2021/05/26 コラム

歩行者が譲ってくれたから横断歩道を通過…これも違反なの?|交通違反グレーゾーン|

●横断歩行者から譲ってもらえた場合はどうなる?


警察無謬の原則



裁判官は、とにかく警察官の証言を信じがちだ。「警察官たる者が偽証の罪を犯してまで、見も知らぬ被告人を罪に陥れようとするはずがない」という、決まりの論法があるのだ。求刑も判決も、違反車両が普通車なら罰金9千円だろう。もしかしたら、きりよく罰金1万円かも。

ここまでを読んで、びっくりする方がおいでかもしれない。申し訳ない。でも、40年近く交通違反・取り締まりに熱中し続け、交通違反以外も含めて9千事件を超える裁判を傍聴してきた私からすれば、なんというか、そういうものなのだ。日本は「行政無謬の原則」「警察無謬の原則」のもとにある。いったん取り締まってしまった以上は、その取り締まりは正しくなければならない、正しく見せるために全力を尽くす、それが基本なのだ。

話を戻そう。

「横断中の歩行者がいたので、横断歩道の手前で停止した。すると歩行者が、こっちを先に行かせようとしてか、足を止めた。なのに取り締まりを受けてしまった」

そういうことはあり得る。どうすればいいのか。転ばぬ先の杖、ドライブレコーダーを装備しましょう! そこに尽きるかと思う。ドラレコは、不適当な取り締まりを受けたときだけでなく、事故のときも役に立つ。妨害運転(俗称:あおり運転)をされたときにも役に立つ。何か衝撃のシーンを録画できれば売れるかも。とにかくドラレコを装備しよう、それが結論だ!

念のため言っておく。違反がないのに取り締まり「(違反切符に)サインしないなら逮捕だ!」とか警察官がわめくシーンを録画・録音できても、「YouTubeにアップされたくなかったら10万円払え」とかやっちゃダメですぞ。それは恐喝(刑法第249条)に当たり、未遂も処罰の対象(同第250条)なのでっ。

〈文=今井亮一〉                            
交通ジャーナリスト。1980年代から交通違反・取り締まりを取材研究し続け、著書多数。2000年以降、情報公開条例・法を利用し大量の警察文書を入手し続けてきた。2003年から裁判傍聴にも熱中。2009年12月からメルマガ「今井亮一の裁判傍聴バカ一代(いちだい)」を発行。

ドライバーWeb編集部

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