がすばらしくいい。高速道路よりもこの屈折した急坂路での燃費のよさが印象的なのである。
 
ニッポン探訪_Vol.17
 
ボディサイズ的に山道ではちょっと大柄なのが気になるが、リヤシートを倒すと生まれる室内の広いフラットスペースとの兼ね合いを考えると悩ましいところだ。
 
ニッポン探訪_Vol.17
 
ただ、マルチパーパスビークルとしては全方位で完成度がとても高いのである。
 
ニッポン探訪_Vol.17
 
 
■主要諸元
トヨタ RAV4 ハイブリッドG
(CVT/4WD)
全長×全幅×全高:4600mm×1855mm×1685mm
ホイールベース:2690mm
最低地上高:190mm
車両重量:1690kg
パワーユニット:直4DOHC+モーター
総排気量:2487cc
エンジン最高出力:131kW(178ps)/5700rpm
エンジン最大トルク:221Nm(22.5kgm)/3600〜5200rpm
モーター最高出力:前88kW(120ps)/後40kW(54ps)
モーター最大トルク:前202Nm(20.6kgm)/後121Nm(12.3kgm)
燃料/タンク容量:レギュラー/55L
WLTCモード燃費:20.6km/L
タイヤサイズ:225/60R18
価格:402万9000円
 
 

〈文と写真〉
三好秀昌 Hideaki Miyoshi
●東京都生まれ、日本大学芸術学部写真学科卒業。八重洲出版のカメラマンだったが、ラリーで頭角を現し、そのうち試乗記なども執筆することに。1995年、96年にはサファリラリー グループNで2年連続優勝。そのほか、国内外で数多くのラリーに参戦。写真家としては、ケニアでの豹の撮影など、動物をおもな題材としている
YouTube「Maddogチャンネル」

ドライバーWeb編集部

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